夫/妻のトリセツを見直してみませんか?

結婚して何年も経つパートナーを表現する時に「空気のような存在」という言葉があります。
もともとは他人である誰かと、空気と言えるまでの穏やかな関係性に辿り着けるのは、奇跡のようなことだと感じます。

とはいえ、お互いの存在を空気のようだと感じてはいても、それぞれの内面には感情や価値観が存在するのですよね。
そして、長い年月の中でそれらが変化してゆくこともあるのではないでしょうか。

そのような変化を上手に扱い、夫婦がもっと楽しく仲良く過ごせるきっかけにできたら素敵だな…と思い、コラムにしてみました。
最後までお読みいただけたら幸いです。

●夫/妻へ感じる感情の変化

新婚時代は毎日ワクワクドキドキしていた…そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。(お付き合いや同棲期間が長いと、新婚気分は少ないかもしれませんが)
少しのことで喜んだり不安になったり、ということもあったかもしれません。

新婚時代のパートナーに感じている新鮮な感情は、未知のものに対する刺激感なのかと思います。
刺激を感じている時には喜びも不安も、感情が大きく動きやすくなります。

そして一緒にいる期間が長くなると、その刺激感は徐々に “慣れ”に変化します。
その変化から、以前のようにはパートナーにドキドキしなくなるのですね。

同時に毎日の生活の中から、相手とどう関われば上手くいくかという“トリセツ(取扱説明書)”も頭の中に作られます。
このトリセツが増えることでお互いに感じる感情が、“勝手知ったるパートナー”という安心感に変化してゆくのではないかと思います。

●「夫/妻は変わらない」という誤解が招くすれ違い

しかし、です。
このトリセツ、一度できたら一生使える!とはいえないかもしれません。

なぜなら、人の感情や価値観は変化することも多いからです。
時にはトリセツが更新されないために、気持ちのすれ違いが起こることもあったり…。

ちょっと切ない例なのですが。
私は2人の子どもの母でして、とある母友達からこんな話を聞きました。
「子どもが生まれる前は、仕事帰りにおみやげを買ってきてくれるのは嬉しかったけどね。
今は、そんな時間があるならさっさと帰って子どもの世話をしてよって思っちゃう」

…母友達の気持ちも夫さんの気持ちも、わかるな〜って感じました。
きっと夫さんには「妻はおみやげを買って帰ると喜んでくれる」という思いがあり、喜んでほしくての行動のはず。
けれど妻であるお友達は環境の変化から、喜べることが変わっていたのですよね。

このような気持ちの変化は自然に起こることですし、どちらが悪いわけでもありません。
ただ、変化を伝えたり理解するというコミュニケーションがあればよかったのかもしれません。

トリセツの更新で防げたはずの気持ちのすれ違い。
何だか切なく感じたお話です。

●夫/妻の変化に興味を持ってみませんか?

仮に、30歳で結婚してその後一生をともにするとなると、一緒に過ごす期間は50年ほど。(あくまで仮に、です)
何十年もの間に年齢や環境・ライフステージなど様々な変化が訪れます。

そのような変化に対応するためにも、多くの人は考え方や価値観が少しずつ変わってゆくのではないでしょうか。
また、そこまで大きなことでなくても、好きなものやマイブームなどはもっと短期間で変わるかもしれません。

もし毎日を一緒に過ごす中で、パートナーがあなたの変化に興味を持ったり深く知ろうとしてくれたら。
ちょっと嬉しい気持ちにならないでしょうか。
そしてそんな嬉しさを、あなたがパートナーにプレゼントできたとしたら。
素敵だと思いませんか?

●夫/妻のトリセツ見直しのすすめ

パートナーの変化を見ようとする意識を持つと、思ったよりも色々なことが見つかるかもしれません。

どんな時に喜んでいるのか、最近はどんなことを考えているのか、どんな食べ物にハマっているのか、などなど。
ちょっと観察してみても、会話の中で聞いてみても良いかと思うのですね。

相手の新たな1面を知ることで、どんなことをすればパートナーがもっと喜んでくれるかを発見できるかもしれません。

「夫/妻は、変わるもの」。そのように捉えて、まずは自分からこのような“トリセツの見直し”を取り入れてみてはいかがでしょうか。

トリセツの見直しは、先ほどの例のような心のすれ違いを減らすこともできます。
さらに、勝手知ったる存在と見ているパートナーにあらためて興味を持つことで、“マンネリ”とも表現される退屈感を抜けることにも繋がります。

新婚時代のようなドキドキはなくても、ちょっとしたワクワクは意識次第で作れるかと思うのですね。

私自身は毎日忙しく過ごしているとつい、当たり前にいてくれる夫の存在をないがしろにしてしまうこともある未熟者です。
ですが、ずっと一緒に過ごすパートナーだからこそ、お互いに幸せを感じるためにエネルギーを向ける価値があるのではないでしょうか。

我が家の話で恐縮ですが、最近のうちの夫のマイブームを聞いてみました。
そうしたら「寝る前の猫の動画」という答えが。
アラフィフのおじさんが猫の動画で癒されて眠る…。何だか可愛い…笑
そういえばこの人は昔から可愛いところがあったなぁ、なんてあらためて感じました。

*

夫婦の関係性に「正解」はないのですが、何十年という年月を1人のパートナーと過ごすならば。
相手を当たり前の存在にせずに興味を持ち続けることは、より楽しく幸せな夫婦の関係性に繋がるのではないかな、と思っています。

あなたが大切なパートナーと、もっと楽しく仲良く過ごせますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

過度な自立や自分責め、承認欲求で悩んだ経験を通じて「自分を褒める楽で軽やかな生き方」をサポート。どんなことも柔軟に受けとめ、クライエントの傷よりも才能やビジョンに光を当てる。1人ひとりの価値観やペースを尊重し、呼吸を合わせて懇切丁寧に向き合い、ともに問題の改善に取り組んでいる。