お互いを大切にするコミュニケーション(2)~自分の傾向を知ろう~

前回、「アサーション」というコミュニケーションスキルについてお話しました。・お互いを大切にするコミュニケーション(1)~違いを認める~
http://ameblo.jp/tukaelbusiness/entry-11079744913.html前回の概要は、私達が普段「これくらい分かって当たり前だろう」と自分を基準にして相手とコミュニケーションをとているけれども、実は同じ言葉を聞いてもそれに対して『どう感じ、どう受け止め、どう意味付けるのか?』という”理解の枠組み”は実は人それぞれ違っている。というお話でした。

そして、今回はその続きです。
「なるほど、人それぞれ違いがあってもいいという事は分かったけれど、具体的にはどんな違いがあるのだろう?」
という事について、今回は

『自己表現の3つの傾向』

を通してのお話です。

突然ですがこんな時、あなたならどうしますか?

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会社で、同僚にいつも自分がやりたくない仕事を押しつけられてしまい、自分ばかりが残業してしまうあなた。

また今日も同僚が「これ頼むよ」と仕事をあなたにふって来ました。
同僚を見ていると、どうやらあなただけが残業をするのは必須です。
あなたはどんな反応をしますか。

(以下の選択肢は、頼まれたお仕事は引き受ける前提になっています)

A「自分は早く帰っても、どうせやることもないし・・・。仕方ないか。やりたくないっていうわけじゃないし
仕事は嫌いじゃないから・・・」
と自分の不満を飲み込む

B「こっちが残業しているのに、あなたはよく平気で帰れるよね!

やりたくなくても仕事なんだから、ちゃんとすべきでしょ!?」
と不満を爆発させる

C「自分にはこの仕事もあるので、両方するのは難しいと思う。どちらか手伝ってくれないかな?」
と自分の状況を伝えた上で相手にお願いする

***

この3つの違いは

A 不十分な自己表現(非主張的な自己表現)
B 過剰な自己表現(攻撃的な自己表現)
C 適切な自己表現(アサーティブな自己表現)

と呼ばれています。
どれが正解で、どれが偉いという訳ではないのですが、私達がしらずしらずにとっている自己表現のパターンだと思って頂けるといいでしょう。

それぞれの傾向について説明しますね。

A:自分の気持ちや考えている事を表現できないパターン

自分の気持ちや考えをうまく表現できないという場合だけではなく、相手に分からないような曖昧な言い方や態度だったり、つい言い訳が多くなってしまったり、小さな声や消極的な態度をとったりする場合や、黙っているという場合もあります。
非主張的な自己表現を私達がとってしまう場合、一見相手を優先してあげているようにも感じれますが、実は自分に自信がなかったり、不安を強く感じているのにそれを隠してしまっている事が多いのです。
その為、非主張的な自己表現の後には「どうせ私はダメだ・・・」と劣等感や自己嫌悪、「どうせ言っても分かってもらえないし・・・」というあきらめやみじめな気持ちを生みやすくなります。
また時には「こっちは黙って引いてあげたのに!」「あなたを立ててあげたのに分かってくれない!」と相手に不満や恨み、軽蔑の気持ちを持ってしまう事もあります。
こうして我慢や不満や恨みが積み重なると、私達はストレスが溜り人との付き合いがおっくうになってしまいます。

B:自分の主張を通す為に、相手の気持ちや言い分を軽視してしまうパターン

非主張的な自己主張とは逆で、自分の考えや気持ちをはっきりと表現できるのですが、相手の気持ちや言い分を無視したり軽く考えてしまい、結果として自分の言い分や欲求を押し通してしまう場合があります。
不当な非難、侮辱、皮肉、八つ当たりなどもここに含まれます。
そこにはその場の主導権を握り相手よりも優位に立とうとしたり、「勝ち負け」で物事を決めようとする価値観の傾向が隠れてることが多くあります。
そうして強く表現することで一旦は自分の要求が通っても、後味の悪い思いをしたり、それが自分の本当の気持ちではなかった事に気づき、後悔することもあるでしょう。
抑えつけられたように感じた側は、大切にされたようには感じれませんから、過剰な自己表現に対して傷つき、恐れてそこから相手を敬遠するかも知れませんし、怒りを感じて復讐したくなってしまうかも知れません。
相手との関係がギスギスしてしまいやすい、相手に「お前は攻撃的だ」と誤解されやすくなってしまいます。

C:自分も相手も大切にしようとする自己表現

非主張的な自己表現と、過剰な自己表現との中間がこのアサーティブな自己表現です。
これは自分も相手も大切にしようとする自己表現で、自分の意見や考え、気持ちを正直に、素直に、その場にふさわしい方法で相手に伝えようと意識する事です。
同時に、相手が同じように自己表現するチャンスを与える事でもあります。
その結果、お互いの意見が異なることが合ってもいいのです。
お互いに素直に話をすれば、自分の意見に相手が同意しないこともあるでしょうし、また同じように相手の意見に自分が同意できない場合もあるでしょう。
しかしその意見の相違を避けようとしたり、禁止するのではなく、
「むしろ一発目で意見が一致するほうがラッキー♪」
くらいな心構えでいるくらいがいいかも知れません。

もし、相手とのコミュニケーションの中で話がなかなか通じない、そもそも話が成り立たない、というように感じる時には、まず自分はどんな自己表現の傾向をとっているのか?を見つめてみるといいかも知れません。
そして2番目に相手はどんな自己表現の傾向をとっているのか?を観察してみましょう。
お互いの違いを認め、お互いの傾向を知れば、そこでは相手をより理解しやすくなりますよ。

傾向を知った上での対策については、次回に続きます。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。