感情を分かちあうということ

こんにちは平です。

ストレスという言葉がありますが、どういう状態がストレス状態なのかと定義するならば、それは、「激しくがまんしなければならない状態が続くこと」ということになるようです。

社会人として生活している以上、職場などでは、泣きたいときにも泣くわけにはいかず、怒りたいときも笑顔で過ごさなければならないということはたくさんあります。

大なり小なり、私たちは自分の感情を押し殺し、がまんして過ごしているのですね。

それでも、そのがまんの状態を解放できるような場所や時間が十分にもてたなら、ストレスからの回復はスムーズに進むようです。

がまん状態というのが、好きでもないことや、いやなことをしている状態だとしたら、逆に好きなことにのめりこんでいる状態にあるときはストレスフリー、つまり、ストレスのない状態だといえますからね。

ところが、逆説的なのですが、ストレス状態が続くと好きなことがなくなってしまうということが少なくないのです。

疲れ果て、ただ、ゆっくり休みたいと思うだけ‥‥というように、いわば現実からの逃避のようなことが起こってしまうのです。

これは、恋愛や結婚生活に置き換えることもできます。

彼のことが大好きで、彼にのめりこんでいるときは、どんなに仕事でいやなことが続いていたとしても、次のデートのことを考えるだけで心はウキウキとしてきます。

そして、実際に彼とデートすることで、あなたの顔には笑顔が戻り、また、いろいろな感情を感じることで、仕事で疲れていた心も回復していきます。

しかしながら、彼に嫌われたくないがために、デートのときもがまんばかりしてしまうという人がじつは意外と少なくないのです。

がまんしていると、彼とのケンカも多くなったりして、デートもどんどんつまらなくなっていきます。すると、日常生活のストレスからくる怒りまで、彼との男女関係に向かいはじめるということが得てして起こりがちです。

もう少し具体的にいうと、まず、心は「仕事でがまんばかりしているのだから、デートのときぐらい、多少、わがままでもいいじゃないか。いや、わがままをしたい」と思っているわけです。

ところが、なぜか、彼といるときもがまんすることになってしまい、

「デートのときまでがまんするなんて、耐えられない!」となってしまうのですね。

で、もともと、日常生活には、「がまんするばかりで文句の言えない、あんなヤツ、こんなヤツ」がいっぱいいるわけですが、そやつらに対する怒りまでもが、デートでがまんさせる彼に対して爆発してしまうというわけなのです。

さらに問題は、彼も彼とて、あなたと同じように考えていることが多いということかもしれません。

会社ではいつもペコペコと頭を下げてばかり。そのストレスを晴らすべく、「デートでは、多少、王様になってもいいだろう?」などと思ったりしているんですね。で、二人のわがままとわがままがぶつかったりするということもよくあるようです。

でも、じつは、もっと奥に、もう一つの問題が潜んでいます。それが上司であれ、お客さまであれ、ふだん会社であなたに対してえらそうにしてくる人たちのことを、あなたが評価していない度合いだけ、あなたはわがままになるということです。

彼が従順な人であったとしても、「私があやつらを許していないように、彼も心の奥では、こんな自分のことを嫌っているのかもしれない」と思ってしまうのです。

このことには、ほとんどの人が気づいていません。そして、その不安感がまた次なるストレスのタネになってしまうようなのです。

パートナーシップがうまくいっている場合は、ストレスも上手に発散されていきます。そうなるために、いちばんラクで簡単な方法は、「すばらしい感情を共有する」ことです。

たとえば、とてもおいしいものを二人で食べて、「これ、すごくおいしいよね!」、「ほんとにおいしいね!」というような経験ができればよいのです。あるいは、すばらしい景色を二人でいっしょに見るのでもよいでしょう。

また、その経験は、必ずしもよいものでなくてもかまいません。

二人で登山などをして、つらい行程を経験したというような場合でも、その経験を共有したことで、二人の絆は強化されます。

みなさんのおじいちゃん世代の人々の中には、軍隊というとても過酷な環境を共有することで、いまだにものすごい友情で結ばれた関係をもっている人が少なくありません。

つまり、それがよい感情であろうが、よくない感情であろうが、一人でがまんせず、分かちあうことができれば、どうも、ストレス状態から解放されるようなのです。

そして、じつは、感情をもっともシンプルに分かちあえるものが、セックスです。

つまり、カップルにとってセックスレスというのは、性的なストレスだけでなく、心理的なストレスにもつながるといえそうです。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。