セルフマネジメントのススメ(9)〜人間関係をよりよくするための信頼の増やし方〜

今の時代、多くの組織や会社では、社員やメンバーが不満を感じているようです。

それはやり方や方向性の違いであったり、望む仕事ができないことへのフラストレーションだったり、やりがいの薄さであったり。

そんな中で「評価されない」「感謝されない」「チャンスがもらえない」と息苦しさや不自由さを感じ、
その期間が長ければ長いほど「どうせ頑張るだけ無駄だ」と諦めてしまったり、
「もっと自分を活かしてくれるところはないだろうか?」と転職や配置換えという、
”環境を変える”
ことでなんとかこの息苦しさや不自由さを打破しようとすることも多いようです。

このなんとも息苦しい閉塞感を抜ける鍵として、「セルフマネジメントのススメ」と題してシリーズお届けしています。

○これまでのシリーズ
セルフマネジメントのススメ〜自分の価値を活かす〜
セルフマネジメントのススメ(2)〜すべては自分の見方次第〜
セルフマネジメントのススメ(3)〜終わりを思い描く〜
セルフマネジメントのススメ(4)〜「豊かさマインド」を育てる〜
セルフマネジメントのススメ(5)〜相手を理解することが自分を理解してもらう近道〜
セルフマネジメントのススメ(6)〜1+1を3以上にするコミュニケーション〜
セルフマネジメントのススメ(7)〜見せかけではない自分を磨く〜
セルフマネジメントのススメ(8)〜刺激と反応の間にスペースをあける〜

今ご覧いただいている「ビジネス心理学」のコンテンツ内で、私は過去に「リーダーが部下を育てるには?」と言う視点で、”他者の成長をサポートするための記事”をいくつか書いてきましたが、
この「セルフマネジメントのススメ」のシリーズは”自己成長”を目的とした内容をお届けしています。
 

●人との信頼関係は”貯める”ことができる

『信頼口座』とは、スティーブン・コヴィー博士の「7つの習慣」に出てくる言葉です。
相手との関係性の中で生まれる「信頼」を貯えておくことを、銀行の口座に例えたものです。

そして『信頼残高』は、「ある関係において築かれた信頼のレベルを表す比喩表現」であり、コヴィー博士は「その人に接する安心感」とも表現しています。

例えば、信頼関係があることでコミュニケーションがスムーズになったり、好意的にあなたに接してくれるでしょう。
また少しぐらいの失敗ならそれまでの信頼関係があれば、自身の罪悪感や失敗感から想定しているよりもあっさりと許してくれるでしょうし、逆に励ましてくれたりすることもあるかもしれません。
 

銀行口座にお金を預け入れしておけば、残高が増えていき、必要なときに私達はそのお金を引き出して使うことができるように、
人と人との信頼も”貯める”ことで必要なときに相手に助けを求めることができたり、「あなたのために」と相手が力を貸してくれやすくなります。

銀行口座に利子がつくように、相手に対する信頼感から、より信頼が増すともあります。

しかし、銀行口座の残高と同じように、相手との関係性でためた”信頼”も残高があることに安心して浪費してしまうと、残高は最終的にはマイナスになってしまいます。
そうなると、相手はそもそもあなたの話を聞いてくれなくなるでしょうし、あなたと関わることすらも面倒だと感じてしまうことでしょう。

どうやったら信頼残高が貯まるのかを知っておかなければ、いつまでたっても相手から信頼されないどころか、もとからある関係性の中での貯えた信頼残高も減らすことに繋がってしまいます。
 

●信頼残高は1人1人口座が違う

重要なのは『ただ、信頼残高は相手ごとに異なる』ということです。

銀行で貯めたお金は、引き出せばどこでも、何にでも使えますが、「信頼残高」は「相手と私の関係」の中で貯えられるものなので、
例えば、パートナーとの信頼関係が高まったからと言って、別の人間である友人との信頼残高がパートナーとの関係性の中で貯めたものと同じだけ高まるわけではありません。

もちろん、自分が信頼している人(Aさん)が、「あの人(Bさん)はいい人だよ」と評価していると、私たちはあまり相手のことを知らなくても「あぁ、きっとBさんはいい人なんだろうな」と思う傾向がありますから、誰かとの関係の中で深い信頼関係を築いておくことは、新しい人との関係性を深める意味でも、とても有利には働きます。

しかし、そこでその信頼に甘えていると残高を浪費することにも繋がりますから、
誰かから信頼されているからといって、他の人からも同様に信頼されているとは思わず、
どんな人に対しても誠意をもって対応することが大切なのです。

信頼残高は貯まりにくく、減りやすいのです。
 

●信頼残高の増やし方

残高を増やすために、信頼口座への預け入れの方法には6つあります。

1)相手を理解する
2)小さなことを気遣う
3)約束を守る
4)期待を明確にする
5)誠実さを示す
6)信頼残高を引き出してしまったときは、誠意をもって謝る

どれも読んでみると、人間関係の中で「当たり前」と思われることばかりだと思うのですが、基本的なことだからこそ、私たちはおろそかにしてしまったり、距離が近い人にこそ関係性に甘えてできていないことも多いのではないでしょうか?

職場だけでなく、身近な人との関係性をより良くするためにも、今日からさっそく実践してみて下さいね。
 

■1)相手を理解する

これはすべての基礎になるものです。

あなたが相手を理解していなければ、相手がどんなことであなたとの関係に信頼を感じてくれるのか?がわかりませんよね。
あなたが「こうすると相手が喜ぶだろう」と思ったところで、相手にとってそれが喜ばしいと感じなければ、ただのありがた迷惑になってしまいます。

私たちは、よく「よかれと思ってやったのに……」という苦い思いをすることがありますが、それは相手の関心事にあなたが関心を持つことができていないからです。

食事に誘う、仕事を手伝う、遊びに誘う、悩みやお困りごとを聞き出そうとするなど、私たちは相手が喜ぶと思って色々なことを働きかけますが、
それらは「過去これでうまくいった」「私ならこうして欲しいから」と、
“あなた”というフィルターや基準を通しての方法にすぎないので、
相手があなたに求めたことではなければ、全く効果がないどころか、逆効果になってしまうこともあるのです。
 

信頼関係を深めるために必要なのは、

相手がどんな価値観を持っているのか?
どんな考え方で生きているのか?
どんなことが不快に思うのか?
相手が大切にしているものは何なのか?

など、相手を理解することが大切です。

自分が大切に思っていることにあなたも興味を抱いてくれると感じれば、相手からのあなたに対する信頼感はぐっと高まることでしょう。
 

■2)小さなことを気遣う

思いやりや配慮が足りなかったりする人を、人はなかなか信頼することが出来ません。

・あいさつをきちんとする
・なにかしてもらったらお礼を述べる
・体調が悪そうな時には気遣う
・寒そうにしていたり暑そうにしていたら、相手に合わせて部屋の温度を調節する
・髪型が変わった時に気づく
・物を落としたら拾ってあげる、声をかける
・席を譲る
・知り合いと目があったら微笑む、会釈する

などなど、私たちの生活や仕事において、小さな親切や気遣いのチャンスはいくらでもあります。

道ですれ違う人全員にしましょうというわけではありませんから、特にあなたの身近な人に対して相手のことを考えて気遣える人でありましょう。
 

■3)約束を守る

当たり前のことですが、約束を守ることは、信頼残高を増やします。
そしてポイントは、約束の大きさや内容に関係なく、どんな約束であれ、破ってしまえば信頼残高は大きく減ります。

優しい気持ちを持っている人は、他の人の役に立ちたいと、安易な約束をしてしまう傾向があります。
また人と会うことが多い人や、人脈を広げ、自分のチャンスに繋げたいと思っている人は、あらゆる機会に約束をしてしまいがちです。
しかし、その約束が守られなかったとき、相手は残念な気持ちになってしまいますから、信頼残高は減るのです。
 

例えば「今度、ご飯でも行きましょう」「またみんなで会いましょう」的な言葉も、社交辞令としてなんの期待もせずにただの挨拶と思う人もいれば、その約束をいつだろう?と待つ人もいます。

またその約束の相手があなたのパートナーや親友であればどうでしょう?
「来週、ご飯に行こう」「今度、○○に旅行に行こう」と話すと、相手はその約束に期待しますよね?

時には仲が良ければ良いほど、「これくらいなら守らなくても大丈夫だろう」「許してくれるだろう」tこ甘えてしまうこともあるかもしれません。
 

しかし1度約束を破ってしまえば、相手は「この人はまた約束を破るかもしれない」という疑惑を抱えることになります。
直前になって約束をキャンセルする、自分が約束を守らなかったことに悪びれる様子もない、などがあると、一気信頼残高は減り、「この人は信用できない」と相手に思われてしまいます。
そこから残高を増やすことは、なかなか難しいものです。

・安易にできない約束はしない。
・小さなことほど、約束は守る。
・守れなかった時には、開き直らない。自分を正当化しない。
そうした、当たり前だけれど、大切なことを心がけていきましょう。
 

■4)期待を明確にする

お互いに何を期待しているかを明確にしないと、すれ違いが生じてしまいます。
その結果「やっぱりこの人とは合わないな」「この人は信用できないな」と評価されてしまうことも少なくありません。

仕事はもちろん、人間関係の問題のほとんどは、
どちらが何をするのか?の役割分担が曖昧であるため、お互いに「相手がやってくれるのでは?」と期待して裏切られたように感じたり、
恥ずかしさや遠慮から、自分の要望を相手にきちんと表現できないことで、

誰が、
いつ、
どこで、
どんなことを、
どのように、
どこまで、
するのか?

といった、期待するイメージにズレがある原因です。

私たちは人間関係の中で、たくさんの小さな「期待」があります。
だからこそ、その期待が誤解の芽にならないように、あなたの期待は明確にしましょう。

※これは「1)相手を理解する」にも繋がりますね。
 

■5)誠実さを示す

相手に嘘をついたり、隠し事をしたり、傲慢な態度を取ったり、人によってコロコロと言動を変えたりと、一貫性のない不誠実な対応をすると、信頼残高は減ってしまいます。

「誠実さ」の意味を表す英単語は数多くありますが、ここでは「インテグリティ(Integrity)」という言葉が使われています。
これは「整数」という意味の「Integral」と同語源の言葉らしく、言動に一貫性がある、裏表がなく誠実であるという意味だそうです。

この「誠実さ」というのは、その場にいない「第三者」に対しても言動も含まれます。
例えば、その場にいない同僚の悪口を言う人を、あなたは人として信頼出来るでしょうか?

多くの人は、「自分も陰では悪口を言われているかも」と疑ってしまうのではないでしょうか?

目の前にいる相手に対しても、その場にいない人に対しても、誠実で一貫性のある態度を心がけるようにしましょう。
 

■6)信頼残高を引き出してしまったときは、誠意をもって謝る

完ぺきな人はいませんから、いくら心がけていたとしても、相手との約束を破ってしまったり、相手に対して気遣いが出来なかっやり、傲慢な態度をとってしまったりすることもあるでしょう。

その時に、心から反省して、

「私が間違っていた、ごめんなさい」
「本当に申し訳ありません」

と、相手に対して誠心誠意、心から謝ることが大切です。

自分の誤りに気づいて、すぐに謝る事はできるというのは、実は成熟さが必要なことなのです。

謝ろうと頭では考えても、謝ったことで
「弱みにつけこまれないか」
「大きな借りができてしまうことで、それを悪用されないか?」
「ダメなヤツだと思われてしまうのではないか?」
などと不安になってしまう人も、中にはいるかも知れません。

そうしたときこそ、「あぁ。自分はこのように相手のことも信頼していないのだな」と気付けるといいのかもしれません。
その後で、改めてあなたが相手との信頼関係を深める決意ができたとしたら、それは素晴らしいことです。
 

多くの場合、自分の非を認めて謝ることで、信頼残高のある相手であるほど、あなたのことを許してくれます。
しかし、あなたの心のあり方や、不正な動機による過ちは、信頼関係を一気にゼロやマイナスにしてしまいます。

あなたのことをすぐには許してくれない人がいたならば、そこではあなたのあり方や、相手を自分の都合のいいように利用していなかったか?を見つめ直しましょう。
 

信頼残高を増やす方法は、言い換えれば、

『相手のためになることを相手の立場に立ってに考えて、行動する』

ということです。

あなたの身近な人との信頼残高はどうでしょうか?
また、あなたの仕事相手や顧客との信頼残高はどうでしょう?

もし信頼残高が低いと感じる場合は、意識して信頼残高を増やす行動を行ってみてくださいね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

成井 裕美

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。