心の壁。

相談者名
L
昔付き合っていた人と、震災をきっかけに10年ぶりに連絡がとれて、お互いの近況を報告したり、始めは普通にメールで連絡をとっていました。
でも、そのあと一度会って、その時は普通に話をしていたのですが、その後からだんだん彼が心に壁をつくってきているように感じています。
彼が病気だと聞いて心配しても「その気持ちは自分の身近な人に向けて下さい」と言われました。私が結婚しているからか、昔付き合っていたからか。。。
何気ないメールをいくつか送ったら、「次々くるメールに行き詰まってしまった」というような返信がきて、今は病気のために夢だった留学がだめになったということで精神的にもつらい時期でもあるようなので、そっとしておいたほうがいいんだろうなって感じていますが、これからどういう接し方をしたらいいのか戸惑っています。
彼のかたくなに人を受け入れない態度は、私に対してだからか、他の人にも心をなかなか開けないのかって考えてしまいます。
「自分はまわりの人を傷つけてしまう」という彼の言葉がずっと心に引っかかって、彼自身が自分責めているように感じて辛くなります。
今思うと、付き合っていたころからどこか壁があったのかもしれないなと感じ、今回こうしてまたつながりがもてたので、もう少し気楽に付き合っていける関係を作ることは、難しいことでしょうか?
彼の心にある壁を取ることはできるのでしょうか?
カウンセラー
大門昌代
Lさん、はじめまして、今回担当させていただきます大門と申します。
どうぞよろしくお願いします。

10年ぶりに連絡がとれた人ですから、何とか繋がりを持ちつづけたいと思ってしまいますよね。
ご相談文を読ませていただくと、何度か「心の壁」という言葉を書いて下さっているので、まずは、「心の壁」について、少しお話しさせて下さいね。

私たち人間は、確かに心に壁を作って、人と距離をとろうとすることがあります。
それは、自分の心が傷ついているので、その傷に誰にも触れてほしくないという、自分自身を守る為の壁であったり、自分が近づくことで誰かを傷つけてしまうかもしれないという思いからの、誰かを守る為の壁であったりします。
壁を作っている人と接すると、その人自身と深く関われない感じがしますから、もっと仲良くなりたいと思えば思うほど、その壁を取り払いたくなるのですが、この壁を無理に取り払おうとしても、ほとんどの場合、失敗に終わります。

なぜなら、その壁は、自分や誰かを守る為に作られたものですから、取り払おうとする力があると、より頑丈な壁を作って、守りを固めるからです。
つまり、壁を取り払おうと誰かがすればするほど、壁の強度は上がり、ますます人との間に距離ができてしまうのです。

では、一度壁ができてしまったら、もう二度とその壁を取り払うことはできないのか?となるかもしれませんが、そういう訳でもありません。
壁を作った本人が、「この壁は必要ない」と、思うことができたら、壁を無くすことができるのです。
誰か別の人の力によってというのではなく、壁を作った本人がというところが、ポイントです。

誰かに壁を取り壊されようとしたら、当然守りは硬くなりますが、誰からも守る必要がない、つまり誰も攻撃してこないのだとわかれば、壁は必要なくなるのです。

Lさんの元彼に何があったかはわかりません。
お付き合いをされていた頃からなのか、その後に作られたのかはわかりませんが、彼は人との間に壁が必要になってしまっているのでしょうね。
その壁があると、Lさんとしては、彼と仲良く気軽にお付き合いができないので、残念なお気持ちになってしまうでしょうが、まずは彼には、人との間に壁を作る必要があることを、認めてあげて下さいね。

Lさんにだけなのか、他の人に対しても、壁があるのかもわかりませんが、少なくともLさんが彼と作っていきたいと思っている気楽なお付き合いは、今の彼には負担になっているようです。
それは、Lさんが悪いからということではありません。
Lさんが望む距離と、彼が望む距離に違いがあるというだけです。

彼がご病気だということで、心配になられるでしょうが、今は彼の望む距離にあわせてあげた方がいいかもしれませんね。
無理に近づこうとしたり、なぜ距離を取ろうとするのかを質問したりすれば、彼の壁は余計に分厚くなってしまう可能性が高いです。

彼が自分や誰かを守る必要がなくなり、心の壁を取り払うことができる日がくることを、祈ってあげて下さいね。

彼が「自分はまわりの人を傷つけてしまう」ということを言っておられたようですが、もし彼がそう感じておられるのだとしたら、彼はまた誰かを傷つけてしまうことを、一番怖れているのかもしれないなと思います。
そうだとすると、自分の周りにいる人を、傷つけてしまうことで、彼の心の壁は、更に厚みを増すことになってしまいます。
自分の言動でLさんを傷つけてしまったと感じれば、彼の心の壁は厚く高くなってしまいますから、Lさんが今回のことで傷ついたり、落ち込んだりしないことが大切です。

今の彼には、「何かあったら連絡してきてね」とLさんが気遣ってあげるだけで、十分なのかもしれません。
彼が連絡しようと思ったときに連絡ができれば、彼にとってはLさんが、壁が必要な人ではなくなるのです。

「私はあなたの傷に触れる人ではありません」「私はあなたによって、傷つく人ではありません」その事が、彼に通じれば、もう少し気楽なお付き合いができるかもしれませんね。
ただし、そのことは、彼にメールや言葉で伝えることはできませんので、やはり時間が必要でしょうね。

せっかく繋がりがもてたので、もっと気楽に繋がりを作っていきたいというお気持ちは、よくわかります。
少しさみしい思いも出てくるでしょうが、今は彼の距離に合わせてあげて下さいね。
この度は、ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。