老化の心理3〜心が老いる要因その2〜

前回は、心が老いていく要因のひとつ、「頑固さ」を取り上げてみ
ました。
今回は、もうひとつの要因、「自立」について紐解いてみましょう。
もっと突き詰めれば、ここであげる自立は、自立でも最終段階にな
る、「あきらめ」について見ていきます。


40代以上のみなさんのお話を伺って感じること、それは、人生、
40年も生きれば、涙を呑んであきらめてきたことはたくさんある
ものなんだということです。
たとえば、
「和気藹々とした家庭」
「パートナーとの燃えるようなロマンス」
「自分の夢」
などです。
もう、自分には手に入るはずがないとため息をつきながら話してく
ださる方もたくさんいらっしゃいました。
毎回、なんとも切ない気持ちになります。
お話してくださる方の声を聞きながら、その切ない気持ちを抱えな
がら生きているんだろうなぁ。。。
と思いつつ、僕はいつも思いをめぐらすわけです。
「なぜ、この人はあきらめてしまったんだろう?」と。
原因はひとそれぞれに違いますが、あきらめなければならなかった
理由は、ほとんどの場合、
「そうしなければ今日までやってこれなかった」と言う理由でした。
つまり、その人たちには、自分が本当にほしいものよりも、もっと
ずっと大事なものがあったということなんだと僕は思うわけです。
たとえば、共稼ぎでずっとがんばってきた主婦の方。
「私には、○○○な夢があったけれど、子供も居て、だんなの稼ぎ
 だけじゃ食べていけない。だから、私も仕事に出て、一生懸命働
 いてきた。いつかかなえよう!と思ったけれど、今はもう、時間
 が経ちすぎて、本当にそれがしたかったかどうかも思い出せない。」
 
反対に、専業主婦でずっとがんばってきた方。
「毎日仕事をがんばってくれているだんなのことを思うと、よい妻
 であろう、よい母であろうとがんばってきた。でも、だんだんと
 若くなくなってきて、おばさんになってきている自分を省みると
 もう、だんなも昔のようには愛してくれていない気がする。それ
 に、子供たちも思春期で、だんだん手に負えなくなってきた。」
どちらも共通して言えるのは、何かのために、何かをあきらめた、
という状態なんですね。
共稼ぎの主婦の方は、お話のとおり、自分の夢をあきらめたんでし
ょう。
専業主婦の方は、このお話で気づけるのは、だんなさんやお子さん
のために、素直な自分であることをあきらめたのかもしれません。
どちらも切ないお話です。
ここを潜り抜けて、前回の最後に記した、「飛躍」をしていくには
どうすればいいんでしょうか?
実は、答えはそれほど難しいことではありません。
どちらの例も、想像してみてください。
がんばってきた年数、といえば、ほとんどの場合、1年・2年単位
ではありません。
5年、10年単位です。
想像すれば、単純にわかることですが、5年・10年といえば、ど
れほど長い年月になるのでしょう。
それだけ長い年月、がんばってきたことに、成果がないはずはあり
ません。
共稼ぎの主婦の方。
あなたがお仕事をこなしながら、家事もこなしていることを、ご主
人やお子さんたちはいつも見ていたことでしょう。
専業主婦の方。
あなたの気遣いに、だんな様やお子さんたちがどれだけくつろげて
いるか、お子さんたちにとって、いつも帰ればだれかが出迎えてく
れる家であることが、どれほど大きなことでしょう。
そして、どちらにも言える事。
あなたのお子さんたちが、本当は、どんなにかいい子で、優しい子
か、想像してみてください。
確かに生意気ですが、、、いい子に育っていませんか?
確かに難しいですが、、、やさしい子ではありませんか?
あなたの成果なんです。
あなたの頑張りが実を結んでいるんですよ。
僕たち人間が何かのために何かをあきらめる。それは、多かれ少な
かれ誰にでもあることです。ただ、言えるのは、今日までがんばって
来た成果を本当に受け取ったとき、以前にあきらめた何かが、あな
たの元に戻ってきます。
もし、聞けるのなら、聞いてみてください。
だんなさんに。
「したいことがあるんだけれど、やってみてもいい?」
だんなさんは、こういうかも知れません。
「今日まで本当にいつもがんばってくれていたことを知ってるよ。
 俺の稼ぎが少なくて苦労かけたなぁ。
 すぐには無理かもしれないけれど、お前がしたいことをできるよ
 うに、俺もまたがんばるよ」
お子さんたちに。
「お母さんは、いいお母さんだったかしら?」
お子さんたちは、こういうかも知れません。
「お母さんが、いつも家にいてくれてることが、実はうれしいとき
 もあるんだよ。友達のうちは、誰も居ないことがいつもだったり
 するんだけれど、僕のうちには、お母さんがいつも居てくれる。
 それが、幸せなことなんだなぁと思うこともあるんだよ。恥ずか
 しくてなかなかいえないけれどね。」
YESの答えが返ってきたとき、あなたが昔、勇気をもって手放し
た何かが、あなたの元に返ってくるのです。
でも、それを聞くのに本当に勇気がいるときがあります。
Noの答えが返ってきたら。。。そう考えただけでも怖くなります。
だから、僕たちは、必要以上にがんばってしまうのかもしれません。
YESと言ってくれるまでは、と。
だから、あきらめつづけて、がんばり続けなくては。
そう、思って今も、がんばっているのかもしれません。
今回は、主婦の方で事例を挙げてみましたが、男性でも女性でも、
そんながんばり続けているようなことは、あると思います。
そこで必要になること。
それは、成功を発見すること。
あなたががんばった理由、それを実は、知っている人たちが、あな
たが今日までがんばってきたことを見ています。
その人たちが、あなたが実は、成功していると言うことを教えてく
れます。
それが、何かのために何かをあきらめてきたあなたの人生に転機を
起こし、違う生き方を与えてくれます。
がんばりすぎているあなたに伝えたいと思います。
ちょっと一息ついて、あなたの愛するご家庭の皆さんの顔を見てく
ださい。
あなたに、感謝のまなざしを向けているのを感じませんか?
次回は、パートナーシップの中での、老いについて触れてみたいと
思います。
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