感情は共鳴する~嫌な気分を引きずらないために~

自分にはまったく非がないのに、嫌な態度をされると、気分がよいものではありません。
とは言っても、私達が生活していると、嫌な態度をされることというのは、多々あります。
知らず知らずに、自分自身も、もしかしたらそういった態度をしていることもあるのかもしれません。

私達は、他人同士であったとしても、互いに影響されあっているものなのです。
どうせ影響したり、されるのであれば、気分の良い影響を受けたいですし、与えたいものです。
怒っている人と一緒にいると、自分まで何だか怒りが湧いてきたり、悲しんでいる人と一緒にいると、自分まで何だか悲しい気分になったりするものです。

感情は共鳴するものですので、どんな感情に共鳴するかを、あえて選択してみることで、悪い気分を、良い気分に変えることもできるのです。

◎リクエストを頂きました◎
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(一部を編集させていただいています。)
私は態度の悪い店員さんなどに接客されて嫌な気分になることがあります。
別に高級ホテルのように高度な接客を求めているというわけではありません。

ただ普通に接してほしいだけなのですが、店員さんも人間ですから何か虫の居所が悪いときもあるのでしょう。
最初からひどくツンケンした話し方だったりするなど、私が原因なはずもないイライラをぶつけてくる方が時々いらっしゃいます。

大抵は我慢してやり過ごします。
あまりにひどいときは直接その店員さんに言うときもあります。
でも、どちらにしても嫌な気分が残ります。
ひどいときはその日一日中その気分をひきずってしまいます。

理不尽に怒りをぶつけられ、嫌な気分になるのがこわくて接客される場所に行くのがおっくうにさえ感じます。
でも、どこにでもそのような店員さんはいるものですし、完全に避けて生活することはできません。
そこで、当たってしまった場合になるべくひきずらずに、そんなことで一日を台無しにしなくていいようにする考え方などがあれば教えてほしいと思いました。
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確かに、そういった接客をされて、嫌な気分になってしまうことってありますね。
自分にはまったく非はないのに、イライラをぶつけてこられると、ぶつけられた側までイライラしてしまいます。

生活していると、そういった店員さんと接することもありますし、リクエストしてくださった方のように、嫌な気分になってしまうのは、当然かもしれませんね。
でも、そのせいで一日中、気分が悪くなってしまうのも、更に嫌なものです。

ある意味、イライラをぶつけられると、嫌な気分になってしまうことは、仕方ないのかもしれません。
でも、それを長く引きづらないでいることができれば、振り回されなくてもいいですよね。

イライラをぶつけてくる人というのは、どんな感情を感じているのでしょうか?

何があったのかは、わかりませんが、おそらくは、怒りを感じているのでしょうね。
もちろんその怒りは、イライラをぶつけられた人には、まったく関係のないことが原因です。

感情には、共鳴作用というのがあって、怒りを感じている人と一緒にいると、その怒りを同じように感じてしまうのです。

例えば、とても悲しいという感情を感じて、落ち込んでいる人といると、何だか自分まで気分が落ち込んで、悲しい気分になることってありますよね。
また、もの凄く楽しい人と一緒にいると、何だか楽しい気分になることもあります。
強い感情に、共鳴している状態なのです。

ところが、この共鳴作用ですが、自分の中にまったくない感情であれば、共鳴のしようがないのです。
つまり、怒りという感情に共鳴してしまうのだとしたら、自分の中にも「怒り」という感情があるということです。
人間ですから、怒りと言う感情を持っていても、なんら不思議はありませんし、ある意味当然のことですね。

ですから、怒りをぶつけてくる人がいたとしたら、自分の中にある怒りが、呼び覚まされてしまうのです。
自分の中にある怒りという感情が、とても小さいものだったとしたら、店員さんの怒りに共鳴して、一瞬嫌な気分になったとしても、「自分には関係のないことだ」と、店員さんの怒りを、切り離すことができます。
ですが、自分の中にも、大きな怒りがあったとしたら、とても長い間共鳴してしまいます。
また、何度もそんな嫌な目にあってしまって、怒りが湧きでてくる経験を何度もしてしまうことがあります。

嫌な気分をひきずらない為には、怒りをぶつけてくる人の感情と、自分の感情を切り離すことが必要です。

怒りが呼び覚まされたのは、目の前に居る店員さんの態度が原因かもしれませんが、元々の怒りは、目の前の店員さんに対してではありません。
昔自分を、ひどく扱った人に対する怒りかもしれませんし、自分自身に対する怒りかもしれません。
はたまた、昔別れた彼女や彼に対するものかもしれませんし、欲しいおもちゃを買ってくれなかった両親に対するものかもしれません。
社会全般に怒りを感じているのかもしれません。

その怒りの元がわかれば、「ああ、怒っていたんだな」「あの時は、つらかったよな」と、自分の中にある怒りを認めてあげることができます。
そうすると、怒りはだんだんと収まってきます。

とは言っても、嫌な態度の店員さんに会うたびに、そんなこといちいちやっていられませんよね。
ですので、イライラをぶつけてくる店員さんの怒りに共鳴しないということが、いいかもしれません。

感情というのは、様々なものがあります。
怒りも感情ですが、嬉しい、楽しいというのも感情です。
そして、なにより人間が持っている最大の能力とも言うべきものが、選択する力です。

共鳴していることがわからない状態ですと、感情を選択することは難しいですが、共鳴していることがわかれば、自分が感じる感情を選択することができます。

嫌な事があっても、「さっ気分を変えよう」と言って、さっさと切り替えることができる人っていますよね。
そういう人というのは、意識していなくても、自分が感じる感情を選択できているのです。

まずは、店員さんの怒りを、自分から切り離す。
だって、関係ないことですからね。
理不尽に八つ当たりされているだけです。

そして、自分が感じたい感情は何だろう?と自分に意識を戻します。

感じたいものが、嬉しい、楽しい、幸せだなという感情であれば、それを感じることができる物に集中するといいですね。

そのお店の中で、笑顔の人はいないだろか?
楽しそうな人はいないだろうか?
そのお店に、自分が欲しかったものはないだろうか?

どうせ共鳴するならば、楽しそうな笑顔の人の感情に共鳴したいですよね。

その場で、嬉しい楽しい幸せなものが見つけられなかったとしても、大好きな人を思い浮かべるとか、楽しかったことを思い出すとか、気分が良くなる場所へ自分を連れていってあげるとか、何か自分の中にある、嬉しい、楽しい、幸せという感情を強く感じることができることをするといいですね。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。