投影を取り戻して自己概念を見つめ直そう

私たちは自分の心のフィルターを通して自分の外の世界を見ています。これを“投影”と言います。

攻撃を受けるのではないか、トラブルに巻き込まれるのではないかなどのネガティブな投影は、その根底に自己攻撃が潜んでおり、その自己攻撃が人間不信を生みます。また、人間不信は自信のなさの裏返しでもあるのです。

“投影”で自分の外の世界を見ていると、状況を客観的に認識することができません。特にネガティブな投影については自分の気分が悪くなるだけではなく、周囲とトラブルを生んでしまう可能性が高くなります。

その場合には、「これつて、投影?」と投影で物事を見たり感じている事に気付いて、その投影を排除して客観的に物事を見たり感じたりするようにする事をお勧めします。
この投影を排除する事を“投影を取り戻す”と言います。

◎リクエストを頂きました◎
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知らない人から急に声をかけられると、いつも何か文句を言われるんじゃないかなどというネガティブなことが瞬間的に頭に浮かびます。
例えばただ単に道を聞くために声をかけられても、何か変な団体の勧誘じゃないかとか小難しいことを聞いてくるんじゃないかとか、必要以上に警戒してしまう自分がいるのです。

これは一体どういった心の仕組みなのでしょうか。
何か自分に後ろめたさがあるんでしょうか、それとも人間不信でしょうか?
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心理学の法則に“投影(投映)の法則”というものがあります。

私たちは「自分の心の中にあるフィルターを通して自分の外の世界を見たり感じたりしている」というのが「投影の法則」です。

ちょっと想像して欲しいのですが、車がビュンビュン行き交う大きな通りの道端で、アスファルトの割れ目から茎を伸ばしてポツンと一輪の花が咲いていたとします。さてあなたはこの花を見て一体どう感じるでしょうか?
「こんなところでよく頑張って咲いているなぁ」
「わぁ、この花綺麗だ」
など、人により様々な感じ方がありますね。

この感じ方の違いを生むのは、その人の心のフィルターを通してその花を見ているからなのです。
前者は、その人も辛い環境で一生懸命頑張っているのかも知れませんね。

さて、リクエストを頂いた内容も、実は“投影”で人との関係性を見ている状態です。
「文句を言われるのではないか」と感じるという事は、“自分は文句を言われるような存在”と感じている事を表しています。

そしてその根底には、“自分は人に迷惑をかけている”とか“十分に出来ていない”などという自己攻撃が横たわっています。そうでなければ、「文句を言われる」というような事を意識することはありませんよね。

また「何か変な団体の勧誘じゃないか」と感じたり、「小難しい事を聞いてくるんじゃないか」と感じるという事は、“自分は何かトラブルに巻き込まれるような存在”と感じている事を表しており、うまく対処できないであろう自分を責めていたり、私は不運を呼び込むと自分を責めている状態です。

いずれにしても、自分の外の世界がネガティブに感じられるという事はその根底に“自己攻撃”が潜んでおり、自己攻撃が“人間不信”を作り出しているのです。
更に言えば、自己攻撃をしている度合だけ“自信”を持つことができませんから、“人間不信”=“自己不信”でもあるわけです。

さて、投影はこのようなケース以外でも様々な状況で生じます。

例えば、仕事の上司が自分のことをわかってくれないと腹立たしく感じるとしたら、それは昔、お父さんやお母さんが自分のことを理解してくれないと怒っていたことがあって、権威的な人に対して親の姿を投影し、「何でわかってくれないの」と怒っているのかも知れません。また、お兄さんにとても可愛がられていたとしたら、お兄さんをほうふつとさせる人に対しては好意を抱くかも知れません。

私たちが見ているもの、感じているものの多くはその良し悪しは別にして、投影が多く含まれていると思った方がいいでしょう。

“投影”で自分の外の世界を見ていると、状況を客観的に認識することができません。

特にネガティブな投影については自分の気分が悪くなるだけではなく、周囲とトラブルを生んでしまう可能性が高くなります。
その場合には、「これつて、投影?」と投影で物事を見たり感じている事に気付いて、その投影を排除して客観的に物事を見たり感じたりするようにする事をお勧めします。

この投影を排除する事を“投影を取り戻す”と言います。
投影を取り戻す具体的な方法は、
「過去に感じていた感情に左右されていないか」
「自己攻撃がそこに潜んでいないか」

という目で今の状況を見詰め直してみることです。思い当たる節があれば、それは投影で物事を見たり感じていて、それが状況に悪影響を及ぼしているのかもしれません。

また、ネガティブな投影には必ず自己攻撃が潜んでおり、その自己攻撃は「自分はこんなに価値がない」とか「自分は不十分だ」「自分は罪深い」と自分のことを決めつけている自己概念から出てきていたり、逆にそのような自己概念を形作ったり強化していたりします。

ネガティブな投影を見つけたら、それは自分を変化させ、置かれている状況をよい方向に変化させる大いなるチャンスです。
その自己概念が今のネガティブな状況を作り出している事を認識し、ネガティブな自己概念を書き換えると決意しましょう。

そして自己攻撃に気付いたらそれを止めること、自分の良いところを見つけそれを受け容れること、起こった事について考え込んだり、浸りこんだりすることを止めること、私たちは神様ではなく人間なので間違いや過ちを犯すことを受け容れる事、親であれ上司であれ権威を持っていると感じる人も同様に人間であることを認めて許すことなどを勇気をもって実践する事です。

慣れていない事なので、なかなかうまくできないかもしれません。また、こんな事しても仕方がないという気持ちが湧き上がってくるかもしれません。
しかし、自己概念を書き換えるという決意に従い、諦めずに続ける事です。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。