執着を手放してみると‥‥

こんにちは平です。

先日、うちの奥さまが私の古い服などを取り出して、いきなり、「ときめく? ときめかない?」と聞いてきました。

なにか新しい宗教でも始めたのかと思いきや、これはどうも、“断捨離”という片付けの秘技であったようです。つまり、ときめかないものは捨てられることになるわけです。

私はものが捨てられず、残しておくタイプなのですが、56年も生きているわけですから、それこそものだらけ。もはや、残していることすら忘れているような不要品ばかりなのですが‥‥。

だからこそ、断捨離も必要になるのでしょうが、「手放すことで、新しいなにかが入ってくる」という考え方は心理学にもあります。

私たちカウンセラーは、よく「執着を手放しましょう」という表現をします。

私たちは、「これ以上、よいものが、私のもとに来るはずがない」と思い込むことで、いまある関係やいまあるものにしがみついてしまいがちです。

じつは、「この私に、よりよいものが来るはずがない」という考え方の土台には“罪悪感”があります。

罪悪感とは、「自分は罰せられるにふさわしい。よいことなんか、起こるはずがない」という、われわれの心の奥にいつもあるネガティブな自己概念から生まれてくるものです。

あなたが執着しているものは、しがみつかなければならないぐらいですから、あなたから離れていこうとしているわけです。

離れていこうとするものを維持しようとするのはとても難しいことです。しかし、「この彼を手放してしまったら、もう、次の恋など来るはずがない」と思ったら、その思いが強い度合いだけ彼にしがみつきますし、そして、そのしがみつきが、彼があなたを手放したい理由にもなってしまいます。

なかには、3年前に別れた彼にしがみついているという場合も少なくありません。

しかし、その過去の彼があなたの心の中に“最高の男”として居座っていると、その彼にいなくなってもらわないかぎり、次の彼の席はできないわけです。

また、あなたの心の中に住み続ける過去の彼は、なぜか、ものすごくすばらしいものになっているがゆえに、その彼と比べられると、ほかの男性はほとんど勝ち目もありません。

ところで、執着という状況にあるときは、どうも、人をすぐさま判断してしまう傾向が強まるようです。

先日、31歳の女性が6歳下の25歳の彼とおつきあいすることになりました。

彼女はそれまで4つ年上の、それはそれは頼りになる彼氏をもっていました。ですから、その年下の彼のことは、まったく子どもじみて見えていましたし、はなから興味をもっていませんでした。

当然、“頼りになる”というジャンルで比べると、たしかに彼は子どもじみていたかもしれません。でも、その彼には彼なりのたくさんの魅力があるのです。

彼女は、前の年上の彼のような「私が依存できる」、「いろいろと頼ることができる」という恋愛パターンにも執着していました。

が、ある日、ふと、「この人なら、どんな恋のパターンがあるのかしら」と考えたのだそうです。

そして、若い彼に引っぱりまわされることは、彼女にとっては楽しい経験で、まったく違うときめきが訪れたわけです。

また、彼女はこのおつきあいがとてもラクだと感じました。じつは、こんなにラクにおつきあいできるというのは、彼女にとっては新発見だったのです。

「こんな恋愛もあったんだ‥‥」

彼女は恋愛とはこういうものという定義を自分がもっていたことに気づき、新しい恋を始めるとともに、新しい恋愛パターンを作ることにも成功し、いまはとても楽しくおつきあいしているようです。

もし、あなたに、とても長い間、パートナーがいないのだとしたら、一度、ご自分の恋愛パターンをチェックしてみるといいかもしれませんよ。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。