偉大なる母 ~たらちねの~

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。
私と母の確執は長く、それはそれは深~いものでした。
^^;
ここではそのことについては詳しくはお伝えしませんが、かなり強固なものでした。
それが今では信じられないような母娘になっています。
人間、変われば変わるものです。
今回は、そんな私たちが、さまざまな紆余曲折を経て変わった母娘のやりとりについて、つづってみました。
コーヒーブレイクとして、単にお楽しみいただけたらと思います。
時期は、今を少しさかのぼって、私が離婚をして1年経過したころ。
母が引越しの準備を手伝いに、当時私が住んでいた京都に来ることになりました。
ちなみに、私の年齢もそれなりの域に達しているので、両親ともにもう年なんですよね。
電話での会話でも、こんな言葉が聞かれるようになりました。
「お母さんも、最近は体力なくて」
母はもともと身体が丈夫ではなく、体調が悪いとすぐに体重が40Kgを切ってしまうようなひとなのです。
私が離婚したときも、やせこけて風が吹いたら飛んでしまいかねない風情だったことも思い出します。
60歳ともなるとやっぱり体力は衰えます。
親の元気はアタリマエと思っていたけれど、いつまでも甘えているわけにもいかないなあ、と激しく自己反省することしきり。
引越しの手伝いは、母親がやりたいとのことなのでありがたく受けることにしましたが、事実上は、私の話し相手をメインに、簡単で力の要らない仕事をしてもらおう、と思うのでした。
が。
母という存在はなぜ、あんなにもエネルギッシュなのでしょうか。
今回、引越し準備に京都に来るにあたって、母は上賀茂周辺に行きたいというリクエストがありました。
わざわざ三重県から京都に来てくれる母の気持ちを優先しようと決め、まずはじめに上賀茂に行こうと提案していました。
(年配者にありがちですが、後回しにすると、母は行くまで落ち着かないのです)
先に反省したとおり、年老いた母を慮り、重い荷物を置いてからゆっくり行こうと思っていたのですが、上賀茂に行くのに、自宅から行くよりも京都のターミナル駅から直接行くほうが早い旨をちら、と言うと、
「もうすぐ駅です。
荷物なんてたいしたことないから、直接行こう~」
と乗り気メールが。
じ、じゃあ、と、あわててバスターミナルの乗り場番号や系統を調べてメール。
荷物を持っていると、ちょっとした距離を歩くのも疲れます。
慣れない場所で母が迷うのは気の毒であろう。
急いでメールすると、自分の出かける支度をはじめました。
ところが、すぐさま「バスに乗りました(^◇^)v」メールがっ!!!!
私は、自宅の最寄駅から同じバスに合流する予定でしたが、バスのターミナル出発と同時くらいに家を出ないと間に合わない!!!
ネットでバス乗り場を調べていたので、その分、自分の支度が……。
アタフタ、アタフタ(>_<) ええ、走りました。
走りましたとも。
朝から。
フラフラですわ……。
なのに、母はピンシャン。(当然ですが)
「今日はねぇ~、ちょうど電車が来てたり、バスが着ていたりで、チョーシいいのよお」
と、行きたいところに行けたのもあり、ご満悦。
ふう。
まあ、よかった、満足してもらえて……。^^;
母、満悦至極の帰宅後、いよいよ引越しの準備です。
とりあえずは、母の長旅の疲れもあろうと、お茶でも入れてゆっくりしてから……と思いきや。
「箱は?、ペンは?、ハサミは?」
と、母は早々に引越し道具のチェック。
さらに、水周りのヨゴレをチェック、部屋中の曇りに目を光らせます。
キラリ。
「あんた、ここ掃除してるの?」
勧めた椅子にも座らず、ベッド下にたまったホコリをボロ布でふき取り始めたかと思うと、そのまま部屋の床掃除を始めました。
母「気になってね。あ、気にしなくていいわよ」
私「……」
母「ところで拭くものある?」
私「あ、ハイ」 (・・)
さらにお茶を沸かしている間も、
母「これはどうするの」
 「これは~?」
お、おかあさま、あの、とりあえず、長旅の疲れ……。
(^_^;A
母「あ~、ちなちゃん、早起きしたから疲れたんでしょ。いいわよ、休んでなさ~い」
あ、ありがたいオコトバなんですが、あ、あの。
年老いた母親を思いやる私の配慮うんぬんは……。
母「さっ、どこからやったらいい?」
私「えっと、食器棚の中身を……」
言い終わらないうちに、眼光鋭く周りに行き渡らせます。
母「流しにあるものは?、それからシンク下の棚は?、ナベは?」
(@_@; ひ~~
私が心をこめて抽出したお茶をいともあっさり飲み干し、テキパキテキパキ。
やがて私も自分を取り戻し、自分のすべきことを始めました。
スライド式の大容量の本棚の中身を選別。
しばらくして、たくさんのレターセットが出てきました。
私は以前よく手紙を書いていたのですが、今はメールで用事の大半が済んでしまうため、あまり使わなくなりました。
私「これ、使わないんだけど、使う?」
母「あらあ、いいわね~♪ お母さん、手紙派だから。
キラっ(目が光る)
あら、この切手いいわねェ」
私「あ、あの。切手は私が使うから……」
母「あらそう。
(しかしめげずに)これはいいの?、これは?」
と、ケースの中身をすべて母のもの(!)と私のものに選別し、戦利品をいつの間にか用意した自分用の箱に入れていました。
その間、私は自分の作業を考えながら母の質問に答え、また自分の作業をやり……。
ぐったり。
しばらくすると、私の指示した持分スペースが終わったらしく、
「棚の上は~?」
と、次々と侵食……。
(手伝ってもらっているのに失礼だが、もはやこのような気分)
疲れ気味の私の様子を見て、
「少し、休んだら?、疲れているんでしょ」
といい、軽くツボ押ししてくれました。
これが気持ちよく、だいぶラクになったのですが、かえってどっと疲れが押し寄せてしまい、15分ほど睡眠。
その間、手の空いた母は、シンクなどの水周りをお掃除。
私が晩御飯の支度をしている間も、母の口はずっと動いていました。
母というもの、口元に老化現象はありません。
母のリクエストどおりのものを出すと、
「おいし~い」
喜んでくれるのですが、話しながら食べるので、こぼしまくり^^;
食器を片付けだすと、一緒になってもってきてくれました。
しかし、ダンボールが散乱している上に、我が家のキッチンは狭い廊下にあるので、二人で並ぶと詰まってしまうのです。
食後は母には休んでもらって、その間に私が食器を片付けるつもりでいたのですが、結局、母がちゃっちゃと食器を洗い始めてしまいました。
ので、私はゴミ捨てに。
私の家なのに、所在ないカンジ^^;
さすがに入浴後は疲れたのか、私がお風呂からあがると、母は机に座っていました。
私「疲れが出てきた?」
母「うん、ちょっとね」
見ると、書き物をしています。
母「明日、することを書き出してるの」
窓のサッシの掃除、洗面所の下かたづけ、お風呂の掃除など、そこにはたくさんの項目がしるされていたのでした……。
そんなに掃除するところあるのね、ウチ(* ̄. ̄*)
次の日はさすがに疲れが出たようですが、それでも、家中くまなく磨いて帰ってくれたのでした。
母よ……。
あなたは偉大です。
本当は疲れていても、娘の前では元気に振舞おうとしているのですね。
母親とは、かくもありがたいものですね。
そんな風に思います。
しかし。
「体力が落ちてね~」という母のセリフは、ただ、言いたかっただけなのかも……と思う今日この頃なのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。