~ドラマ・映画は感情の葛藤の宝庫~味わい深く楽しもう~

気候の温暖化で木の葉の色づきが遅くなったとはいえ、季節の深まりは一歩々
々歩みをすすめますね。私は、ほっと一息つく時に飲むあたたかい飲み物が、
身も心も温めてくれるような気がします。寒さの訪れと共に人の心も、一層内
へ内へと向うのかもしれません。
秋の夜長、お部屋で過ごされる時は、どんなことをして過ごされますか?読書
?ゲームやパソコン・インターネット?それとも、昔録画したものやDVDを
ご覧になる・・・?私はもぱら、お気に入りのDVDを見るタイプです。近所
のレンタル屋さんから借りることもあります。私はドラマや映画・お笑いに関
するものを書くことが多いです。以前、こういった世界に首を突っ込んでたこ
ともあるせいでしょうか?見る時は細部まで眼をこらすことも。
ブルーレイディスク・DVDに限らず、ドラマや映画でストーリーが展開する
時の各々のシーンは登場人物の内面の、特に感情の葛藤を映し出した演出をさ
れることも多いんですね。こんなシーンは、どんな意味があるんだろう?って
お話をします。(古いものから最近のものまでおりまぜます。)気軽な読み物
としてお付き合いくださいね。


(対立)
今年六月ごろのNHK土曜ドラマ「監査法人」。公認会計士さんたちの苦悩が
描かれました。各企業さんのお仕事にかかった経費や売上げと帳簿があってる
かどうか、会計士さんがいる監査法人に診てもらってOKが出て、初めて株主
向けの決算報告が出来ます。OKが出ない場合は存続できず、倒産する場合が
あります。
監査先の働く人の生活を守ろうとして、多少のズレがあったとしても事を大目
に見てきたジャパン監査法人理事長(社長)の篠原(橋爪功さん)と、篠原の
方針は粉飾決算(経費・売上げと帳簿があわない虚偽[きょぎ・ウソ]の報告)
を生む温床になるので、厳格監査をやろうとする部下の小野寺(豊原功補[こ
うすけ]さん)とは考えがあいません。この二人はやがて巨額の粉飾決算事件
に巻き込まれますが、オフィスの廊下である日、篠原とすれ違う小野寺。小野
寺が立ちどまって黙礼する事もなく、行きかう二人。このすれ違いは、通りす
がりのすれ違いだけではなく、二人の意見や立場の対立・ズレの象徴をも表現
します。
(信頼と協調)
今も愛されてる「ウルトラマン」シリーズ。シリーズには怪獣と、怪獣を倒す
警備隊が必ず登場します。例えば警備隊の隊員が二人一組で、パトロールの偵
察機に乗って特に警戒するような異常もなく基地に戻ってきたとします。二人
の隊員がにこやかに指令室に帰るようなようなシーンを想像してみて下さい。
こんな時は、二人並んで歩調をあわせて歩きます。右足・左足・また右足って
感じで。寸分のズレもありません。
古い作品なら、ハードボイルドストーリー「Gメン75」。Gメン捜査官が活
躍します。ボスの丹波哲郎さん(故人)と、ボスのもとで働くメンバーが六人
いました。ドラマが始まるタイトルクレジットで、出演者がボスの左右に三人
づつ並んで、全員がボスと足並み乱れず滑走路を歩くシーンがあったと思いま
す。危険を顧みず互いの命を預け助け合い、信頼するもの同志の、強い結束の
象徴です。
「足並みを揃えて歩く」は、信頼のシンボルです。大人数で足並みをあわせる
と、警察や消防・軍隊のような「鉄のような強い結束」を象徴するパレードに
なります。
(雨)
九月まで放映された救命救急ヘリコプターのストーリー「コードブルー・ドク
ターヘリ」から。ヘリで駆けつけた若い研修中の医師・白石(新垣結衣さん)
が、二次災害の怖れがある箇所は安全確認して入るのを忘れて現場に飛び込み
指導医の黒田(柳場敏郎さん)が白石をかばおうとして、落下物の下敷きにな
ります。黒田は重症。白石は無事もショックのあまり、しばらくヘリにも乗れ
ませんでした。大人しく、人の望むままの優等生タイプ・白石は、周囲の説得
で職務に残るものの・・・。自分の感情を普段から表に出さない彼女は、ある
時どしゃぶりの雨の中へ飛び出し、立ち上がれないほどくたびれるまで泣き続
けます。
表に出し切れないほどの感情の葛藤を表す時、「雨」を使います。心の中のど
しゃぶりを描くアイテムとして。季節は夏かもしれません。体を冷やすような
秋の夜雨かもしれません。ずぶぬれになるまでたたずむ姿は、大きな悲しみと
自分を責めるシンボルとして登場します。雨中の撮影は衣装もずぶぬれ。とり
なおしが難しいシーンのひとつです。わざわざ雨にぬれる演技をするのはどう
して?と感じたら、これからはこんな目で見てあげてくださいね。
(雪)
雪と聞いて思い浮かぶイメージがあるとしたら、どんな感じでしょう?身も心
も凍える季節。桑田佳祐さんの曲「白い恋人たち」のビデオクリップに、桑田
さんが歌いながら、バックに雪が降るシーンがあります。大好きだったあの人
がいつも乗り降りする街の停車場に行く。もう戻らぬ人と知りながら、待ち続
け・・・。ある日突然途切れた日常が受け入れ切れなかったのでしょうか?そ
れとも「必ず帰ってくる」と交わした約束が、最後の一言だったのでしょうか
?いろんな場面が想像できそうです。
雪の季節に思い浮かぶものとしては、これから迎えるスキーやスノーボードや
スケート、クリスマス・お正月・初詣や節分などのお楽しみかもしれません。
雪の白さに高潔純粋や、春を待つ新たな出発や再生のイメージを重ねることも
できるでしょう。
しかし上の例でいけば、しんしんと絶え間ない雪を、ゆっくり静かに降りつも
る、二度と溶けることのない悲哀のシンボルとして描かれてるようです。安ら
かに眠れる夜は、もはや永遠に訪れないかもしれない、癒されることのない深
い悲しみの象徴として雪が使われてるみたいですね。こういう時は、ストーリ
ーも見る人の印象に残るように、おだやかに進みます。
まとめると
(信頼と強調)・・・親密感や同志愛のシンボル
(対立)(雨)(雪)・・・表面に現れる以上に内面の大きく激しい感情の葛
藤(相手への不信感や隠された怒り・出しつくせない怒り・悲しみ)のシンボ

として描かれます。こんな視点を持ってドラマや映画をご覧になると、味わい
深く楽しめますよ。映像は身近にいつでも手が届く、奥行き深い芸術じゃない
かな?と私は思ってます。
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