息子に助けられた話

今年の4月から息子が中学生になったのですが、ゴールデンウィークが明けた頃から、しばらくの間学校に行けなくなってしまったことがありました。結果的には欠席7日、遅刻・早退が各1日ずつでその後は通学出来るようになったのですが、渦中にいた時には、『このまま不登校になってしまったらどうしよう・・・』と、とても不安を感じながら過ごておりました。

学校を休むようになる前日の夜、『頭と喉が痛い。』と言っていたので、風邪でもひいたんだろうな、ぐらいに思っていたのですが、その翌日から、いつもなら自ら起きてくるはずの息子が起きてこなくなり、連日、『頭が痛い。』と言って、午前中一杯は布団から出ることも出来なくなってしまいました。
それまで大きな病気をすることもなく、学校に行けない、行きたくない、と言うこともなかったので余計に心配になった、ということもありました。
風邪薬を飲んでも良くならず、『もしかして脳の病気?』『いや、精神的なものからきているのか?』と様々な原因を思い浮かべ、病院を検索しては連れて行き、新しい薬をもらってはそれに期待し、効果が出なくて落ち込む、という日が続きました。
一向に良くならない息子に心配が膨らむと同時に、どんどんイライラするようにもなっていきました。仮病を使っているわけではない、ということは見ていても分かったので、怠けているわけではない息子は悪くないとも思っている私は、この辛さを誰に、何にぶつけていいのか?という状態だったのだと思います。

このような状況に陥ると、どうしても【問題を起こしている対象の人物(今回で言うと息子ですね)】に注目してしまうものですが、色々手を尽くしても改善が見られない時、ちょっと見方を変えてみる、という方法を、心理学を学ぶようになってからやってみるようになっていた私は、こんな風に考えてみることにしたんです。

『もしこの状況が、私にとって意味があること、必要なことだとしたら、何だろう?』と。すると、いくつか大事なことに気が付いたんです。それは、

【息子の頭痛を治せないのは、私のせいだと感じて、自分自身を責めているかもしれないな】ということでした。母親は、子供に何か問題が出てくると、自分のせいだと自動的に責めてしまう、ということを、多かれ少なかれしてしまうのではないかな?と思うのです。
【丈夫に産んであげられなかったのは、私のせいだ】とか、【夜泣きが収まらないのは、吹き出物がひどいのは、癇癪を起すのは、友達が出来ないのは、私が至らなかったからだ。私が早く気が付いて対処しなかったせいだ・・・】等々。
必ずしも、そんなことはないはずなのに、ついつい自分を責めてしまう。これは、息子が元気にならない限りずっと感じ続けないといけないので、しんどいわけです。ですから、早く回復してもらわないと困るので焦りますし、期待通りに元気になってくれない状況にもイライラするわけです。

要は、【自分自身を責めている状況が辛いから、私は不機嫌になっているし、イライラもしているんだな】と思いました。
それと、ほとんど一日中寝ている息子にも正直、イラついていました。きっと、何もしないでゴロゴロしている姿が、羨ましかったんだとも思います。それだけ私はゆっくり休めていませんでしたし、休むことも自分に許していませんでした。

3つめにお世話になった病院の担当医師が、ゆっくり時間を取って話を聞いてくださり、息子を診察しながら『すごく肩、背中が硬くなってるね。学校でも緊張しているのかな?ゲームもちょっとやりすぎかもね。体を緩めるストレッチ教えるから。』とアドバイスしてくださったのを聞いて、
『私も頑張りすぎていたかもしれないな。もっとさぼったり、手を抜いたり、緩めてあげることが必要かも。』と、許可をおろすことにしました。
そこから、息子と一緒に一日ゴロゴロしたり、普段しないような深い話をゆっくりしてみたり、必要最低限のことだけやって、あとはやりたいことを、やりたいようにやり、しばらくダラダラと過ごしてみたんです。すると、体も休めて楽になったと同時に、四六時中自分を責めていたことを意識して止めるようになったおかげか、
『きっと何とかなるさ』という、根拠はないけれど、大丈夫な未来を見て過ごせるようになっていきました。これは私にとって、新しい発見でした。

私が楽になったことが影響したのか、教えて頂いたストレッチが良かったのかは分かりませんが、その頃から息子の頭痛は少しずつ軽減し、学校へも行けるようになりました。今回の息子の頭痛、学校に行けない事件は、自分に禁止してきたことを緩めてあげる、許可をおろしてあげる、ということを教えてくれた出来事でした。

もしも目の前で大切な人が問題(だと思われる状況)を起こしているとしたら、自分自身に必要なメッセージが隠されているのかもしれない、という視点で見て見るのも、打開策のひとつとして効果的かもしれません。我が息子に助けてもらうことが出来た、そんな春先の出来事でした。

この記事を書いたカウンセラー

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『日常でも使える具体的なアドバイス』を提供し、お客様が気付いていない才能・魅力に光を当て、 自らが輝いていけるような、パワフルな”応援力”を備えている。 圧倒的な受容する力を持ち、心理面からの分析・アプローチと、直観力を使ったバランスが良いカウンセリングスタイルが好評。