○介護のコツ

僕たちが一様に年を取るのと同じく、僕たちの親も年をとります。
両親が老人となり、身体の自由をなくしていく姿を見るのは、歯が
ゆいときもあれば、切ないときもあるかもしれません。


誰かの手を借りなければ日常的な動作もままら無いほど、両親が年
をとったとして、僕たちはそんな両親と、どう付き合って行けばい
いのでしょうか?
そんなとき、両親が、縁側に腰掛けて、お茶を飲みながら日向ぼっ
こをしている、かわいいお年寄りになっててくれれば問題ないと僕
などは考えてしまうわけですが、僕の両親はとっても頑固者で、日
向ぼっこどころか、
「子供の世話になるぐらいなら死んだほうがマシ」
とのたまってしまうような、とっても頑固な両親です。
そんなご両親をお持ちの方にとって、介護の問題と言うのは、将来
の懸案としてあまり考えたくない問題でしょうし、また、現在進行
形で介護をされていらっしゃる方にとっては、ある意味、苦痛な時
もあるかもしれません。
介護問題で、どうしてもあがってきてしまう心理的な問題として、
介護する子供の方は、罪悪感に、介護される両親は無価値感に入っ
てしまい、与え合うのみで受け取れあえない、という状態に陥るこ
とが時としてあるようです。
僕たちの側には、子供のころから今日まで、両親に反発したり、両
親を、いい親じゃなかったと思っている度合いだけ、つまり、両親
を責めてきた度合いだけ、年をとった両親を見るのはとっても嫌な
感じがしてしまうときがあるかもしれません。
本当に不思議なもので、最低で最悪な両親だったと思っていたとし
ても、年老いて、身体の自由が利かなくなった両親に対しては、僕
たちは、「ざまあみろ」とはあまり感じないもののようです。
また、そう感じたとしても、長続きはしないみたいです。
両親を責めてきた度合いだけ、そのざまあみろは自己嫌悪に変わり
、年寄りをののしる自分を罰してしまう結果になってしまいます。
では、両親の方はどうでしょうか?
僕たちの側から見れば、こんな最低な子供になんて、世話になろう
と思っていないに違いない、と見てしまいがちですが、実は、両親
も、罪悪感を酷く感じていることが多いみたいです。
特に、頑固な両親ほど。
子供にお菓子をくれたり、孫にお小遣いをあげたりと、お年寄りが
何かを誰かに上げようとする姿はたいへんよく見かけます。
むしろ、もらおうとするお年よりよりも、あげようとするお年より
が本当に多いです。
自分の育てた子供は自分の力を上回り、無力をひしひしと感じなが
ら生きている側面をもつお年寄りは、自分が与えるものを喜んで受
け取ってくれる、小さな子供が大好きです。
これは自己価値の証明といえる行為と言われる方もいらっしゃるか
もしれません。ですが、人間はそんなことのためだけに一生懸命に
なったり、「だめだ」と自分を責めたりできるほど、底の浅い生き
ものではありません。
もちろん、それが無いわけではありませんが、少なくとも、半分は
「誰かに与えたい」という自然な愛情からくる欲求も当然にありま
す。
誰にも何も与えられない自分を見たときに、価値を見出せなくなる
のは人間として正しい反応です。
僕たちがもっとも無力や罪を感じるのは、「与えられない」という
ことですから。
体の自由を失ってしまった介護を受ける側の両親は、本来ならもっ
とも与えたい自分の子供に助けられないと何も出来ない、という状
態に陥っているわけですから、腐りもします。憎まれ口も言いたく
なります。
という状態になっていることが時としてあるわけですね。
まったく困ったもんです。
では、そんな困った両親と、どう付き合えばいいのでしょうか?
答えは簡単、受け取ってあげることです。
今、与えるものが無い両親としても、昔与えてくれたものを、今
受け取ってあげるのでもいいのです。
何も与えてくれなかった、と、もし、感じてしまうのなら、今、
あなたが感じている両親の面倒を見るつらさが、昔、両親が、あ
なたを世話していたときに感じていた感情なのかもしれません。
それを理解していくだけでもいいのだと思います。
介護のコツは、「与えるのと同じぐらい、受け取ること」。
チャレンジしてみると、介護がまた、違ったものに変化知るかも
しれません。

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