人として冷たい

相談者名
結里
40代の主婦です。高齢者に嫌悪感を感じます。自宅から近いという理由だけでクリニックの受付事務を始めてから思いが顕著になりました。患者さんが高齢者ばかりだからです。高齢者は社会の負担だと思えてなりません。高齢者が亡くなったニュースを耳にするとほっとするくらいです。社会の負担が減ったと思えるからです。高齢者一人一人にもそれまでの人生があり、歴史があり、思いがあることに思いを寄せられません。父は10年前に77歳で突然病死し、母は介護付き老人ホームに入っています。自分の母に対しても最期はホームに少しの間通って看取るだけかな、くらいにしか思っていません。主人の父と母に対しても、介護が必要になった時はしかるべき施設に入られるんだろうという思いで、介護の覚悟や責任感を持っていません。どうしてこういう冷たい人間になってしまったのか。私には幼少期から何が足りなかったのか。もともとの性格なのか。
父と母は特に仲が良いということはありませんでしたが、私を普通に育ててくれました。母が40歳を越えてから私を産んだので、その時点で高齢だったため活気のある家庭ではありませんでしたが、それなりに裕福でもありました。ただ思えば、家族で協力し合ったり、悲しみや喜びを分かち合ったり、ぶつかり合ったりしたことがなかったように思うのです。淡々と育ったようにも思います。進学、就職、結婚も自分の意思で選んで歩んできました。結婚して20年になり、主人にはもう関心もありませんが、自分のこの冷たさの原因があるのなら知り、子供たちに対して少しでも補っていきたいのです。ひとつ自覚しているのは愛情不足です。人の優しさに触れたくてたまりません。〔主人からの愛情はもう要りません〕ご回答をよろしくお願いします。
カウンセラー
ながのひろみ
結里さん、こんにちは。
担当させていただくながのひろみです。
よろしくお願いします。

まず、結里さんがご自分の冷たさに悩んでいらっしゃること、とても苦しい気持ちだと
思います。しかし、そういう結里さんは実は人一倍心が暖かい方でいらっしゃると
お見受けします。

えっ?!と思われるかもしれませんが、そのからくりについてご説明しますね。
人が悩むのは、本当はそうありたいのに、そうなれないから苦しむんですね。
本当に心が冷たい人にとっては冷たいのが当たり前ですし、それが悪いこととも
思わないので、悩みにもならないものです。例えば、多くの人にとって人間
であることは当たり前なので、それが悩みにはなりません。

結里さんの場合、本当は暖かい人間でいたいのに、それができていないから悩みに
なるんですね。つまり結里さんは元々とても暖かい心の持ち主なのに、
それが発揮できないがゆえに苦しんでいらっしゃるのです。
ですので、決して自分を冷たい心の人間だと責めないでくださいね。

さて、結里さんが感じてある嫌悪感ですが、高齢者の方に対して感じられるとのこと。
ここも上記の件にからめると、本当は高齢者の方に思いを寄せてあげれたらいいのに、
それができない自分に歯痒く感じていらっしゃるようですね。そして、この高齢者
というイメージの向こう側には、ご両親の影が見え隠れしているようです。

私たちがこの世の中に生まれるとき、何も知らない真っ白な状態で生まれてきます。
そして、最初の人間関係を、育ててくれる人(多くの人は親ですね)との間で
築きます。そこで、育ててくれる人のやり方を真似て、そのやり方と同じような
人間関係を築きます。
メール内容から拝見すると、結里さんのご両親は、人と関わることを遠慮される
やり方で生きてこられたように思います。おそらく、ご両親も親御さんから
そのやり方しか教えてもらえなかったのだと思います。もしご両親が人と関わる
楽しいやり方を他に知っていたならば、結里さんにもきっとそれを教えていたこと
でしょう。

しかし、小さい子供側の立場からすると、親とのドライな関係など望みませんよね。
常に自分のことを見て欲しいし、わかって欲しいし、かまって欲しいと思っています。
そしてそうしてもらえないと、親から愛されていないかのように感じてしまいます。
結里さんの場合は、ご両親から優しくして欲しいという気持ちもあったのでしょうね。

子供にとって親から愛されていないと感じることは、この世で生きる資格がないと
宣言されることと同じくらい辛く悲しいことです。そんなとき、子供は、
愛情なんてもういらない!と諦めます。辛く悲しい気持ちをずっと感じるのは
生きるに忍びないので、諦めて封印することで自分の心を守ろうとするんですね。

私の勝手なイメージなのですが、結里さんの心の中にいくつか部屋があるとしたら、
“愛情”というお部屋だけは頑丈な鍵がかかっています。結里さんはその鍵を持って
いるので、部屋に入ることもできますが、他の人は勝手に入ることはできません。
どことなく部屋の中の物足りなさを感じていて、もし人が訪れてそれを持ってきてくれ
満たしてくれたらどれだけ幸せなことかもわかるけれども、セールスお断りの如く
旦那様だけはお断りしたいようです。

結里さんがそのお部屋を愛情で満たしたいと思うのであれば、
一番手っ取り早い方法は、鍵を取り外してドアを開け放して誰でも自由に
出入りできるようにしておくことです。
ただしこれには勇気がいります。何故ならかつては自分を守るために鍵を
取り付けたからです。でも、大丈夫です。自分で取り付けた鍵は、
自分ではずせるものです。

そして今までのようにこのことを1人でしなくてもいいですよ。
結里さんがやってみたかったわかちあう体験を、まず私たちカウンセラーと一緒に
やってみませんか。
どうぞいつでもお手伝いさせてくださいね。

今回のご相談ありがとうございました。

 

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