子離れできない義母の心理

息子(娘)が結婚して、自分たちの家庭を持ったあとも、親が息子(娘)を子供のように扱うことがあります。

親の考えを押し付けたり、何でも親の言うとおりにさせようとしたり・・・しかし結婚する年齢ですから、息子(娘)も大人なわけです。当然反発心も覚えますし、そんな親のことをうっとおしいと思うようになったりもします。親の干渉から逃れようと、親と連絡をとらなくなったり、遠い場所へ引越ししたりする場合もありますが、どんな形をとるにしろ親と適切な距離をとるようにしないと、お互いが大人同士として長く関わっていくことが困難になってしまいます。
このようになってしまうのは、子離れできていない親の問題があります。両者が自立して、適切な距離感を持って関わっていけるように、子供の側から親と距離をとっていくことは大切なことなのです。

◎リクエストを頂きました◎
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結婚2年目。息子夫婦をコントロールしたがる姑との関係で悩んでいます。夫もそんな家庭が嫌みたいですが、穏やかに暮らしてほしいからとあまり強く出てはいません。家事や生活の仕方についての小言はありませんが、なんだか息子をあきらめきれないかのように、いつでも会いたそうに毎週末連絡があります。うまい距離の置き方はないものかと夫婦で思っています。子離れできない義母の心理について教えていただけますでしょうか。

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結婚して自分の家庭を作った息子夫婦(娘夫婦)に対して、いつまでも干渉してくる親。
もちろん結婚しても、親子は親子ですから、係わり合いがあるのは当然のことなのですが、親からの干渉が強すぎると、子供側はうんざりしてきてしまうものですし、自分たちの家庭を作りにくくもなります。

いろいろな干渉があるかと思いますが、いくつか例をあげてみましょう。

・息子は元気かと、毎日のように連絡してくる
・少しでも体調が悪いと言うと、泊り込みで面倒をみにくる
・頼みもしていないのに、何かをしょっちゅう買ってくる
・留守中に合鍵で家に勝手に入り、掃除をしている

いかがでしょうか?
うんざりする人も多いかと思いますが、中には「我が家ではあたりまえ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

子供が子供である時代、つまりまだ思春期前であれば、上記のような干渉は、日常当たり前に行われているかもしれません。
この時代の干渉は、親が子供を守るという意味合いで行われています。

子供が元気かどうかは、一緒に暮らしていればわかることです。当然、体調が悪ければ、親が子供の面倒をみるでしょう。
また、子供は自分で何かを買うことができませんから、親が買い与えるということも、当然のように行われています。
親が勝手に部屋に入って掃除をするということも、思春期前なら、ごく当たり前のことなのかもしれません。

ところが、思春期頃から、この親の行為が子供にとって、うっとおしいものになってきます。
自立が始まると、親のこのような行為を子供は嫌って反抗し始めます。

反抗できるのは、とても正常な状態と言えます。
中には、反抗すると親が激怒したり、ものすごく悲しむので、反抗すらできなかったという人もいますし、幼少期からあまりに干渉され過ぎた結果、自分で判断することができなくなってしまっていて、親に反抗すらできないという人もいます。

親に反抗して自立していく時期を過ぎると、子供も大人に成長していきますから、親子ではあるけれど、お互いが大人同士という関係性を作っていけます。
もちろん、親の側も子供が大人になることを、受け入れることができているというのが前提になります。

子供が大人になるということは、もう親の手を借りなくても、何でも自分でできるようになるということですから、親としては、嬉しい反面「もう自分は必要なくなった」と寂しく感じることもあるのです。

特に、夫婦の関係がうまくいっていない場合や、母親がとても孤独な状態の場合、母親にとって子供は、唯一自分を必要としてくれる者であり、自分の価値を認めてくれるものとなります。
そんな子供が成長して大人になってしまうと、母親は自分が誰からも必要とされなくなってしまうのではないかという怖れをもってしまうことがあります。
そうすると、子供が大人にならないように、いつまでも母親がいなくてはいけない子供のように扱い続けるということが起こることがあるのです。この状態は母子癒着といわれる状態です。

息子を自立していない子供として扱い、自分と息子の境目がなくなってしまう状態は、息子夫婦の自立を妨げる行為となってしまいます。

両者がうまくやっていくためには、お互いが自立して対等な大人の関係になることが大切です。
そのためには、思春期の子供が親離れするように、子供が親と心理的距離をとっていくことが必要です。

自立した大人が当然することである夫婦の意見を相手に伝えるとか、嫌なことは嫌であるとハッキリ伝えることは大切なことなのです。
そのたびに、親側から攻撃れたり、泣かれるなどの抵抗があることは十分に考えられます。
でも、これは自立していくためには、やっておかなくてはいけないことなのです。
その上で、親に対して感謝していること、大切に想っていることも、きちんと伝えるのです。

中には、癒着が強すぎて、適度な距離がとれないので、海外に引っ越したり、まったく連絡がとれない状態にして、ものすごく距離をとってしまうこともありますが、子供側から距離をとっていくことで、親側も自分の孤独や必要とされていない感じと、向き合わなくてはいけなくなってきます。
それは、姑と舅夫婦が向き合うことかもしれませんし、友達を作ったり、何らかの形で社会に参加していくことかもしれません。
そんな姑をサポートしてあげることは、息子夫婦にできるかもしれませんが、孤独や必要とされていない感じを受けないために、ずっとベッタリと近い距離にい続けてあげることはできないのです。

お互いの自立と、大人としての対等な関係性が持てることが、最終的なテーマになってきますね。

今回は、子離れできない義母ということで、ご説明させていただきましたが、子離れできない義父や、子離れできない実父母も同じようなことがおこります。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。