仕事に行くのがいやだなと思ったら

仕事に行くのがいやだな〜と思うこと、ありますよね。

「いつでも毎日、仕事に行くのが楽しくて仕方ない。」という人がいたら、それは素晴らしいことですが、私はあんまりお目にかかったことがありません。

私も会社員生活を40年近くやりましたが、自分に合っていると思う会社であったり、今、仕事が波に乗ってる!という時期でも、ほぼ毎週、月曜日の朝は「行きたくない〜。」と思いました。
そして前日の日曜日の夜は「ああ〜、明日は仕事だ。」と思うと、なんとなく心が沈んでしまう、いわゆる「サザエさん症候群」が起きていました。

どんなに波に乗っていようが、評価されていようが、決められた時間に決められた場所に行って、「やりたいこと」というよりは「やるべきこと」をやる、というのは抵抗を感じるものかもしれません。

スーツを着る、重い鞄を持つ、ましてや満員電車に乗って通勤しなくてはならないというのがまず、とても苦痛でした。

でも、いやだなぁと思いながら家を出て、きついなぁと思いながら電車に乗って、会社に着いてしまうとなんとなく勢いで仕事をしてしまって、そんなに嫌な気持ちではなく1日が終わる。
終わったときには「よーし!」という気持ちになる、ということがほとんどだったと思います。

ただし。
毎日5時間以上の残業を続けて、何度もダウンしながら会社に行き、一歩ずつ鬱になっていった時期は違いました。

会社に着いて仕事を始めても、仕事はもちろん、上司と話すのも、ランチするのも、息をするのも1日中苦しい気がしました。

それでも毎日、「会社に行かなくちゃ、行かなくちゃ」と思っていました。

そしてついにドクターストップがかかり、会社を辞めることになるまで、それは悪化してしまったのです。

いやだなぁ〜と思いながら会社に行って、すっかり忘れて前向きに仕事をしてしまうのと、息をするのも苦しくなってしまうのと、朝の「行くのがいやだ」は同じなのに、それでは何が違うのでしょうか?

人それぞれ、さまざまな状況があるかもしれませんが、『自分とつながる』ということが、鍵になると私は思います。

『自分とつながる』ができていると、「ああ、これはもう疲れが限界に来てるな」とか、「この仕事はやるべきだけれど、自分はもう耐えられないくらい嫌だ」とか、自分のリミットがわかります。

『自分とつながる』は心理学ではよく使う言葉なのですが、一般的にはちょっと変な言葉かもしれませんね。

それは、自分の心の声や体の状態を把握できていて、それだけではなくて、それを承認できている状態のことを言います。

自分の心に浮かんだことにちゃんと自分で気が付いて、そしてそれを「そんなこと感じちゃだめ!」ではなくて、もっと静かに「そうだよねえ〜」と言って認めてあげている感覚です。

自分とつながっていると、自分が今、どのくらい我慢していて、どのくらい耐えられて、あとどのくらいで耐えられなくなるのかがわかったりします。

これは幸せに働いて生きていくために、とても大切なことなのです。

この『自分とつながる』をちゃんと使えるためには、やっぱり心にちゃんと栄養がいきわたっていることが必要です。
心の余裕、心に栄養がちゃんとあると『自分とつながる』が機能してくれます。

お休みの日は好きなことをするとか、ちゃんと睡眠をとるとか、きちんとよく噛んで食事をするとか、あとは本当にいやだなと思ったら会社を休むとか。
そういうことが心の栄養になります。

社内恋愛というのは、叶わぬ私の憧れでしたが(笑)、会社に何か楽しみを見出すのも良いかもしれませんね。

私が時々、心の栄養不足でご自分とつながれなくなってしまったクライアントさんに「宿題です」と言って、お勧めすることがあります。

それは、朝、電車のホームまで行って、通勤とは反対方向の電車に乗り、気に入った駅で降りてカフェに入り、ゆっくりコーヒーを飲む、ということだったりします。
その途中で「今日は体調不良でお休みします」と連絡したって良いではありませんか。

大したことでもなくて、ちょっとやってみたいけど、そんなことやれないよねと思うことで、別に人の迷惑になることでもないこと。
それを自分にやらせてあげるのです。

私もやってみたことがあります。

不思議な感じがしますよ。

いつも乗る満員電車を見ながら、反対側のガラガラの電車にゆっくり座って乗って、知らない町に行くのです。
知らない町をぶらぶら歩いて、知らないカフェに入ってコーヒーを飲む、ただそれだけなのに、なんだか冒険をした気がします。

こうして心に少し余裕を作って、「明日は会社に行こう」と思えるのか、「やっぱりどうしても嫌」と思うのか。
それをご自分の心に聞いてみると、答えがわかるかもしれません。

そうやって自分の心にちゃんと自分で耳を傾けてあげると、それだけで心はかなり安心して、やる気が湧いてくるかもしれないのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

離婚やハードワークによる鬱、親の介護など、さまざまな経験をしてから心理学を学び、【心が変われば、いつからでも人生は変えられる】ことを体験した。企業の人事や人材サービス会社など、人に関わる仕事歴30年。その人らしさを大切にし、新しい希望を見出すためのサポートをモットーにしている。