噂話の心理学~なぜ人はうわさ話をするのか~

噂話には様々な種類があり、それぞれの目的があります。

本編では、それらの種類ごとの心理的側面について解説していきます。

◎リクエストを頂きました◎
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会社の噂話好きな人にうんざりしています。
どうして人の事ばかり気になるのか、
「○○さんってこうなんだって、ああなんだって」と楽しそうに話すのか理解に苦しみます。
噂話好きの心理を教えてください。
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噂話には様々な目的と心理的な側面があります。
僕が知る限り、特に女性が噂話をすることが多いように感じます。

昔、水道が無くて井戸を使っていた頃、周辺に住む主婦達が井戸の周りに集まってあれこれ話をする“井戸端会議”というものがありましたが、その話題は噂話が多かったのではないでしょうか。

男性に比べて女性が話し好きなのは、誰しも否定しないところだと思いますが、これには私たちの進化の過程が影響を与えています。

心理学に“進化心理学”という分野があるのですが、進化の過程で我々が身につけたパターンを心理学的に扱う学問分野です。
その進化心理学の説によると、遥か昔、我々が狩猟生活を送っていた時代、男性は狩に出かけ、女性は集落で子供たちを育てたり、集落の近くで木の実などを取っていました。

女性は集落の中で日常生活を送っていますから、多くの人達と常に接する事になりますね。
そこで生活する為には他人とのコミュニケーションがとても大切になります。

そこで、女性はコミュニケーション能力を発達させていき、その過程で脳内物質の分泌と結びついて話す事が快感となって話し好きになったようです。

さて、では話す事が好きという前提で考えてみると、私たちが日常で話題にできる事にはどんな事柄があるかと言うと、集まった人たちに共通性がある話題という事になりますね。

例えば、小さい子供を持っている世代では子育てが共通の話題になるでしょうし、住宅ローンを抱えた世代では、節約のためにどこのスーパーが安くて良い品を提供しているか、が話題になる事もあるでしょう。

そのように考えていくと、共通している話題という点では、みんなが知っている“人”の事も大きな共通性を持った話題なのですね。

社内の誰がどうだとか、近所の誰があんなことをしているとか、芸能人の誰それがどうしただとか、人に関する話は無限に湧き出してくる話題の泉、宝庫と言ってもいいかもしれませんね。

ところで、今度は噂話の中身について少し考えてみると、いくつかのカテゴリーに分けることができます。

①誰かを貶めるための悪意のある噂話
これは、特定の誰かに傷つけられたと感じていたり、競争心があって相手より自分が上である事を感じたいための噂話です。

相手を直接攻撃する場合には大きなリスクが伴うため、自分を守るために人を使って対象の人に反撃する事を意図してそのような話をする場合です。

②情報通で価値を認めてもらいたい場合
人が知らない話を自分が知っているという状況で話をする事で、意識せずとも自分には価値があるでしょうとアピールする噂話です。

それぐらい自分には情報収集できる人脈や力があるなど、優位性を感じるためにする噂話です。

③正義のための噂話
自分は正しい、自分は正義だとあたかも裁判官のような立場に立ってする噂話です。例えば「あの人不倫しているみたいよ~」などという話の中には、相手を批判したり揶揄する気持ちがあり、その裏には善悪の観念と自分の正しさが隠れています。

その正義や正しさの承認欲求や自分を承認してもらいたい欲求が隠れています。

④自分の身に振りかかる悪い事柄の噂話
例えば、新しい上司が来ることになった時に、どんな上司かという心配を関係者で共有する為の噂話です。「今度来る上司、相当厳しくて、前の職場ではみんなに嫌われていたらしいわよ」という類の話ですね。

この裏には「大変だね~、頑張ろうね~、結束しましょうね~」という呼びかけの意味も含まれています。

⑤優越感を感じるための噂話
“他人の不幸は蜜の味”とはよく言ったものですが、他人の不幸を題材にする事で「私はそんな人間ではない」とか「(ちゃんとしているので)私にはそんな事は起こらない」という優越感を感じるための噂話です。

これ以外にも様々な噂話に関する心理がありますし、これらが単独であるのではなく、複合している場合もあります。

さて、噂話の頻度は低いですが、男性も噂話をすることがあります。

井戸端会議ならぬ、昔は喫煙者が多くて、“喫煙室談義”などといったものもよくありました。
男性がしている噂話にどんなものが多いかと言うと、仕事絡みではないかと思います。

「あのプロジェクト中止になるらしい」とか「今度の人事で○○さんが部長になるらしい」といった内容が私の経験上は多いように思います。

ところで、最近、私が気になる言葉に“風評被害”というものがあります。
風評とは、辞書によれば「根拠のない噂や憶測」となっていますが、実際に根拠があっても経済的被害があれば“風評被害”とひとくくりにしてしまう使い方をされている場合があるように思います。

単なる噂(風評)に過ぎないのかどうかは、自分の目を養うしかないのかもしれませんね。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。