パートナーに愛してもらうために

こんにちは、平です。

先日、“周囲に対して、ものすごく気をつかうタイプ”の女性から恋愛相談を受けました。

彼女は自分にまったく自信をもっていませんでした。

客観的に見ると、おとなしくて、かわいらしいタイプの女性で、どちらかというとモテるほうなのですが、当の本人は、自分にまったく自信をもつことができずにいたのです。

彼女は九州の片田舎の出身で、地元で短大を出たあと、東京で就職したそうですが、強いコンプレックスの原因の一つは、なかなか方言がとれなかったことにもあるようです。

標準語でまあまあ会話できるようになるまで2年ぐらいかかったそうですが、それまでは口数が少なく、まわりの人ともあまりコミュニケーションしなかったのだそうです。

かわいらしい彼女ですから、声をかけてくる男性もいました。が、彼女が会話に乗ってきてくれないので、自分はいやがられているのだろうと思い、去っていくことが多かったようです。

まさか、彼女が標準語が上手に話せなくて、まわりの人に嫌われたくないために言葉少なになっているとは、だれも気づかなかったわけです。

自分に自信がないぶん、彼女はその足りないところを埋め合わせるために、いつも「なにかしなくては‥‥」とも思っていました。で、おかあさんに言われていたこともあり、料理、お花、お茶、着付けに至るまで、それなりに勉強しました。

さらに、彼とデートするときは、嫌われないようにと緊張するばかり。

そのため、いつも疲れ果て、まったく楽しめないデートになっていました。

それは彼にも察知され、「楽しんでる?」とか「僕といてもつまらない?」などと言われてしまう始末。それがまた彼女の自己嫌悪を作るという悪循環にもなっていました。

そんな彼女の中にある男性のイメージは、「ものすごく強く、たくましい」というものでした。

一方、自分のイメージはその真逆で、「なにもできず、いつも足手まといになる。それはすごく悪いこと」というものでした。

彼女の頭の中には、「なにもできない=かわいい」という図式はまったくなかったのですね。

その彼女に、私は少し前にわが家に生まれた子ネコの話をしてみました。「とにかく手がかかり、たいへんなんだけど、ものすごくかわいい」という話です。

彼女も田舎育ちなので、子ども時代にネコを飼った経験があるそうで、たしかに、ペットはなにもできなかったとしても、どんなにかわいいかということはご存じでした。が、その発想は、自分のことにはなかなかつながりませんでした。

しかし、この話がどこか気になっていたとのことで、後日、会社で気になっている男性と飲みにいく機会があったとき、ちょっと聞いてみたそうです。「なんでもできる女性のほうが、なにもできない女性よりいいわよね?」とストレートに。

すると、びっくりしたことに、「オレはなにもできない女性のほうが、かわいくて好きだな」と彼は答えたそうです。さらにもう一つ、彼女を驚かせることを彼は言いました。

前述のように、彼女は「自分はなにもできない人間だ」と思っていたので、それを埋め合わせるために、会社ではどんな仕事でもこなせるようにと猛烈にがんばり続けていました。

で、その彼女について、彼がもっていたイメージは「なんでもできるスーパーガール」だったのです。

お酒の席でもありましたので、彼女はつい、「自分はなにもできない」というコンプレックスをどれほどもっているかということを彼に話しました。

こんどは彼がびっくりする番でした。「まさか、きみがそんなコンプレックスをもっていたなんてね」。そして、そんな彼女のことを、彼はとても気に入ってくれたようなのです。

「なにもできない」、それはひょっとして、パートナーがあなたを愛するために必要なことなのかもしれませんよ。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。