機能不全家族?

相談者名
bows
はじめまして。30代会社員(女)です。
今、母との関係で悩んでいます。

ずっと家族が嫌いでした。
自分が一番賢いと思っていて会話すらできず、おまけにとても短気で暴力的な父。
自分が一番正しいと何でも頭から決め付けて、子供には愛情と我慢を押し付ける母。
妹ばかり可愛がられていると思い込み、両親の見ていないところで無視したり暴言を吐いたりする姉。
いつか絶対家を出る!そう思って学生の間はやり過ごしてきました。

そのうち姉は仕事の都合で家を出、残された私も就職し家を出たいと言ったら母に泣いて止められました。
泣かせてまで強行すること?と思い結局しばらくは同居していましたが、通勤時間も長く体力的にきついこと、帰りが遅くなると嫌味を言われ精神的にも辛いことから、少しお金がたまった頃に家を出たいと言うと今度は条件付で了解されました。
その一つに月に一度母と会うというのがありました。
最初のうちは良かったんですが月日が経つごとに過干渉になり、最近は私も人間関係に悩み少し人と接することが怖くなってきたこともあったので、会うのを控えたいと申し出ました。
納得できない母は半分怒りながらしつこく理由を聞くので、こちらも感情的になり「もうほっといてほしい、(家族とも)縁を切りたいくらいだ」と言ってしまいました。
母は泣き出し「気づかないうちに自分が何かしちゃったんだね、恨まれてもしょうがないね」と自分を責めだしました。
そういうことじゃなくて今はただそっとしておいてほしいだけ、と言ってるんですが、そんな私の気持ちなど聞きもせず、次はいつ会えるのか、と電話をかけてきます。
電話が鳴るたび怖いです。顔を見たくないほど嫌っていたわけではないですが、今ではもう声も聞きたくないくらいになってしまいました。

そんなことがあり何かヒントがほしいといろいろ調べ「機能不全家族」という言葉を知りました。
自分に当てはまることも多く、カウンセリングを受けたほうがいいかもと思い始め、さらに調べこのページにたどり着きました。
実のところ母との関係に限らず、他人への接し方もわからない状態です。
自分なんていないほうがみんなせいせいするんじゃないか、とか思ってしまうこともしばしばです。
私は今後どうしたらいいんでしょうか?

カウンセラー
三島桃子
bowsさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよろ
しくお願いいたします。

機能不全家族とは、家族が家族として機能しない家族、ですね。典型的な例として
は、親がアルコールやギャンブルの中毒であったり、虐待があるなどのために、家
族、家庭の雰囲気がいつもピリピリしていて、落ち着ける場所ではなくなっている場
合によく使われる用語です。

とはいえ、こういった目に見える大きな問題を抱えた家族だけが機能不全家族という
わけではありません。中には、外からは問題のないように見えている家庭が、実は機
能不全に陥っている場合もあります。家族全員きちっとしていて、会社や学校でも優
秀な存在。でも実は、「うちの家族は優秀でなければならない」という空気があり、
一人ひとりが一生懸命「優秀な自分」を演じている。一見問題がないように見えて
も、家族の中に「お互いが心からほっとくつろげる」空気がないとしたら、それは家
族・家庭の機能を果たしていないわけです。

そう、家族・家庭の機能とは、シンプルに言えば、「いつも安心できる自分の居場所
があるということ」なのでしょう。bowsさんにとって、家庭がほっと安心できる場所
になっていなかったとしたら、機能不全家族だといっていいと思います。

実際、bowsさんの家族の状況はbowsさんにとってとてもつらいものだったと思いま
す。機能不全家族で育った人を、「サバイバー」と呼ぶことがあります。文字通り
「生き抜いた人」です。よく我慢し、がんばってこられましたね。

今一番問題なのは、お母さんのことのようです。

お母さんとbowsさんの間には、「母子癒着」という問題がありそうです。「母子癒
着」とは、母親と子どもが感覚的にくっついてしまっている状態のことをいいます。
bowsさんとお母さんのケースだと、お母さんはbowsさんに過干渉で、娘が大人として
自立していくことを阻止しようとしている感じです。お母さんも頭ではそんなことは
思っていないのですが、潜在意識では娘がちゃんと自立してしまうと自分がひとり
ぼっちになるような気がして怖いのだと思います。だから、一生懸命引きとめようと
している感じですね。

また、bowsさんも、かつては母子癒着の状態が当たり前になっていて、はっきりとし
た自己主張をすることなく過ごしてきたのではないかと思います。お母さんに適当に
合わせておくのが自分にとって一番実害がない、みたいな部分もあったかもしれませ
ん。

けれども、母子癒着が続くということは、一人の大人としての自立が果たせないとい
うことで、これは人間にとってとても苦しいことです。強い言い方になりますが、
「一人の人間として生きる権利を奪われている」ような感覚になります。bowsさんは
本能的にそのことに気付き、お母さんから距離を取ろうとしているのだと思います。
そしてそればbowsさんにとって必要なことだと思います。

お母さんが会いたがっている状況でそれを拒否することは、まるで何か悪いことをし
ているような気がして自分を責めてしまうかもしれませんが、決して悪いことをして
いるわけではないですよ。それでいいのです。

お母さんからの電話に関しては、具体的な方法を考え、bowsさんの精神的な負担にな
らないようにした方がいいかと思います。お母さんからの電話は着信拒否にすると
か、電話番号を変えるとか、場合によってはもう一台携帯を持ち、今までのものは目
につかない場所におき、気にならないようにするなど、何か良い方法があるかと思い
ます。固定電話でも留守電にしている間は音が鳴らないモードにできるなど、意外と
役に立つ機能があったりしますので、ここは現実的に作戦を立てるような気持ちで考
えてみてください。

また、もしお母さんと顔を合わすとか、どうしても話すことになった場合は、「お母
さんを責めているのではない、私は自分のために、一人になる時間が必要なのだ」と
いうことを繰り返すのが一番かな、と思います。お母さんからあれこれ言われると、
bowsさんとしても言いたいことがいろいろ出てくると思うのですが、結果的にお母さ
んもbowsさんも傷つくことになりますから。とはいえ、もしそうなったとしてもいい
んですよ。人間そういうこともあります。

全体的には、あまり真正面からぶつからないよう、のらりくらりとかわす、というこ
とができるといいかと思います。のらりくらりと言っても今はピンとこないかもしれ
ませんが、コツがわかってくると他の人間関係にも応用できるいい方法です。

>実のところ母との関係に限らず、他人への接し方もわからない
>状態です。
>自分なんていないほうがみんなせいせいするんじゃないか、と
>か思ってしまうこともしばしばです。

機能不全家族の中で育った子どもは、本来満たされるべき欲求を満たされていなかっ
たり、人と人の適切な距離感を学んでいなかったりするので、それが大人になったと
きに人づきあいの難しさとして現れ、いろいろな問題を抱えることになりがちです。
bowsさんもそういった悩みがあるようです。

「自分なんていない方がみんなはせいせいするんじゃないか」と思ってしまう気持ち
もよくわかりますよ。bowsさんのような経験をしてきた人は、多かれ少なかれ、こう
いった気持ちになりやすいものです。

ご自分でも思っておられるように、カウンセリングは有効な手段だと思います。今は
の心の中が混沌としてぐちゃぐちゃな感じだと思うのですが、カウンセリングを通し
て自分の身に起こったことを整理すると、お母さんへの対応の仕方もクリアに判断で
きるようになっていくと思いますし、対人関係の難しさを解決していくことにつなが
ると思います。また、特に心の傷となっている部分にはセラピーで働きかけていくこ
ともできます。

心が落ち着いてくると見えてくるのですが、悪者は誰もいないんです。あの困ったお
父さんも、過干渉なお母さんも、妹に暴言を吐いたお姉さんも、人間関係で悩みを抱
えるbowsさんも、それぞれにそうなるだけの「事情」があったのです。
(今はそうは思えないかもしれませんし、それで当然だと思います。)

bowsさんのことを応援していますね!ご相談ありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

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