セルフマネジメントのススメ(5)〜相手を理解することが自分を理解してもらう近道〜

今の時代、多くの組織や会社では、社員やメンバーが不満を感じているようです。

それはやり方や方向性の違いであったり、望む仕事ができないことへのフラストレーションだったり、やりがいの薄さであったり。

そんな中で「評価されない」「感謝されない」「チャンスがもらえない」と息苦しさや不自由さを感じ、
その期間が長ければ長いほど「どうせ頑張るだけ無駄だ」と諦めてしまったり、
「もっと自分を活かしてくれるところはないだろうか?」と転職や配置換えという、
”環境を変える”
ことでなんとかこの息苦しさや不自由さを打破しようとすることも多いようです。

このなんとも息苦しい閉塞感を抜ける鍵として、「セルフマネジメントのススメ」と題してシリーズお届けしています。

○これまでのシリーズ
・セルフマネジメントのススメ~自分の価値を活かす~
・セルフマネジメントのススメ(2)~すべては自分の見方次第~
・セルフマネジメントのススメ(3)~終わりを思い描く~
・セルフマネジメントのススメ(4)~「豊かさマインド」を育てる~

今ご覧いただいている「ビジネス心理学」のコンテンツ内で、私は過去に「リーダーが部下を育てるには?」と言う視点で、”他者の成長をサポートするための記事”をいくつか書いてきましたが、
この「セルフマネジメントのススメ」のシリーズは”自己成長”を目的とした内容をお届けしています。

前回は相手と「Win−Win」の関係性を築くために必要な
勝ち負け以外の“全員が納得し、満足できる方法は十分にある”という新しい価値観である「豊かさマインド」のお話でした。

「豊かさマインド」は考え方や心のあり方のようなものですので、
今回は【「Win−Win」の関係性を築くためのコミュニケーション】についてお話したいと思います。

●実は私たちは相手の話を聞いていない

あなたは人の話をどのくらい聞いていますか?
そして、相手のことをどのくらい理解しているでしょう?

以前、私が腹膜炎併発で緊急手術した盲腸になった時に、夜間救急で訪れた病院でこんなことがありました。
かなり辛かったので救急車で夜間救急の病院へ母親も付き添って運ばれたのですが、意識もあるので自分で症状などを話していました。

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私「下腹の痛みが酷くて、水を飲んでも嘔吐してしまいます。」
先生「風邪からくる胃腸炎ですかねー?」

私「熱はないです。風邪の症状もありません。それより下腹部が痛いんです」
先生「胃は弱い方ですか?」
母「確かに、お腹を壊しやすい子です。」

私「少し前に同症状があり、その時には憩室炎と言われ入院しました。抗生物質の投与で炎症の数値が改善して退院しました。
その時も盲腸の疑いがあったので念のためCTとってもらえませんか?
ここに設備がないなら、他を紹介してください・・・」

先生「ストレスからくる胃炎かも知れませんね。最近何か生活や環境に変化はありましたか?」
母「娘はついこの間転職しました!」
私「だからそれは関係ないです。前回の憩室炎での入院時より痛いんです」

先生「痛み止め投与して様子見ますねー」
母「よろしくお願いします」
私「だからせめて腹部のX線か超音波だけでも・・・」
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その後、結局その様子見中に私の容態がさらに悪くなり、意識を失って痙攣したらしく、さらに高次の救急対応の病院に緊急搬送され、即手術。
「もう少し遅かったら腸閉塞に起こしてたくらい危なかったよ」と母は執刀医から説明を受けたそうです。(私は意識不明中)
執刀医からの話を聞いて、母は最初の病院の先生に不満たらたら。
術後意識が戻ってその話を聞いた私は、「いや、お母さんも先生に同意してたやん」と面白すぎて笑って傷が開きかけるという。。。

一体何の話をしているのだ?と感じられると思うのですが、
最初の夜間救急の先生の対応や技量良い悪いという話ではなく、
「診察せずに処方」が行われ、コミュニケーションが成り立っていないということなのです。

例えばこれが職場であれば、
「持っていった提案では、あの会社は通用しませんでした。この内容ではダメです。」
「担当者に門前払いされました。あの会社は無理です。」
というような相談や報告を上司にしたけれども

「そんなことはないだろう。この方法で他社とはうまくいったんだから、お前のやり方が悪いんだ。○○くんを見習ってもっと頑張れ!」

と精神論の回答を受けた、というようなケースに置き換わるかもしれません。
ここでもコミュニケーションが成り立っていませんよね?

●解決を急ぎすぎる私たち

これは私たち誰しもに起こることなのですが、私たちは相手の話を聞いている時に『自分のフィルター』を通して話を聞いてます。
相手の話を聞きながら、自分の過去の経験を相手の話に重ね合わせて、その【自分の基準】に合えば「わかるよ、私もそうだよ」と同意したり反対したり、
「それって○○ってことですよね?」と【自分の基準】に当てはめてイメージしたり、質問したり、助言したりするのです。

そのため、私たちは無意識的ではあるのですが、
相手の話を理解しようとして聞いているのではなく、
「返事をしようとして聞いている」のです。

「次になにを言おう」
「何を質問しよう」
そんな風に、頭の中で考えながら相手の話を聞いている状況は、実は【自分が話すためにしか、相手の話を聞いていない】
と言えます。
一見相手の話を聞いているようで、自分が聞きたい部分だけを選んで聞いていたり、
相手が発した「言葉」だけに注目して、相手の気持ちや意図とは別の形で受け取ってしまっているのです。

私たちは何か問題があると、急いで解決しようとしすぎてしまうことがあります。
上記の夜間救急の先生や、上司のように

相手のニーズや考え、状況や背景を知ろうとはせずに、
とにかく解決しよう、何かしら回答をだそうと 急ぎするあまり、
相手からすると「理解してもらえた」「受け止めてもらえた」と感じれないような指示や方法に走ってしまう。

ことが起こりやすくなるのです。
これは親子間でもよく見られる、コミュニケーションのすれ違いですね。

●相手の理解に徹すると、相手にも理解される

私たちは多かれ少なかれ「自分が理解される」ことを望みます。
それはとっても自然な欲求で、自分の言いたいことを分かってもらいたいし、自分の気持ちや思いを知ってもらいたい、受け止めてもらいたいのです。
だからこそ、相手に理解してもらうために、自分のことをたくさん話して、必死に表現しようとする人もいます。

しかし、人の話を聞くときに「自分中心」であるのと同じように、自分の話を必死にしている時にも「自分中心」ですから、 コミュニケーションが一方的になり、会話が“独り言の応酬”となってしまい、お互いが理解し合えないまま終わってしまいます。

そこでは「自分の意見が通らない」「全く話が通じない」「あいつは何もわかってない!」「こっちはよかれと思ってやってあげてるのに、迷惑そうにされた」という風に、自分が認められなかったことに不満や怒りを感じて、相手を責めてしまうのです。

コミュニケーションの問題の多くは「理解」のすれ違いにあります。
相手の立場に立つことの大切さは、ビジネスやマーケティングの世界だけでなく、対人関係全般の秘訣としてよく知られていますが、

【私たちは人の話を聞けない
(無意識的に自分の基準に置き換えてしまう)】

という考え方はあまり日常に活用されていません。

相手との距離感を縮めるためにも、相手との信頼関係を築くためにも
「あの人は私のことを分かってくれている」
というのはとても大切です。

あなたも「自分のことを分かってくれている」という相手に対しては信頼をおいたり、気を許したり心を開きやすいのではないでしょうか?
そして、そうした相手のことは、自分も知りたいし、理解したいと思いませんか?

よいコミュニケーションの鍵は「まず相手のことを理解するように努めること」なのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

成井 裕美

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。