母への罪悪感と憎悪

相談者名
どらえもん
初めまして。私は30歳の専業主婦です。3年前に国際結婚をし、夫の国で二人暮しです。夫との関係は良好です。今まで、反抗期もなく「いい子」として育ってきた私ですが、結婚を機に、母との仲が険悪になりました。私には父がなく、兄弟姉妹もいないので、ずっと母一人子一人の生活でした。現在、私は不安障害のため、薬を飲んでいます。この不安は、子供のころからずっと続いてきたもののように思えます。結婚してから、(母は日本にいます)たびたび母から「あんたは自分の幸せだけを考えて、お母さんのことは考えてくれない」とか、「娘の優しさが伝わらない」と言われてはいつも責められ、どうしようもない罪悪感にさいなまれて、一度自分を罰するような気持ちで手首を切りました。こうすれば、母にもっと優しくなれる、と思いました。今ではバカなことをしたと思っています。幼い頃は、母が全てで、悲しませたくない、動揺させたくない、と言う気持ちと、大好きなのに、なんだかリラックスできない・・・そんな気持ちがつい最近まで続いていました。母とは違い、私は自分の気持ちをうまく言葉で表現することができません。やっと話したところで、母にピシャット否定されてしまうと、半分諦めてしまうんですね。感情表現も下手です。結婚して、最近ようやく夫に対して、正直に気持ちを打ち明けられるようになりました。時々不安が高まると、こんな歳で恥ずかしいんですが夫に「抱っこ」をしてもらうんです。母からも、子供の頃はよく抱きしめてもらいましたが、それとは違ってもっと安心できるんです。ここ半年ほど、母とは連絡をあまり取っていません。電話で話しても、責めて来るばかりなので・・。正直なところ、あんなに好きだった母親に対する憎悪の気持ちが湧き上がってくるんです。母の私への感情が、愛ではなく執着だと知ったとたん、今の私の母に対する気持ちは嫌悪感だけです。母イコール不安と生きづらさです。顔も見たくありません。自分の人生をもう一度見つめ直したいのです。うまく説明できませんが、アドバイスをいただけたらと思います。よろしくお願いします。
カウンセラー
成井裕美
どらえもんさん、はじめまして。
勇気を出してのご相談ありがとうございます。
担当させていただく成井です。今まではお母さんと距離が近かった分だけ、今結婚されて新しい自分の
生活が出来た今、今度はお母さんととても距離をとりたくなってしまっ
たのですね。
「ずっと反抗期もなく”いい子”だった」と書いて下さってましたか
ら、何か今どらえもんさんにとって「親離れ」の時期が来ていらっしゃ
るのかな~?と感じました。
今までは「お母さんと一緒の人生」で、これからはだんなさんと2人で
とらえもんさんの新しい人生が始まりつつあるような感じですね。

動物の親子関係では、一般的に親が「子離れ」をします。
子供が授乳期間中やまだ本当に小さい間は親は付っきりで子供を守り育
てるのですが、子供が大きくなってきて、サカリがつくような年頃にな
ると(実際にはフェロモンが出始めるらしいのですが)、親は子供を自
分たちの群れから追い出します。
追い出すためには、時には親が子を襲い半殺しの目にあわせることもあ
るようです。
結構サファリのドキュメンタリーとか見てるとあるシーンですね。
そうして親は子供が「大人」になったことを認め、そして子供が新しい
世界に飛び出せるように・・・と背中を押すんですね。
そして子供は自立します。
でも、人間の親子は親が子供が思春期になったときに家から追い出すよ
うなことはほとんどといっていいほどありません。
じゃあ、どうやって子供が自立するのか?というと、親が子離れをする
のではなくて、子供のほうから「親離れ」するんです。
「反抗期」はその親離れの1つのプロセスですね。
反抗期までは行かなくても、親のやり方に関して「それは違うんじゃな
いの?」と意見し始めるものこの時期だし、親をうっとうしがるのもこ
の時期に多いことです。
よくあるのは小さい頃はお父さんのひざの上が自分の椅子のようにして
いた女の子が思春期になると「もう!お父さんのパンツと一緒に私の洗
濯物洗わないで!」とか、今までは別にお母さんがどんな服装をしてい
ても気にならなかったのに「参観日には恥ずかしい格好で来ないで
よ!」とか・・・。
それまで「大好き!」と心の中の感覚としてお互いの距離を近くに感じ
ていた分だけ、この反抗期のころには反発します。
それくらい大きな力がないと、離れられないように感じるからです。

そして心理学的にはこの状態を「癒着」と呼んでいます。
今から感覚的なお話をするので、ちょっと想像してみてくださいね。
昔、どらえもんさんがまだ子供だった頃、お母さんのことが大好きだっ
た時代があったと思ってください。
特にどらえもんさんはお父さんもや兄弟もいなくて、お母さんと自分し
かいない生活だったということですから、頼れる大人として、自分のこ
とを愛してくれる大人としてお母さんがいたと思います。
そしていつもお母さんと一緒だった時代です。
その頃に「私たちはとても仲良しね~!」と手をつないでいたと思って
みてくださいね。
あまりに2人が仲良しだったので、「ずっと一緒にいられるように
~!」と2人の手を強力なボンドで引っ付けたと思ってください。
「もっともっと一緒にいられるように~」とどらえもんさんの右肩から
手の先までにボンドを塗り、お母さんの左肩から手までと引っ付けたと
思ってくださいね。
「これでどこでも一緒だね~(*^_^*)」って感じです。
すると・・・どうでしょう?

寝るもの一緒。
(これはいいですよね。)
ご飯を食べるのも一緒。
(これもいいですよね。)
トイレに行くのも一緒。
(ちょっとトイレの中が窮屈だけども、まあOKでしょう)
お風呂も一緒。
(まだ問題ないかも?)
彼氏とデートする時も一緒。
(う~ん・・・。)
旦那さんとHする時にも一緒。
(これは困ります!!!)

一緒だったことに問題が無いときもあれば、「いや~!!!離れて
~!!!」と感じるときもありますよね?
その時、2人が引っ付いている度合いが大きく感じれれば感じれるほ
ど、引きかがすのにとても大きな力がいると思いませんか?

今、どらえもんさんがお母さんに感じている「嫌悪感」はこの感覚だと
思います。
国際結婚されて、今は日本を離れているということですから、物理的な
側面から見ても、何かそれくらい距離が離れないと自由になれないよう
に感じた部分があるのかもしれませんね。

でもこの「癒着」の関係は、感覚的にお互いがボンドで引っ付いてし
まっている状態ですから、お互いにとって適切な距離ではないんですよ
ね。
引っ付いてしまっている分だけ、どこからが自分で、どこからが相手な
のか?も分からないように感じれてしまいます。
今、どらえもんさんにとって「2人の関係を適切な心の距離に戻す」と
いう時期が来ていらっしゃるように感じます。
あの、どらえもんさんが小さかった頃はその距離が居心地よかったかも
しれないし、他に守られるものもなくて、お母さんに全面的に頼らなく
てはいけない時代だったかもしれません。
赤ちゃんがお母さんのおなかのなかでへその緒で繋がっている感覚と似
ているかもしれませんね。
でも、今、大人のどらえもんさんだからこそ、今度はお母さんと大人同
士、対等な関係を築いていくことができますよ!

よければいつでもお話を聞かせてくださいね。
どらえもんさんが「これが私の人生なんだ!」と胸をはって自分の人生
を楽しめるようになることを応援しています。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。