夫の酒癖、女癖

相談者名
はるか
結婚して半年になる32歳の夫は、週に何回かいわゆるママのいるスナックへ飲みに行きます。
自営の仕事で時間に融通が利き、お金にもある程度余裕があるので、飲んでは吐いてを繰り返し、帰ってくるのは朝です。
結婚前、遠距離恋愛をしている時、お店の女の子を家に連れ込んでいて、修羅場になったことがありました。
(夫の周りではお店の女の子の‘お持ち帰り’はごく当たり前のことで、中にはいくつか家庭を持っている人も何人かいます。
‘通い婚?’また夫自身も子供の頃父親が家庭を二つもっていました。
)それ以来、私は、いつでも抱ける女の子たちの前で下世話な話で盛り上がっている彼を無神経に思い、朝帰ってくる彼に冷たい態度をとるようになりました。
一方で彼はただ飲んでるだけなのにどうしてそんな冷たい態度をとるのかわからない、わかってもらえないから寂しいとなり、元々自分の感情に素直な性格なので冷たくされるなら帰りたくないと、飲みに行く回数がどんどん増え、という悪循環になりました。
それではいけないと思い最近は朝帰って来てもすごく優しく接してあげると、飲む回数も減って、時間も朝五時くらいまでには帰ってくるようにはなりました。
けれど、私はそもそも30過ぎた男の人が日常的に何度も吐いて泥酔状態まで飲み続けるのは、おかしいと思いますし、さらに「<旦那>さんは真面目な人だよ、お店の女にしか手を出さないからね」と本気で言っている彼の友達も理解できないのです。
私はそんな彼の酒癖、女癖を治してあげたいという思いもあり結婚したのですが、彼は悪い事をしているつもりもないし、治すつもりもないのです。
話し合っても根本の「いい、悪いと思うこと、かっこいいと思うこと」などが二人とも違いすぎて、結局理解できないまま、許そうにも許せないのです。
私はどうしたらよいのでしょう?よろしくお願いします。
カウンセラー
深澤三津子
はじめまして、はるかさん。
カウンセラーの深沢三津子です。

最初に申し上げますが、はるかさんからのご相談は、道徳や倫理、
あるいはモラルといった心理学を越えた所にも及ぶ問題でもあるように思います。

また、男女の違いもありますし、
人それぞれ、許せる事、許せない事の内容や範囲にも違いはあり、
ここでは、一般的にという表現になりがちな事をお許しくださいませ。

はるかさんから頂きました相談内容を読み取ると、
パートナーの動向は、
「優しくしなければ、飲みに行く回数が増え、
優しくすれば、回数が減る」
とあります。

普通に考えると、それぐらい、わかりやすい反応をしてくれるパートナーであれば、
「もっと、もっと、もっと、優しくしてあげればどうですか?
はるかさん次第で変わるのではないですか?」
というお話になるのでしょう。

たぶん、この事には、はるかさんも気づかれて、
色んな努力もされてきたからこそ、ここにご相談頂いたのではないでしょうか?
今までしてきた努力も自分が目指す現実とは程遠く、
結婚した当時の決意を断念しそうになる自分を、
どう扱っていいのかわからないのではありませんか?
なんとなく、この問題を、もう諦めようかどうしようか迷っているのでは?

自営の仕事や営業の仕事をしている男性は、
どうしても、酒の入った場所や、女性のいる接待や飲み繋がり、
そして、その場所で創るからこそという繋がりを大切に考えている人も、
実際的には、まだまだ多い現状があるように思います。

時代は変わったとはいえ、
妻以外にいる女の数で、男の権力やパワーが示されていた時代がありました。
戦後に訪れた高度成長期の日本では、表に表現される事はタブーとされつつ、
当たり前のようにあった意識のようです。
また、そんな夫を、何も言わずに「おかえりなさい」と迎え入れ送り出せる妻ほど、
器量良しと評価され、義両親からも受け入れられたのですから。
これは、ほんの少し前の話。
そう、まだその時代は、はるかさんの義両親の若かりし頃ですね。

もちろん、戦後の日本は、大きく変わろうとし、
現在は、結婚しても仕事を持つ女性が5割弱という数になってきました。
これは、このような時代の移り変わりと共に、
女性の経済的な側面は、結婚後のお互いの自由を育てると考える、
女性の心が向かった、結婚後の生活の変化なのかもしれません。

また、時代をもう少しさかのぼれば、
江戸時代でも、殿様ならば、正室(妻)の他に数人の側室を設けるのは、
公然とした行いのようでした。
酒は、めでたい宴の場にはつきもので。
飲めや歌えやのお祭り騒ぎ。
今でも、一夫多妻制の国も、世界にはあります。

と、こんなふうに歴史をさかのぼれば、
誰も悪くないし、時代が作ってきた意識だとわかっていても、
この生活を共に家族として共有し始めると、
やっぱり大変ですね。

パートナーシップというのは、相手のペースと、
はるかさんの生活のペースの両方が満たされ、統合されていく事が大切です。

ただ、この問題は、どうやら義父から続いて、
はるかさんのパートナーは、それを、目のあたりにしてこられ、
渦中の父の在り方もずっと見て育って来られています。

ある意味で、父を見ていて、
「ああいうふうにするんだ」と捉え、
正しい・間違い、善・悪、などを超えた所で、
父という存在、家族という在り方、男性の先輩として、
という観点などで、意識が構築されて来られた方です。

こういうケースの場合は、はるかさんが、望むような夫を目標に、
与えていくのにも、かなり困難を要するケースだと思われます。

でも、諦めたくないはるかさんの気持ちもわかります。
だけど、「相手にこうあって欲しい、こうして欲しい」と望み、
これをコントロールにしてしまえば、
相手のコントロールに成功しても、
自分自身もコントロールする事になりますので、
かなり苦しくなる一方じゃないかと思います。

ここでは、「彼の酒癖、女癖を治してあげたいという思い」が、
彼の望みでなく、自分の欲求であるという事を認めて、
それでも、はるかさんが、彼を結婚というパートナーに選び続けていくのであれば、
腹をくくる覚悟が必要になりますね。

女優さんが、夫に浮気され、それをスクープされ、インタビューで、
「浮気も芸のうちです」と貫き通す場面が時々見られ、
コメンテーターに、これは本音か演技かと言われながらも、こういうケースでは、
不思議とマスコミも、それ以上は追っかけないようです。
そして、言葉にはしませんが、そんな女優さんを応援したくなるものです。

はるかさん、この選択は、結婚前からずっとあったものですね。
『変化する』というのは、その人自身の問題になります。
残念ながら、『自分が変わると相手が変わる』とは言いますが、
ある段階において、相手の『変化する』意識を信頼する必要が出てきます。

その問題は、その人の問題です。
冷たいように聞こえるかもしれませんが、
その人に、その気がなければ、周りがどんなふうに言っても、
無理やりやってもらっても、やっぱり改善を見られない事が殆どです。

ですので、ここでは、勇気がいりますが、
相手の意識を知り、相手の意識を全面的に受け入れるという
相手そのものを、そのまま見て受け入れるということが必要になります。

そして、選択です。

はるかさん、あなたの結婚というパートナーに、
今のパートナーが全く変わろうとしなくても、
あなたは彼を選び続けていきますか?

もし、彼を選ばないという選択をしたとしても、
きっと誰もはるかさんを責める事はしないでしょう!
はるかさんが自分を責めないでいればね・・・

はるかさん、パートナーを大切に思う気持ちはわかります。
でも、あなた自身を、もっと大切に扱う気持ちを見つめた時に、
パートナーの意識が変わる可能性はあります。

もし、お2人ともが、意識を変え、
お互いにパートナーが真実のパートナーであるならば、
こんなにも無理と感じている意識の中にも変化が訪れ、
二人の意見が交じり合った幸せな結婚が育まれていく事でしょう。

はるかさん、あなた次第なのです。
『パートナーシップとは、愛を育むためにあるもの』なのです!

もし、上手く行かない、幸せでない、苦しい、辛い、などなど
ネガティブな現実があるならば、それは、癒す必要がある自分の傷を
見つめるときなのかもしれません。

最後に、はるかさんに気づいて欲しい事があります。
こんなにも意識に違いがあるのかと感じているようですが、
ここでの大きな鍵は、朝帰りや酒癖・女癖を否定するはるかさんを
彼は結婚のパートナーに選んだという事実です。

それは、彼の中にある、お父さんを見てきたから宿った、
はるかさんが考えるような意識も存在する証じゃないかと思われます。
それでも、彼は父を見て育っています。
父と違う生き方を、やり方をやろうとしても、
長い年月を、今までの彼の道徳や倫理感の中で生きてきたのです。

カウンセリングでは、このような彼への理解を、もっともっと深める事から、
もう一度始めてみる事をお勧めします。

ぜひ、次のステップに進んでくださいね。

はるかさん、あなた自身の人生を、もっと大切にしましょうね。
お世話や要求でなく、愛を選択しましょう!!

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