●信じることの行く末〜プラシーボとノーシーボの話から〜

 あなたが何らかの病気や怪我で病院に行き、ドクターが「このお薬は、本当
に良く効きますよ!」と処方箋を切り、それを持参して薬局に行くと処方箋に
書かれた薬剤が薬袋に入れられ、「お大事に〜」と手渡される。袋の中身はあ
なたにとって有効な薬剤が適量入っている。それは血圧を適正にしたり血糖値
を安定させたり、痛み止めや咳止め、皮膚の炎症が軽くなるものだったりする。
 薬を使用していると、あなたの症状はもちろん軽くなる。あれだけ苦しかっ
たのに・・・と思う症状が新しいお薬で楽になる。今度の薬は本当にすごいわ。
あの先生は名医だわ、なんて思ったりする。
 ところが・・・この新しいお薬がただのビタミンだったとしたら・・・。で
もあなたの症状は紛れもなく軽快しているとしたら。
 この、渡された新しいお薬(ここではただのビタミン剤)を偽薬(ぎやく)と
言い、偽薬で症状が軽快している事をプラシーボ効果という・・・と言うのは結
構有名なお話ですね。言ってみれば暗示なのですが、心から信じると言うことは、
病気の症状に限らず絶大な効果がある、と私は思っています。
まあ、私自身、根
が素直と言うか単純と言うか、そう言う事なんかも知れないけど(笑)。
 こういった効果の違った側面として思うのは信じることが状況や人を変えてい
くことが本当にあるのだと言うことです。
あまり学業成績を期待されないタイプ
の子供に、「君にはたくさんの可能性がある」と伝え続けたら一年後劇的に成績
が伸びた、とか、そういった類の話も少なくありません。ピグマリオン効果、と
言うのがこれに当たりますが、ちなみにピグマリオン効果の名前の由来は、キプ
ロス島の若き王、ピグマリオンの物語なのだそうです。
ピグマリオンは大理石に理想の女性像を彫刻し、とても大切にしていました。

のうちいつか人間になって自分の妻になってくれたら・・・と思うほど大切にし
たのだそうです。
その様子を見た女神アフロディテが像に命を吹き込み、二人は
結婚したと言うギリシャ神話からのものです。
その愛の深さを思ったアフロディ
テがピグマリオンの想いをかなえた、と言うところから、ポジティブな信念や思
いが期待通りの結果をもたらすことを言います。
 二十代前半の私は、YMCAでボランティアとして子供達と関わっていたのですが、
その時の研修で教えてもらった事で印象強かったのが二つ。ひとつが「子供はほ
めたり関心を持つとその行動が強化される。無視するとその行動は止む。」と言
うことでした。
子供さんがいる当時の幹部職員の方のこのお話はリアリティがあ
り、20年以上経った今も私の座右の銘です(大げさか)。もうひとつは「あな
たたちはずるい。私がこんなに時間をかけて学んだ事をたった何時間かで聞いて
帰るのだからね。」と言うもの。こちらの方はまたの機会にします。
で、ほめる事のたとえにこんなのがありました。
 一人で食べることをしだした子供が口の周りをケチャップだらけにして一生懸
命食べている。いじらしさと愛らしさに家族、特に祖父母が喜び、「○○ちゃん、
かわい〜い。」「ばあちゃんの方も見て」「じいちゃんはカメラを・・・。」っ
てなことで大騒ぎ。このことに気を良くした?子供の次の食事からの行動は・・・。
あまり毎回毎回汚したりいろんな事をするので、家族全員で当たり前の事として
大げさな反応をしないように振舞ったら、その行動は止んだ。
 
 無視をすると、強化はされないけれど副作用はあるかもしれません。その話は
またするとして・・・。良い子であろうとするときに、親が喜んだ行動をするの
だけどやがて当たり前になりほめてもらえなくなる。ほめてもらうためにまた次
の事を・・・。と言うのは「補償行為」についてのレクチャーでありますが、ま
ったく同じですね。
 で、効くと信じた薬はなぜ効くか、なんですが、要は良くなりたいという強い
気持ちと、薬そのものよりも、たぶん、ドクターとの信頼関係もあるのかな、と
思いました。
社会心理学の実験などで良くやる手法ですが、被験者には内緒でド
クターの振る舞いに条件をつけます。
つまり、「信頼のおけるドクター」的ふる
まいと「淡々としたドクター的」ふるまいを条件にすると、両者ではこのプラシ
ーボの効き加減は違う、と言うのです。
人の信念や信頼と言うものは、体だけで
なくいろんなものを動かします。
疑いが入った時・・・この場合だと、「この先
生大丈夫かな。」「この薬、何だか怪しいわね〜。」と思った人と、何も考えず
大丈夫、と確信している人との違い、と言う感じかな。
 本当に人の心の作用は大きくて、時には命にも関わります。
プラシーボの反対を
ノーシーボと言うらしいのですが、「まあ、あんまり効かないかもしれないけど、
気休めに。」と言って薬を出す状態ですね。「そんなもん、飲みたないわっ!」と
私などは思ってしまいますが、そうでなくても多くの方は不安を感じるんじゃない
かな。
 この事については、こんな恐ろしい実験の話があります。
 ヨーロッパのとある国で、死刑囚を相手に医師団がこう言います。
「人間の体重
の10パーセントは血液であると言われている。私たちは、本当は10パーセント
以上あると信じており証明をしたいので、この実験に協力してほしい。」死刑囚は
承諾し、実験が行われる事になりました。
死刑囚の足指に傷をつけ、目隠しをされ
ます。
静寂の中に、血液の落ちる音が響くだけ・・・。定期的に経過報告がされま
す。そして五時間後、医師たちは大喜びで死刑囚に伝えました。
「大成功です!体
重の10パーセントを超える量が体外に出た!」死刑囚は死んでいました。
ところ
が、事実は体からは一滴の血も抜かれておらず、音はただの水滴でした。
こんな状
態をヴードゥー死と言います。
ヴードゥー教という宗教はさまざまな儀式を持つの
だそうですが、まあ、日本的な表現で言えば、藁人形に刺した釘のところが痛む、
と言う感じでしょうか。要するに「生きることができない」と言う信念がこの死刑
囚を死に至らしめた、と言うことになると思います。
個人的には呪いもこんな実験
も好きじゃない・・・いや、嫌いなんですが(第一、人を呪わば穴二つって言いま
すし(~_~;))、それだけのエネルギーを愛の方向に向けられたら世界はほんまに平
和になるやろなあ、って思うからです。
 まず、自分が楽で、幸せである事を信じてみましょう。今どんな状況にいても苦
しくても、幸せになれる、と信じる。あるいは今は幸せだけど先はわからない、な
んて考えてはいませんか?私はつい考えてしまうタイプですが(笑)、私の今年の
テーマは、「信じ続けること」。進み続ける自分や、良い状態でいつもいられるこ
と、それはもちろん自分だけではなく大切なパートナーや家族や、友達や、仲間や
・・・世界中のみんなにまでその想いを拡げていけたら・・・と思っています。
 世界のどこに行っても愛で満たされ・・・なんて言う表現がないくらい当たり前
に温かく優しい世界にしていくこと。今はまだ悲しいニュースも多いけれどきっと
いつかそうなる、と私は信じています。

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