ブラコンの心理(1)~ブラザーコンプレックスとは?~

カウンセリングでは「恋愛がうまく行かない」「結婚はしたけれど、何か違うという感じがする」などのご相談を掘り下げていくと、このブラコンの問題が浮上してくることがあります。ブラコンと言うと、「兄(弟)のことが大好き」な妹(姉)を指すわけですが、実際にはどのような影響があるのでしょう?

兄妹が仲が良いというのは必ずしも悪いことではないですよね?実際、異性に対して抵抗が少ないので仕事や人間関係で可愛がられたり、恋愛も比較的ハードルが低くなり、恋多き女性になることも少なくないんですね。
しかし、一方で、お兄さんが絶対的な愛情のシンボルになってしまうと、彼氏が入る余地がほとんどなくなり、先ほどの相談例のような問題が生まれてくるのです。

そこで、今回はそのメリット・デメリットから、手放し方まで一連のプロセスを分かり易く、面白くご紹介したいと思います。
どうぞ、お楽しみ下さい。

カウンセリングをしていると何らかの“流れ”が来ることがあります。
「何か最近は不倫の相談が多いなあ」とか「このところ、自立を手放そう、って話をよくしてるなあ」とか「コミットメントについて、よくアドバイスしてるよなあ」とか。
今回お届けするシリーズは、ある時期、ドッと増えたテーマ「ブラコン」をご紹介していきたいと思います。

ブラコン、すなわち、ブラザー・コンプレックス。
特にここでは、お兄さんがいて、とても仲が良くて、それが恋愛や結婚生活に何らかの影響を与えているケースを中心に考えて行きます。
ただし、本文中でも触れておりますが、“仲が良いからブラコン”とは必ずしもいきませんので、ご注意。
「兄のことは憎んでいるんだけど・・・でも、パターンは同じ」と言うケースもあるんです。

(心理学的に見ると、きょうだいのいる全ての人に、ブラコン/シスコンの要素は少なからずあるものですし、当然ファザコン/マザコンの気も全ての人に散見されるものはあります。)

応用編としては「兄」ではなく「弟」の場合はもちろん、「ブラコン」ということは、ほぼ同時に「シスコン」も発生しているわけですから、姉や妹との関係にも置き換えてお読みいただけるかと思います。

ファザコン/マザコンについて比較的メジャーなテーマで良く扱われますが(でも、心理学講座ではテーマにしてませんでしたね・・・)、意外と見落とし勝ちなブラコン/シスコンに光を当ててみたいと思います。

どうぞ、お楽しみ下さい!

ブラザーコンプレックス(ブラコン)とは?

カウンセリングで扱う「ブラコン」というのは、こんなイメージです。

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私、彼氏はできるんだけど、なかなかうまく行かないんですよね。すぐに別れてしまったり、長く続いても「結婚」というイメージが湧かない相手だったり。
それに、そもそも自分が恋愛をしたいのか?結婚をしたいのか?という点で疑問なんです。。
仕事はうまく行っているし、楽しく、問題はないが、恋愛だけは何か苦手意識が強くて。

周りの友だちからは「何で結婚しないの?」とよく言われるんですけど、何かが足りない気がするんですよね。
きょうだいですか?はい。4つ上に兄がいます。今はもう結婚して地方に住んでるんですけど、東京に来た時はよくご飯食べに行ったりはしますよ。
元々仲はいい方だと思います。お兄ちゃんのことは昔から大好きで、色々と相談に乗ってもらったりもしています。

買い物にもよく行きましたね。全然気を使わない相手なので楽だし、趣味もある程度分かってくれてるので迷ったときは遠慮なく聞きますね。
店では仲のいいカップルに間違われることが多いですね。初めは一々否定してたんですけど、だんだんお互いめんどくさくなって、「ありがとうございます」とか言うようにしてます。嬉しくないと言ったら嘘になります。

奥さんからの嫉妬?そういえば以前、電話で話をしてたら、「ほんとにそれ妹から?」って奥さんが怪しんでたってお兄ちゃん笑ってました。恋人と話してるみたいな空気を醸し出してたのかもしれないですね。
え?それが恋愛がうまく行かない原因?ええーっ、そうなんですか?イヤだなあ・・・。
お兄ちゃんと仲がいいのってそんな問題なんですか?

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そうなんですよね・・・。問題なんですよね・・・。

上の例え話は今まで扱ったカウンセリングを総合的に捉えたもので、特定の誰かのお話ではありません。

要約すれば、意識的には「きょうだい(兄・妹)」なんですが、深層心理にどこかしら「恋人」的な感覚が入り込んでる状態をブラコンと言います。
妹が兄のことを慕っていて、その逆がないってことは考え難いので、ブラコンが生じる裏にはシスコンも同時発生してると思われます。

ただ、こういう○○コンによくあるのですが、「お兄ちゃんのことは好き」と意識しているのを“表”とすれば、意識的には「お兄ちゃんのことが好き?ありえない~」という“裏”バージョンも存在します。

思春期以降、異性の家族を嫌う傾向が強いと、本当は好きなのに「嫌い」と感じるケースもよくあるからです。
だから、思春期以前、つまり、幼稚園とか小学校低学年時代の姿を思い出した方がいいかもしれませんね。

特に「憎いほど嫌い」な場合は「めちゃくちゃ大好き」だった時代が大昔にあった可能性もありますから。

>>>『ブラコンの心理(2)~薄い問題認識とブラコンの恩恵~』につづく

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