元彼を忘れたい

相談者名
杏子
初めまして。別れた元彼のことについてご相談させて頂きたいと思います。

別れを切り出したのは私でした。彼との関係に疲れてしまったことが原因です。

彼は理論派で、自分の求めることに整然と理由を組みたててきます。けれど私はそれを拒絶したくても彼の理論を打ち砕くことができず、最終的にはただ黙っているようになってしまいました。すると彼は、当然ですが「なぜ黙っているの」「どうして嫌だと言わないの」と私を責めます。その繰り返しでした。出先でプリクラを撮りたい彼と撮りたくない私、美術館での鑑賞中に話しかけたい彼と話しかけられたくない私。夜に電話をしていて、眠くなったから寝たいと言いだすこともできず、電話が繋がったまま眠ってしまって「なぜ無視するの」と責められたことも何度もありました。また、裸の写真を撮ったり、電話口で自慰をするよう言われたこともありました。嫌だという感情だけで拒絶している私は、「俺が我慢すれば良いんだな」と言われてしまえばもう断ることはできませんでした。自分さえ我慢すれば良いと、被害者意識で我慢していたのだと思います。彼も私が否定の意志表示をしないことを悟っていて、会話は2人でするものだ、コミュニケーションが大切だと何度も言ってきましたが、私は逆に、コミュニケーションという言葉を聞くのも怖くなってしまう始末でした。嫌だと思う気持ちを失くして人形のようになってしまいたい、消えてしまいたいと何度も思いましたが、それさえ巧くいかず、彼の言うとおりにしても彼を納得させられず逆に傷つけてしまうことばかりでした。

最後の半年くらいは、彼の前で喋ることも笑うこともあまりできなくなっていました。別れたいと切り出しても巧く彼を納得させられず、別れることすら諦めていました。やっと別れられたのが9ヶ月前のことです。

しばらくは彼のことを忘れていられたのですが、ここ数ヶ月、彼に叱られたことばかり思い出してしまい苦しい思いをしています。彼は決して悪い人ではなく、今では新しい恋人もできているようです。私はできれば、今後も良い友達として彼とつきあっていきたいと思っていますが、自分に非があったにも関わらずいつまでも被害者気取りでいる自分が嫌になります。

嫌な記憶ばかり思い出してしまうことに疲れました。私はこの記憶とどうつきあっていけば良いのでしょうか。

カウンセラー
大門昌代
杏子さん、はじめまして。
今回担当させていただきます大門と申します。
どうぞよろしくお願いします。

杏子さんが、おっしゃる通り、彼は悪い人ではないのかもしれませんが、どうやら杏子さんにとっては、つらい恋愛だったようですね。
もちろん、楽しい時もあったでしょうが、最後の半年は、彼の前で喋ることも、笑うこともできなかったということですから、嫌なこと、つらいことが多い恋愛だったように思います。

彼は理論的な方のようですから、もしかしたら杏子さんは、いつも「自分が間違っているのかも?」と思っておられたのかもしれませんね。
理論を展開するということは、それが正しいということを、説明しているわけです。
ですから、その理論に太刀打ちできなければ、間違っているということになります。
でも、本当に杏子さんは、間違っていたのでしょうか?
私はそうは思いません。

人間同士の関わりの中では、正しい、間違っているが議論に登ることが多々あります。
でも、これが恋愛関係や家族関係、お友達関係など、プライベートなところに出てくると、どちらかが正しくて、どちらかが間違っているということになりますから、トラブルの原因になってしまいます。

でも、世の中には、正しいことと、間違っていることしかないわけではありません。

例えば、レストランに入って、同じものを食べたとしても、ある人は「おいしい」と言い、別の人は「おいしくない」と言ったとしましょう。
どちらが正しくて、どちらかが間違っているわけではないと、おわかりいただけるかと思います。
正しいも間違っているもないのです。
もちろん、どちらが良いとか悪いとかもありません。
ただ、二人の感覚が違っていたのだと思います。

その人達が、感じたことが「ただ、違うだけ」だったのです。

杏子さんは、彼に怒られることが多かったようですが、それは彼が正しくて、杏子さんが間違っていたわけではなく、ただ二人の感じ方が違っていただけだったのです。

そして、お付き合いしていくということは、二人の違う部分を、お互いに認め合って、お互いが受け入れていくことが大切になるのです。

どちらか一方が自分の感覚や考え方を、押し付けてしまったり、どりから一方が、我慢ばかりするというのは、二人がうまくいかなくなる原因になってしまいます。

どうやらお二人の関係性は、彼がご自分の感覚や、考え方、常識などを、一方的に杏子さんに押し付けてしまっていたようです。
そして、杏子さんは、「私さえ我慢すれば・・・」と、犠牲的になってしまい、一方的に我慢する側になってしまっていたようですね。

犠牲的になってしまう方の多くは、「嫌」であるとか「NO」が言えません。
それを言うことが、まるで悪いことのように感じてしまうのです。
もしかしたら、杏子さんも、そうだったのかもしれないなと思いました。

彼に怒られたことなど、嫌な事ばかり思いだしてしまい、とても苦しんでおられるようですが、せっかくお付き合いした好きになった人のことですから、そんな風には、思いたくないですよね。

でも今、そうやって嫌な事ばかり思いだしてしまうのは、もしかしたら、その時に杏子さんが、本当に感じていたことを、感じる必要があるからかもしれません。

彼に嫌な事を、強要されたとき、どんな気持ちがしましたか?
杏子さんの意見を、まったく聞いてくれないとき、どんな気持ちがしましたか?
眠いと言えずに、電話口で眠ってしまって怒られたとき、どんな気持ちがしましたか?

これら全部を、もしかしたら杏子さんは、「彼に言っても無駄」「私が悪いから」と我慢して、感じないようにしていたのかもしれませんね。
その時に、感じてあげなかった感情が、「こんな気持ちがあるのよ!」と教えるために、嫌なことばかり思いだしてしまっているのかもしれません。
じっくり、感じてあげて下さい。
本当は、どんな気持ちがあったのだろうか?って。

そして、どんなことでも必ず意味があります。
彼とのお付き合いにだって、きちんと意味があるのです。
彼とのお付き合いは、杏子さんに、いったい何を教えてくれているのでしょうか?

もしかしたら、「嫌」や「NO」を言ってもいいということを、教えてくれているのかもしれませんし、お互いが我慢するのではなく、違いを認め合い、受け入れ合う関係性を、探してもいいということを、教えてくれているのかもしれません。

彼とのお付き合いに、素晴らしい意味を見つけることができれば、彼との記憶も、意味があった素晴らしいものになっていきます。

ひとりで難しい時は、カウンセリングも利用してみてくださいね。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。