カウンセラーとして活動しているうえで、自分ではなかなか自覚することができなかった問題に、「上から目線」と感じさせてお客様を怒らせてしまうということが稀に起こっていました。
たいていのお客様は、アドバイスを好意的に受け取っていただけるのですが、私の受け応えで傷ついてしまわれる方がいらっしゃるようなのです。
お客様の不安なお気持ちに寄り添い味方としてサポートしたいと思っているのに、なぜ、このようなことが繰り返し起こってしまうのだろう?
相手の受け止め方の問題と切り捨ててしまえばそれまでですが、心をあつかう身としては大きな問題であると受け止めながら、なかなか着地点が見つからずにいました。
「力になりたい」「お役に立ちたい」そのような想いの前提を覆してしまう不本意な状況が起こったとき、やるせない気持ちでいっぱいになるものです(涙)
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心理学では「現在の問題は過去の痛みが姿を変えて現れたもの」と言ったりします。
「もし、お客様の訴えや行動が、自分自身から切り離されたものだとしたら?」
こんな風にインスピレーションに働きかける質問を自分に向けたとき、神戸メンタルサービスの社長の平や先輩トレーナーから「痛みや怖れを切っている」とたびたび指摘をされていたことを思い出しました。
私はどちらかというと、理不尽な思いをした時に相手に反論したり、クレームをつけたり、誰かに愚痴を吐くということができず、また、自分のせいにするでもなく、そのやりきれなさから感情をOFFにして関係からフェイドアウトしてしまうクセがもともと強くあったのです。
なんだかいつも同じようなところで上手くいかない・・・。
そう思うところこそ、メンタルブロックがあり、人間関係にも同じように現れてきます。
カウンセリングやヒーリングワーク(カウンセリングサービスの母体である神戸メンタルサービス主催で行われているワークショップ)などの安全な場で、自分の体験や気持ちを分かち合う機会は、自分が感じていることへの自覚や問題解決の糸口を与えてくれます。
いろんな角度から癒しに取り組んできたおかげで、人間関係で拒絶をしたくなるようなインパクトのある体験はほとんど起こらなくなっていたのですが、まだ自分の中に統合しきれていない痛みや何かが隠れている。
お客様は、ご自身が感じたことをしっかりと他の人にも訴えるということを通じて、私の制限のありかに気づかせてくれて、できない(しない)でいたことのお手本でもあったわけです。
痛みを痛みとして感じることで自分を取り戻せる。
依存の段階で周りからの反応がよくなかったり、嫌な思いをした経験には苦手意識がつきものです。
多くの場合、拒絶したいテーマになります。
依存から自立はエゴを確立していくプロセス。
自立の段階は、誰かの期待に応えるような選択や行動が増え、本当の自分の気持ちを置き去りにしてしまうことも多くなります。
しかし、デッドゾーンを越えて相互依存に進むときには肥大したエゴを手放し小さくしていく必要があります。
「私の出番!」とばかりに自分のことはそっちのけで周りの「困った」「助けて」の声に応えることの多い人生というのはもはや自分の人生を生きていないのと同じ。
結局、振り回されてエネルギーを消耗していくことも増えてしまいます。
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過去の経験や思い込み、そこでかけていた自分への制限から、「辛い、助けて!」「もう嫌だ!!」が言えなくなっていた私。
「どうせわかってもらえない」
何度も扱ってきたはずなのに・・・、このあきらめ癖はしぶとくこびりついているようです。
関連性に思いが寄らずにいたせいで、問題を繰り返し発生させているということにも徐々に気づけるようになっていきました。
やるせない思いがあふれて、ひとり涙する夜をいくつ越えてきたでしょう?
「わかって欲しい」
「助けて欲しい」
「愛してほしい」
「認めて欲しい」
痛みや怒りや哀しみを感じることを通して、ようやく自分にも承認欲求やニーズがあったことを自覚し、受けとめていけるようになっていきました。
自分の中にもあの人と同じようなニーズがあると認められたことによって、分離感が癒され、安心感を覚えるとともに、弱い自分を隠し「私は平気!」と強がって涼しい顔をしていたエゴに気づいて恥ずかしくも感じました(笑)
ようやく強がりな自分を卒業していける。
自分の感情を自覚し理解することを通じて、徐々に自分を強く大きく見せたくて期待に応え続ける生き方を緩めていくことができるようになりました。
他人の期待に応えるために生きているわけじゃない。
私の善意(のつもり)が相手からのギフトを拒絶していた。
お客様は、問題解決ではなくて共感を得る機会を求めていたのに、「早く何とかしてあげたい」私のエゴが、十分に共感することのできるはずの機会を見えなくしていて、軽く扱われているように感じさせてしまっていたのかもしれない。
もしかしたら、他人から期待されていると感じていたことも、本当のところは相手に確認してみないとわからないよな。
そんな風にも思えて、思いを新たにするのでした。
どんなときも、関わりを通して自分を癒して前に進んでいくことができるし、準備ができた時に先生や生徒が現れるもの。
心の世界はなかなか奥が深いもので興味が尽きません。
今が過渡期で一番大変!!という方も少なくないと思いますが、分かち合いを通じて一緒に越えていけたら嬉しいです。