自己重要性について

恋愛と「自己重要性」

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

「恋愛心理学講座」でよくお話することなのですが、多くの人は失恋したとき、「愛されない」から傷ついたと思っていらっしゃるようですが、本当は、そうではありません。

確かに、「愛されない」ことで傷つく部分もありますが、それ以上に「自分の愛が受け取ってもらえない」ことによって傷ついてしまうことの方が大きいのです。

彼や彼女とお別れしてしまうということは、私たちが差し出した愛を大好きなパートナーから「今日限り金輪際受け取りません」と言われていることになるのです。

心理学的には「自己重要性」と言うのですが、私たちは誰かにとって重要で大事な人でありたいといつも思っているようです。

10年以上結婚している夫婦にとったアンケートで、ご主人に「奥さんが抱いている一番の不満は何だと思いますか?」と質問したところ、多くのご主人は、金銭的な問題(給料が少ないなど)と答えられるのですが、奥様側の答えは「家事や育児など自分ががんばってやっていることを認めてもらっていないような気がする」というのが第一位なのです。

会社でも離職者の多くが「自分はこの会社にとって重要であるとは感じられない」と思っていることがとても多いようです。

私たちはいつも誰かにとって重要であることを求めているようなのです。

昔、あるご夫婦が奥様のうつ状態を何とかしたいと相談にいらっしゃいました。

ご主人はとてもよくできた献身的なタイプの人だったのですが、彼がどんなにサポートをしても奥様の病状が改善しないことがご主人をも苦しめているようでした。

奥様はもともと引きこもりがちだったようです。

奥様のお父様が自営業者で、ご主人はその会社の社員だったそうです。奥様はご主人に一目ぼれで気に入ったのですが、お父様はご主人にそのことをなかなか言えなかったそうです。

彼は、非常に優秀な社員で、社内でもモテモテだったので、そんな将来有望で人気のある彼にひきこもりがちな自分の娘を押し付けるということができなかったのです。

しかしながら、娘のたっての願いでもあるので、お父様が彼にそのことを告げたところ、彼は結婚を引き受けたのだそうです。

奥様は願いがかなったので、一時的にうつ状態が改善したのですが、2人の間に子供ができ、その育児の疲れもあってまた症状が悪化してしまったようです。

奥様とご主人は私どもの主催する2日間のワークショップに参加してくださったのですが、奥様はイスに座っていることもできず、セミナー会場では布団で横になりながらの参加でした。

そのセミナーで、奥様の問題を扱う時間になったとき、私は彼女にこう言いました。「今までの結婚生活はある意味ご主人に背負われてここまでやってきたようなものでしたね」奥様はまったくそのとおりだというようにうなだれていらっしゃいました。

そこで、奥様に「今日は今までとは逆にご主人を背負って歩いてみてくれませんか?」と依頼してみました。

すると、座ることもままならなかった奥様が急に「それやってみたい」と意欲を見せ、なんとご主人を背負って歩き始めたのです。

背負われたご主人は、「重くはないか?」と奥様を気遣っていたのですが、奥様はご主人を背負って歩けることがうれしくてしょうがないようでした。

そのうち、奥様が「私もいつかあなたを守れるような強い私になりたい」と泣きながら言い始めると、ご主人も背負われながら、号泣されていました。

奥様は愛されてばかり、いろんなことをしてもらってばかりで自分がだんなさまの役に立っていないどころか、迷惑にしかなっていないのではないかと感じていらっしゃったようです。

しかし、自分にもしてあげられることがあると感じることができて以来、新しい目標が見つかったようです。

この奥様の場合は、彼が好きなものを料理してあげるというところからはじめて、日常生活を再スタートされ、今では見違えるほど元気になられました。

自分が愛する人にしてあげられることがあるということはとても大きな自信につながるようです。

私たちは昔々誰かの役に立ちたいと思っていました。

しかし、誰かの役に立っていないと誤解して以来、自分に自信をなくしてしまったのかもしれません。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。