◇伯母の贈り物

私の伯母は、誕生日やクリスマスには、
いつも、本をプレゼントしてくれていました。
・・・というよりも、
本以外のものをプレゼントされたことはないというほうが
わかりやすいかもしれませんね(^^;
そして、それが暗黙の了解のようにもなっていました。
彼女は体が弱かったために、義務教育しか出ていませんでしたが、
家の中には小さな図書館と言えるくらいにたくさんの本が並んでおり、
もちろん近所の書店の店員さんとはお馴染みさんでした。
幅広いジャンルを読んでいたために、いろんな知識を持っていたし、
なにより向上心がとても強い人でした。
そんな伯母のことが大好きだったので、
私自身も本をよく読むようになりました。
それは、伯母が選んだものであったり、
時には自分が読んでみたいものをリクエストしたりと、
毎年たくさんの本をもらっていたのですが、
そんな中で、今でも一番印象に残っているのが、
私が中学生のときのクリスマスにもらった一冊の本です。
それはミヒャエル・エンデの「モモ」という本で、映画化もされています。
この本をお持ちの方はご存知かもしれませんが、
主な対象としては・・・
“小学生向け”なんですよね(^^;
なんで・・・・?
なぜ今中学生の自分にこの本を贈ってくれるのだろうか・・・?
疑問が湧き上がってきました。
でも実際に読んでみると、彼の作品は奥が深く、
ただのファンタジーと言うよりも
どこか考えさせられるものがあるんですよね。
「モモ」についても同様で、
(この作品では「時間」がテーマになっているのですが)
自分の命と言う“限りある時間”をどう過ごしていくか、
そんなことを考えさせられました。
伯母は、“本”という世界を通じて、
人生で大切なものを贈ってくれていたんだなぁ・・・
と感じずにはいられませんでした。
・・・と言っても、このことに気付けたのは、
だいぶ後になってからでしたが(^^;
物を大切にするのと同様に、周りの人たちの心を大切にする、
そして自分の心も大切にする。
そんな思いやりの気持ちも一緒に贈ってくれたのではないのかな、
振り返ってみるとそんな思いの込められた贈り物だったように感じます。
伯母はもうだいぶ前に他界していますが、今までにもらった大切な贈り物たちは、
これからもずっと大切にしていきたいと思います
そして、私もそんなギフトを贈れる人になりたいな、と思います(^^)
by渡辺晴美

この記事を書いたカウンセラー

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