失恋のあとで

素晴らしい恋に向かうための準備

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

私たちが、人生で感じる大きな苦痛の一つに、失恋というものがあります。失恋でいちばんつらいのは、「大好きなものを、好きになってはいけない」と思うところです。

好きなものを「好きでいつづけられる」ことが一つの幸せの形だとするならば、失恋によって、好きなものを「好きでいつづけることが迷惑」になったり、好きなものなのに「嫌いにならなければいけない」としたら、それはものすごく人の心に苦痛をもたらします。

さらに、この恋をする以前、あなたが感じていた淋しさや空しさ、さまざまな絶望感などは、彼とつきあうことで救われていました。

それが、失恋によりぜんぶなくなってしまうと、また“ふりだし”に引き戻され、そこからすべて始めなければならないように感じてしまいます。それもまた、失恋のつらいところです。

また、多くの人は、失恋を経験すると、自分をひどく自己攻撃するようになります。

「なぜ、あのとき、ああしなかったのだろう」とか、逆に「なぜ、あのとき、あんなことをしてしまったのだろう」とか、そんなことばかり考えてしまいます。

そして、あまりにも自分を責めてしまう人は、そのすべての免罪符として、「しょうがない。だって、これは彼を愛するがゆえにしたことなんだもの」と、自分をなぐさめてしまいます。

しかしながら、彼側から見ると、これは理解できないことの一つであるようです。

じつは、心理的に見たとき、失恋というもののいちばん大きな罪は、あなたが彼という人を使い、自分の心を傷つけつづけることなのです。

恋がうまくいっている間は、彼はあなたを幸せにする存在でした。

ところが、失恋してしまった途端に、その彼があなたの心の中ではあなたを傷つける人になってしまうのです。

もちろん、彼がそう望んでいるわけではないのですが‥‥。

そうすると、心の中では、「私を傷つける彼」のことを愛せなくなっています。

しかしながら、多くの人はこの事実に気づきません。

あなたは、頭の中では一生懸命、「私は彼を愛しているの」と連呼しているのですが、あなたの心は「彼が私を傷つけた」と彼を使って自分を傷つけつづけていますから、心のほうでは「私を傷つける彼」のことをだんだん憎むようになるわけです。

そして、そうやって、被害者意識をどんどん募らせていると、「彼はもっと私を愛し、幸せにするべきだ」という思い込みが出てきます。

それを意識的に認めるか認めないかはさておき、こうしたプロセスは人の心理としてだれもが経験していきます。

理屈のうえでは、「日に何度も何度も、彼に電話したり、メールしたりしても、いやがられるだけだ」ということを私たちは知っています。

それなのに、なぜ、多くの女性がまるで選挙カーの“最後のうったえ”のようにそんなことをしてしまうかというと、その行動の裏側にこんな心の力学が働いているからなのです。

私たちは、何度も失敗をしながら、この世の中でいちばん大事なものはなにかということを学んでいきます。

たとえば、あなたの洋服ダンスの奥のほうに、買ってはみたものの、なんか違うような気がして、一度も袖を通していないブラウスなどがしまい込まれてはいないでしょうか?

人生でも、そのようなまちがいを何度も経験しながら、私たちは学習していくものなのです。

失恋を経験すると、ものすごく自分を責め、傷つき、ときにパートナーを責めることで、さらに傷口を広げてしまう人は少なくありません。

でも、失恋を違う角度から見てみてください。そこにはたくさんの学ぶべきレッスンが存在するだけで、その失恋は次のより素晴らしい恋に向かうための準備段階に過ぎないということもできるのです。

したがって、多くの失恋を経験してきた人ほど、ほんとうの幸せがなんであるかをたくさん学んできたということもいえますし、だからこそ、あたりまえのこともとても幸せに感じられるということにもなるわけです。

あなたが失恋を経験したとき、もしも、「どうも、この人も真実のパートナーじゃなかったみたいだな。早くわかってよかった」などと思えたとしたなら、あなたは相手を責めたり、自分を傷つけたりすることには時間を費やさず、さっそく真実のパートナーを探すほうに目を向けていくでしょう。

もちろん、つらくない失恋というのはなかなかないものですが、一人で失恋のつらさに対処する必要はありません。

必要とあらば、私たちカウンセラーに援助を求めていただけたら、それはとても幸いです。

私は常日頃から、「真実のパートナーを見つけるためにこそ、失恋は存在する」と思っています。

どうか、みなさんも早くそのお相手にめぐり逢い、そして、お幸せになりますように。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。