一人だけの世界

パートナーシップは、あなたのすべての世界をパートナーに知ってもらわないと、なかなかうまくいかないようですよ。

こんにちは 平です。

彼は共働きの両親のもとに産まれました。
両親とも教師で、母方のおばあちゃんの家が近所だったことから、小さいうちは、1人でずっと家にいるということはありませんでした。

彼が小学3年生のときに両親が家を買って引っ越し。それを機におばあちゃんとは離れてしまい、両親が帰ってくるまでひとりぼっちで家で過ごすことが多くなりました。

が、彼なりにその環境に順応し、さほど問題もなく成長してきました。趣味やゲームなど、自分の世界にドップリとハマるタイプだったのです。

その後、それなりに優秀な大学を卒業し、社会人となったわけですが、恋愛を経て結婚したころから、彼の問題が顕在化してきたのです。

子どもも産まれ、彼自身はなんの問題もないと思っていました。が、とにかく奥さまが彼に対して怒ることが多かったのです。

最初のうちは、彼女の問題として「ほんとうに困ったもんだよ。こんなに怒る女だとは思わなかった」と言っていた彼でしたが、あるとき、会社で奥さまのことをグチったところ、部下の女子社員一同からこう言われてしまいました。「奥さまは怒って当然です!」。

それで初めて「自分にも問題があるのか?」と思うようになった彼は、私どものところにやってくるハメになったわけですが、やはりというか、彼には悪気がまったくないのですが、セミナーなどでグループを組んだときなどには女性たちから嫌われることが多かったのです。

では、なにがいちばん問題なのかといえば、彼は自分の話はしても、人の話をほとんど聞くことがないのです。

一つには、彼が一人っ子として育ち、自分の話を聞いてくれる存在がまわりにあまりいなかったのが原因かもしれません。が、もっと大きな原因は、彼が自分以外のものにあまり関心を示さないということにありました。

彼の奥さまが彼に向けていちばんよく言う言葉は、「ねえ、ちゃんと聞いてる?」だったわけです。

人が「愛されている」と実感するためにいちばん大切なことは、相手が自分にしっかりと関心をもってくれているかどうかだといわれます。

つまり、無関心というのは、心理的に見ると愛の対極にあるといえるのですね。

シカトという言葉がありますが、私たちはしばしば嫌いな人を無視しようとすることがあります。これは一つの怒りの表現といえるあるわけです。

この彼の場合、もちろん、彼なりに奥さまとお子さんのことを愛しているわけです。
が、それがどうも自分の心の中だけに収まっていて、愛情のコミュニケーションができないのですね。

すると、奥さまにとっては、まるでご主人が自分や子どもに関心をもっていないように感じられてしまうわけです。

人はしばしば「自分だけの世界で生きる」という選択をすることがありますが、これは一つの防衛です。もしかしたら、彼にもそんな部分はあったのかもしれません。

人とのふれあいは、うまくいっているときはとても心地よいものですが、うまくいかない場合もあるわけで、そんなときは人と関わることで心が傷つくこともあります。

すると、この自分の世界で一人で生きるという防衛スタイルがでてくるわけです。恋愛でいえば、「どうせフラれてしまうのなら、最初からだれともおつきあいしない」とか「もうこれ以上、傷つきたくないので、恋するのはやめる」という考え方がそれにあたります。

しかし、自分の世界に引きこもっているかぎり、あなたは「人というものは自分を傷つけるものである」という自己概念を作り、それを信仰しているということになります。

すると、あなたのそばにいる人は気分が悪いわけです。なぜなら、「あなたは僕のことを傷つける人でしょ?」と言われているようなものですからね。

「長年にわたって作り上げてきた自分の世界を、否定されるかもしれない‥‥」。そんな恐れがあると、あなたはだれ一人として自分の世界に人を招き入れることはできません。

しかし、パートナーシップは、あなたのすべての世界をパートナーに知ってもらわないと、なかなかうまくいかないようですよ。

 

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

平 準司

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。