私の引っ越し 〜彼に本当に伝えたかったこと〜

今、私は、引っ越しの準備をしているところです。
婚活アプリで出会ったパートナーと一緒に暮らすためです。
彼が先に引っ越し、私が後に続いて引っ越しするんです。

大好きなパートナーと二人で、新しい家で新しい生活をはじめるのです。
ウキウキ、ワクワク、のはずなんですけれど‥。
思った以上に引越しが大変。
「モノ」を捨てるってこと、こんなに大変なんだって初めて知りました。

私は「モノ」は少ないんですが、彼の「モノ」がめちゃくちゃ多いんです。

彼が住んでいた家は広いお庭とベランダがある大きな一軒家。ご家族4人で暮らしていました。
奥様は5年前に病気で亡くなられました。
お洗濯とご飯を作ること、彼は頑張りました。
でもお片付けとお掃除は苦手。奥様が亡くなって5年の間に、広いお家はモノでいっぱい、汚れ放題。荒れ放題になってしまったのです。

彼の家に初めて行った日から、少しでも時間があると、私は彼のお家のお掃除や整理整頓をするようになりました。
でも、なんせ5年間手入れされてないんですから、そう簡単には綺麗にはなりませんでした。

でも。今回の引っ越し。
「これは断捨離する大チャンス!!」って思いました。

今度の私たちのお家は3LDK。彼の一軒家の半分以下の大きさです。
モノを入れるスペースが少ないことを理由に、いらないモノをぜ~んぶ捨てる。
新しいお家で、パートナと二人の新しい生活をはじめる。
「綺麗で清潔で居心地のいいお家にするんだ!」って気合が入りました。

でも、その断捨離。一筋縄ではいきませんでした。
お家が広くていくらでも収納できるので、めちゃくちゃ「モノ」が多いんです。

その上、私にとって。それはただの古いモノだとしても、使えなくなったモノ、いらなくなったモノに見えたとしても。彼にとっては、亡くなった奥様、お子さんたち、ご家族の「思い出」の品物なんです。

彼が大切にしてるものを万が一、間違って捨てちゃったら‥。もう、罪悪感でいっぱいになってしまう。その上嫌われちゃう。
そう思った私。判断できないものは、「捨てていい?」って彼に確認しながら捨てました。
数が多いから、とっても手間と時間がかかりました。

彼は「捨てていいよ」っていうんです。
でもねぇ、な~んか悲しそうだったり、嫌そうだったりするんですよね~。
彼は、本心は、捨てたくないんだな~って思いました。
でも、こじんまりした新しい家には、そんなに「モノ」をたくさん持っていけない。心を鬼にして「モノ」を捨て続けました。

彼から先に引っ越しできたんですが‥。

引越し先は、全部のお部屋が段ボールでいっぱいになってしまいました。
全然「モノ」がなくなってないんです。
あんなに捨てたのに!!愕然としました。
そのあと、一生懸命に整理しました。
でも、頑張っても頑張っても、全然整頓されないんです。綺麗にならないんです。
やってもやっても散らかったまんま。

自分の家に帰った私は、絶望してしまいました。
私がどんなに頑張っても、ダメなんだ。全然片付かない。私の力では、「綺麗で清潔で居心地のいいお家」になんてできないんだって。
ホント、無理って。片付けもできない自分を責めました。

でもそのうちに‥。「それもこれも!彼が昔の「モノ」にこだわって捨てないからだ!」「彼のせいだ!」と私の怒りの矛先は「彼」に向かっていきました。
もっとモノを捨てて欲しい。そして、古いモノは買い替えて欲しい。
特に電子レンジと洗濯機!彼は「まだ使える」っていうと思うけど、古すぎる!!今日こそはガツンと言ってやるぞ!!と鼻息荒く彼に電話をしました。

でも、やっぱり気弱な私。
「モノがいっぱいすぎて。もっと捨てて欲しい」ってこと。「古いモノは新しいモノに変えてほしい。」「電子レンジと洗濯機を買って欲しい」ってことを蚊のなくような声でやっとこさ言いました。
彼は「私も家族との思い出がありすぎて、思い入れがありすぎて、なかなか捨てられないんだよねぇ」と言いつつもわかってくれました。

でも、「電子レンジと洗濯機」の方は‥。「電子レンジと洗濯機、買うけど‥。」「それでひろみさんの気が済むの?」「ホントにそういう問題なの?」と彼に何度も食いつくように聞かれました。
電子レンジも洗濯機も古くなってて汚いから、買い替えて欲しいだけ。当たり前じゃない!そんなこと。そう思っていました。

でも、何回も彼に「それで気が済むの?」と聞かれるうちに、ハッとしました。

電子レンジや洗濯機。家族の生活を支えてきたもの、家族の温もりが感じられるようなもの、なんです。
でも、それがそこに「今も」あることで、「私」がいる場所がない、そんなふうに私は感じてたんです。
でも、前は彼と彼の家族のお家でした。だから気にならなかったんです。

でも、今度は新しい「彼」と「私」の家。
それなのに、引っ越ししても「私」のいる場所がない‥。
引っ越ししてもまだ、彼と彼の「家族」の家の隅っこに「私」がいる。お邪魔させてもらっている。
そんな感じがしていたのです。

だから、新しい家は「私」の居場所ができるように「私」が入るスペースができるように。私は一生懸命「モノ」を捨て続けたんだ!
そう気がついたんです。
「私」は「モノ」が溢れていることが悲しいんじゃなくて。新しい家にも「私」の居場所がないように感じたこと、それが悲しくて仕方なかったんです。

そして、それは「彼の心の中」にも「私」の居場所がないってことなんじゃないかって投影してしまっていたんです。
だから、こんなにも頭にきちゃったし、悲しくて、絶望してしまったんだなって気づきました。

私は電話で、「あなたの家族のモノばっかりあると、自分の居場所がないみたいに感じるんだよね」「だから捨てて欲しいんだよね」泣きながら伝えました。「やっとあなたの気持ちがわかったよ」と彼はわかってくれました。

でも、その電話の後。もっと彼に伝えたいことがあるって気がついたんです。

怒りは感情の蓋って言われています。
その蓋の下に、本当の気持ちがあるんです。
だから、怒っている時って、自分の本当の気持ちってわかっていなかったりするものなんです。
私も怒って彼に電話した時、全然わかっていませんでした。
電話の後でわかった、私が本当に彼に伝えたかったこと、それは。

それは家族との思い出は大切なのもわかるけど‥。
「これからは私と一緒に生きるってコミットしてほしい。」ってことだったんです。
家族のモノを捨てろってことじゃなくて、忘れろってことじゃなくて。
LINEで伝えることができました。
彼は私の本当の気持ちを受け止めて、わかってくれました。

そのLINEのあと。私は前ほど、引っ越し先の家の中が「モノ」で溢れていることが気にならなくなりました。
これから徐々に片付けたらいいじゃんって思えるようになったんです。
ホント、不思議です。

そして、もう一つ気がついたことがあったんです。

私は、私一人で、「綺麗で清潔で居心地のいいお家」を作ろうって思っちゃってたってこと。
「彼」と「私」の二人の家なのに!一人でどうにかしようって奮闘してたなって気づいたんです。
それじゃ、いけない。これからは一人じゃなくて。「彼」と「私」と二人の人生なのです。
なんでも二人でやっていくんです。

私も。「これからは彼と一緒に生きる」そうコミットしなきゃいけなかったのかもしれません。

この記事を書いたカウンセラー