片付けができない

相談者名
春雨
32歳の女です。
今は実家暮らしで、結婚願望はあり、周りからも急かされているのですが、私は片付け、身だしなみなど身の回りの世話というのが得意ではなく、友達と旅行に何日かいくくらいならいいけど、ずっと一緒に生活できる自信がないし、他人と暮らすのは迷惑になりそうで、もし結婚できてもすぐ離婚になるんじゃないかなと考えると、良い人そうな人がいても申し訳なくなってしまいます。
一番は片づけなどできるようになればいいのですが、時間があるときでもできないし、むしろ余計散らかしてしまうこともあり私と暮らすのは迷惑なんじゃないかなと思ってしまいます。
書いていて気付いたのですが、今も職場や実家で私がいるのは散らかしちゃって迷惑をかけていると思っている所もあるなと思いました……。
何かアドバイスいただけましたら助かります。
カウンセラー
大谷常緑
春雨さんこんにちは。
初めまして。
ご相談を担当させていただく大谷です。
よろしくお願いします。

私たちは一般的に自分に厳しく、他人には優しいことがとても多いです。
「逆じゃない?」と思われる人もおられるかもしれませんが、例えば、何かミスをしたときに自分に投げかける言葉はどのようなものか、同じミスをしたときに友人などに言う言葉はどのようなものかを考えてみてください。
自分には「こんなミスをしてサイテー」とか「こんなこともできないなんて!」などという自分を罵倒するような言葉を投げかけるのに、友人などには「何とかなるよ」とか「まぁ、何とかなるよ」と言った寛容な言葉を言うのではないでしょうか。春雨さんにとって片付けや身の回りの世話が不得手であったとしても、それは春雨さんの一部分でしかないはずです。
それに着目し、そのことばかりを責めるのは自分自身を厳しく扱っていることになります。
友人などが不得手な部分で自分を責めていたとしたら、春雨さんはそのご友人にどんな言葉を掛けてあげるでしょうか。
春雨さんが友人に掛けてあげるのと同じ言葉を春雨さん自身に掛けてあげてください。

ところで、ご相談内容から春雨さんは「完璧主義」をお持ちのようです。
「完璧主義」は”完璧にしなければならない”と思う気持ちですが、これが昂じるとできることはするけど、できないことはやらないという行動パターンになります。
なぜならば、できない自分を感じることが嫌だからです。
片付けや整容など身の回りのことは完璧に行うのはとても難しいことです。
否、完璧に行うことなどできないかもしれません。
私など一念発起して片付けを行っても、必ず分類不能の何かの塊ができます。
それをよしとするか、しないかが「完璧主義」の加減によって異なります。
この分類不能の塊を許容してどこかに押し込むならば、片付けは案外気軽にできるものです。
「完璧主義」が強くなると、この分類不能の塊が自分の「完璧主義」の美学に合わないので、最初から片付けをやる気持ちにならないのです。
この分類不能の塊を許容すること、すなわちご自身の「完璧主義」の緩和を図られることが、不得手である整理整頓や整容などの身の回りの事柄をできやすくする一歩ではないかと思います。
やったことの結果に対するハードル下げてみてはいかがかと思います。

ところで、「完璧主義」はどこから生まれてくるかと言うと、自分自身が感じている自分自身の不完全さを打ち消そうとするところから生まれてきます。
すなわち、「完璧主義」を持っている人は、自分自身が不完全であると心のどこかで思っていて、それを感じたくない、それを打ち消したいと思うので「完璧にしなければ」となるのです。
この自分の不完全さの認識は、過去の経験からきています。
やろうと思ってできなかったことや中途半端になってしまったことで、誰かから何かを言われたり、誰かの言動を見聞きしてそう感じたりしたことで「これでは駄目だ」とご自身で思ったのですね。
特に小さいころの経験が影響をしていると思います。

少し心の深い部分を見詰めて、片付けや物周りのことに限らずどうして自分が「これでは駄目だ」「完璧にしなければならない」と思ったかを振り返っていただき、それは本当にそうなのかと今の自分で再考されるのもいいかと思います。
人間は神様ではありませんから、何でも完璧にこなす人はいないのですね。
お答えしている私にも得手不得手はありますし、できること、できないことがあります。
先ずは、人間はそういうものなのだ、と認識をしていただくことが重要ではないかと思います。

ところで、人間には様々な長所や自分自身で思っている短所があります。
私たちは怖れに興味を持つので、「何とかしないと駄目」と感じる短所に興味を抱きます。
それで短所ばかりを見るようになります。
例えば10個の内9個がOKであったとしても、OKではない1個が気になり、その1個が心の中では多くを占めてしまいます。
それでご自身にダメ出しをしてしまうのですね。
春雨さんには多くの長所があると思いますが、それに着目していただくと、正当な春雨さんの自己評価ができるようになります。
すなわち、「10個の内9個はOKなのだ」と心の中でもOKが占める割合が増えていきます。
このように長所に着目する癖をつけていただくと、春雨さん全般の自信が増えていき「迷惑を掛ける存在」という自己概念(自分で自分をこのような人間だと思っている内容)を変えていくことができます。
この時のコツは、自分が当たり前と思っているところにも長所は沢山隠れているので、当たり前を見直してみることです。

最後になりますが、自身の長所を見るようにしてご自身が感じている自己価値が上がってくると、結婚への自信もできてくると思います。
「こんな私と結婚する人は迷惑」ではなく、「こんな私と結婚できる人は幸せ者ね」ぐらいの感覚を持てるようになると思います。

回答がお役に立てれば幸甚です。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。