自己評価が低すぎる彼女

劣等感をもっていると「受け取ること」ができなくなる

こんにちは 平です。

彼女は自分にまったく自信がありません。その結果、男性とおつきあいすると、いつも“尽くす女”になっていました。

「なんのとりえもない私は、彼にいっぱい尽くさないと相手にしてもらえない」と思っていたわけです。

そして、彼が自分のことを気に入ってくれているのも、自分に魅力があるからとは解釈することは一切ありません。

そうではなく、料理を作ったり、掃除・洗濯をしてあげたり、彼の必要なことを満たしてあげているところに自分の存在価値があると考えていたわけです。

このような場合、おつきあいが進んだり、同棲するようになったりすると、彼氏のほうはお殿様か王子様かというかんじで、家では何一つしなくなりがちです。

しかし、彼女も働いているわけで、仕事から帰宅してから、食事の支度をしたり、掃除・洗濯をしたりというのはけっこうハードで、ストレスはどんどんたまっていきます。

そんなとき、ふつうのカップルなら、「きょうは疲れたから外食しない?」とか、「ありあわせでいいかな?」とか、「レトルトのカレーですませるわよ」となりますよね。

ところが、彼女はまるで呪いでもかかっているかのように、「そんなことをしたら、自分は捨てられてしまう」と思っているのです。

そのため、だいたい1?2年、パートナーに猛烈に尽くしたところで、彼女はいつも燃え尽きます。

そして、「もう、これ以上、尽くせない」というときが来ると、自ら別れを切り出します。尽くせない自分はきっと嫌われてしまうと思うからです。

こうして関係を終わらせるということを、彼女は繰り返してきたのです。

その彼女が、昔、私が書いた『恋愛心理学』の記事を読んでくれたのをきっかけに、ご相談を受けることとなりました。

その記事には、こんなことを書いたものでした。

“パートナーは、誤解かもしれませんが、あなたのことを世界でいちばん美しく、いちばんセクシーな女性だと思っているのです”。

“すべての女性の中から、あなたは選ばれたのですよ”。

彼女は言いました。「私のような女が、世界一の美女であるはずはありません」。

私は答えました。「いいえ、彼は世界中の女性からあなたを選んでつきあっているのですから、彼基準ではあなたは世界一の美女です」。

「そんなことはありえない」と言い張る彼女でしたが、その後、彼女がとった行動は、「じゃ、昔の彼の本音を聞いてみる」ということでした。

で、彼女はかつて2年ほどつきあっていた男性に聞いてみたのです。後半の1年間は同棲していましたが、例によって尽くしすぎ、燃え尽きて、疲れ果てて別れてしまった彼でした。

連絡をとって聞いてみると、彼も彼で「自分は甘えすぎ、それによって彼女に嫌われることになった」と思っていたのでした。

友人などに相談しても、「それはおまえが悪いよ」と言われて、自己嫌悪しているところだったというのです。

ちなみに、女性のみなさん‥‥、とくに彼女のように尽くすタイプの女性はびっくりするかもしれませんが、男性の多くはたまにカップラーメンを食べるときなどは嬉々とした気分になるものなのです。

もちろん、おいしいものを食べさせてもらうのに越したことはありませんが、レトルトのカレーだって、コンビニのおでんだって、彼的にはなんの問題もないのです。

私が原稿に書いたようなことを彼に聞いてみてくれたところ、彼が彼女を愛したいちばんの理由は、「こんなにも僕を愛してくれる人は、かつてなかった」というところにあったのでした。

彼は彼女に尽くされて、ずっともっていた「自分は女性にモテない」という劣等感を満たしてもらい、有頂天になっていたとか。

そして、図に乗るばかりで、彼女に優しくできなかったことを激しく後悔していたのだそうです。

私たちはなんらかの劣等感をもっていると、それを「いかに攻略するか」、「いかに隠すか」ということにばかり目が行ってしまいます。

すると、じつは相手も同じように劣等感をもっているということを見落としてしまいがちなのですね。

さらに、劣等感をもっていると、相手がどれだけ素晴らしい評価をしてくれたとしても、それを受け取ることができません。

私は彼女にこう言いました。

「彼の言うことを、全面的に信じてみて。それがパートナーシップのヒケツですよ」。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。