許し~超越の心理学~

癒しの中核・あらゆる問題の特効薬が【許し】です。

【許し】は、起きた出来事の規模や、時間、距離などの観念を度外視する、恩恵による超越の体験なのです。
しかしながら、自分でできるヒーリングの中で【許し】は最も難しいと言われています。
【許し】は、頑張って「やる」という性質のものではないからです。

自我が強いとき、【許し】を体験することはできません。むしろ【許し】は、自我から解放される手段なのです。
実際には、『なされるがまま』に始まり、『気づけば許せていた』という感覚に近いのかもしれません。
今回はリクエストにお答えして、罪悪感のルーツと、【許し】の本質についてのお話です。

【許し】は人のためではなく、何よりも自分自身に受け取らせてあげるべきもの。
無論、「悪行」にOKを出すことが目的ではありません。
あなた自身の人生を輝かせるためにこそ、参考にしてみてください。

◎リクエストを頂きました◎
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Lecture313自己攻撃の心理学~罪悪感と無価値観の罠~に関するリクエストです。
「かつてあなたが批判してしまった人や状況を許し、解放するたびごとに、自分自身と世界との『無垢なつながり』を取り戻すことができます。」とありましたが、私はそれが出来ずに苦しんでおります。

これは罪悪感を感じつつも「私自身はやっぱり悪くない・・・」という心理が働いているからなのでしょうか。
仮に、私が、過去の消してしまいたい状況を「許し」そして「解放」する事が出来たら、その後のステップって一体どうすればいいのでしょうか?互いの関係にバリアが張られたような気がしているのに、それをどこからか取り去って以前の状態に戻れるんでしょうか?
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リクエストをありがとうございます。
ご相談者の方は、どうしても許せない過去にお悩みなのですね・・。
許したい、過去から解放されたい、だけど、できない・・すごく辛いですよね。

実際、自分でできるヒーリングの中で【許し】は最も難しいと言われています。
頑張って「やる」という性質のものではないからです。
自我が強いとき、【許し】を体験することはできません。
むしろ【許し】は、自我から解放される手段なのです。
実際には、『なされるがまま』に始まり、『気づけば許せていた』という感覚に近いのかもしれません。

【許し】は、起きた出来事の規模や、時間、距離などの観念を度外視する、恩恵による超越の体験なのです。

>「かつてあなたが批判してしまった人や状況を許し、解放するたびごとに、自分自身と世界との『無垢なつながり』を取り戻すことができます。」
とありましたが、私はそれが出来ずに苦しんでおります。
これは罪悪感を感じつつも「私自身はやっぱり悪くない・・・」という心理が働いているからなのでしょうか。

誰しも、【許し】を自ら実行しようとするプロセス中には、さまざまな思考が浮かび、苦しみ、混乱するものです。
許すこと・許されることへの怖れから来る抵抗感のためです。

頑なになっている物質が、柔らかく溶け出すさまをイメージしてみてくださいね。
いっそ溶けた方がラクだけれど、自身が【変質】しちゃうような気がして、なかなかOKを出せないのです。

頑張ってなんとか成し遂げようとするよりも、【許し】というものを、『いつか受け取れますように』と、意図しておきましょう。

●罪悪感のルーツ

赤ちゃんは、罪悪感を知りません。赤ちゃんの頃は、感覚がひとつしかないので、「私」と「あなた」を区別することや、「○○は良いけど、△△は悪い」などの二元化した想念は存在しなかったのです。

しかし、「私」と認識する自意識を持ち始めたとき、「自」と「他」に分離することや、対立が始まり、そこからあらゆる葛藤と罪の意識を持ち始めるのです。
罪悪感は、罪悪感を招き、裁きや判断、ルールや戒律を作っていきます。

●ルールや戒律が破られる理由

成長した私たちは戒律やルールといった制限に縛られて生きます。
これは習慣になり、ふだん意識しなくても、意識下でそれは働き続けますが、その一方で、人間には束縛や制限するものから解放されることを望み、超越体験に快感を覚える性質があります。
ルールや戒律に対して、過度のプレッシャーがなければ、破る必要性もなく、それは生きる上で便利なただの道具であるだけなのですが、そのルールの利点よりも、ストレスの方が大きくなった時、突破されようとするプロセスが始まるのです。

>互いの関係にバリアが張られたような気がしているのに、それをどこからか取り去って以前の状態に戻れるんでしょうか?

ルールを破ったと感じている方も、破られたと感じている方も、「いつ裁かれるのだろうか?」「また責めてしまわないだろうか?」というふうに、膠着状態が続いているのですね。

バリアの正体は緊張感です。緊張を解くには和んだ感じや「ユルユルさ」が必要ですね。
【許し】を、「緩し」と言い換えてもいいでしょう。

そして、以前の状態に戻ろうとするよりも、関係性を進化させたいという意識を持ちましょう。
つながりや親密感が深まった最高に幸せな関係、心の底から満足のいく状態をイメージし、それを味わっている自分を描きましょう。
うまくイメージできると、だんだん、緩んできます。

イメージできない場合は≪まだ許したくない≫と抵抗している自我の存在を認めましょう。
そして≪そりゃあそうだよね≫と受け入れてあげましょう。
ほんの少しでも、緩んできませんか・・・?

私たちが自分でトライするのは【許し】よりも、まず『緩む』にしましょう。

【許し】という恩恵は、緩んだところにやってきます。

>仮に、私が、過去の消してしまいたい状況を「許し」そして「解放」する事が出来たら、その後のステップって一体どうすればいいのでしょうか?

許しと同時に意識が大きく変容しているので、次のステップは自然に明白になります。
解放された安堵感とともに、意識が広がった感じや、自信と高揚感があるでしょうから、その後の人生展開は以前よりずっと自然で、楽なものになるでしょう。

裁きのない、平和な感じが溢れてきます。

許し上手な人の周りでは、罪悪感の出番はなく、実際に「悪行」が増えたりはしないのです。

【許し】は、≪ウエルカム≫と迎え入れているさま。
あなたもお相手も一緒に溶けてしまうような、甘美な体験です。
許し合った関係には、新しいレベルのつながりと魅力が加わり、さらなる歓喜を体験してゆくでしょう。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

対人関係、恋愛、個性、才能、感情の問題など、様々なお悩みに対応するベテランカウンセラー。 深い意識を熟知し、問題を根本解決へと導く。 世界各国で長年にわたり精神世界を学ぶ一方、大手芸能事務所の番組制作協力をワンクール担当する等、豊かな感受性を生かしてカウンセリング生活を楽しんでいる。