パートナーシップ・コミュニケーション(4)~私の中の“愛”を伝える~

関係が長くなればなるほど、私たちは雲がかかったように相手のいいところが見えなくなってしまうようです。

そんな中でも、自分自身を見つめ、許し、心を解放していくと、あなたの中の“愛”に気付くことができるようになります。そうすると、問題そのものがどうでもよくなり、パートナーへの愛も取り戻せるようになるのです。その愛と繋がりながら愛を伝えることが究極のパートナーシップ・コミュニケーションではないかと思うのです。

●テーマ4:私の中の“愛”を伝える

付き合いが長くなると、どうして相手の欠点ばかりが目に付くようになるかご存知でしょうか?
実はそれは“投影”で、自分が自分の悪いところを責めている分だけ(つまり、自己嫌悪がある分だけ)、相手の悪いところが目に付くようになるんです。

パートナーシップはその期間が長くなり、関係性が深くなればなるほど、非常によくできた“心の鏡”になっていきます。
つまり、パートナーとは心理的には自分自身に他ならないわけです。

だから、自分を愛することと、パートナーを愛することは同義となり、自分を信じることとパートナーを信じることはイコールになっていくのです。

だから、パートナーシップのカウンセリングの中では、より良い関係を築くために、相手ではなく、自分自身を愛することを提案していくことも少なくないんですね。

関係性が悪化して、なかなか素直にパートナーと向き合えないとき、まずは自分自身を見つめ、愛することで、パートナーを許し、受け入れ、愛する準備も出来ていきます。

実は、潜在意識の中では、いかなる理由があろうとも、パートナーを愛せない自分は罪悪感を感じ、自分を責めています。
だから、パートナーを攻撃したくなるときは、「自分では分からないけれど、どうも自分はパートナーに罪悪感を感じているらしい」と思って間違いはないんですね。

だから、自分を愛しましょう、自分を許しましょう、というのがパートナーシップをより良くするための大切なテーマになるわけです。

それは言い換えると、あなたの心の中にある「愛」に気付くことなんです。
その「愛」と繋がることができているとき、私たちは誰かを攻撃したり、批判したりすることの無意味さ、虚しさ、痛みを知ります。

花を見て綺麗だな、と思うこと。
生まれたばかりの子猫を見て、かわいいな、と思うこと。
空が晴れ渡っていて、気持ちいいな、と思うこと。
食べ物を、美味しい、と感じられること。
人の笑顔を見て、ホッとした安心した気持ちになること。
大切な人の辛い話を聞いて、心を痛めること。
困っている人を見て、何かしてあげたいな、と思うこと。
次の休暇に念願の旅行がかなってワクワクしていること。

そうしたことのすべてはあなたの心の中にある「愛」が作り出しているものです。

だから、好きなことをしましょう、自分が喜ぶことをしてあげましょう、とカウンセラーは言います。

温泉にゆっくりと浸かり、自然の綺麗な眺めを堪能し、風が心地よく、自然とふーっと深呼吸ができるとき、私たちは悩んでいることも、誰かに怒りを感じていることも、ひとまずお休みして「ま、いいか」と言う気持ちになれます。

心が解放され、愛と繋がっていると、問題など「どうでもよく」なってしまうんです。
実は問題の解決ってここにあるんですね。
問題そのものが大したことじゃないように感じられたり、あったことを忘れてしまうことが本当の解決だと思うんです。

さて、そうなると、更に心の奥深くから、懇々と愛が芽生えてきます。
恨み辛みや怒り、罪悪感や無力感、嫉妬や憎しみ、惨めさに悲しさ、そして、寂しさ。そうした辛い感情が地層のように折り重なっていたとしても、その奥には地中深くから湧き出す温背にようにちゃんと愛の層があるのです。

「色々あったけど、結局はあの人のことが好きんだよな」
「たくさん困らせているし、迷惑もかけてるけど、そんな自分にはあいつしかいないのかもしれないな」
「なんだかんだ言って、愛してるってことなのかな」
「ほんとケンカばかりだけれど、あの人で良かったのかもしれない」

そんな思いが心の奥から沸いて出てくると、それはしっかりあなたの意識を捉えて話さなくなります。
エゴがそれを打ち消そうとしても、その思いが真実な分だけ、無くなることはありません。

そんな愛に気付くようなカウンセリングになることがあります。
セッションの中で、心が開かれ、自分の中にある愛に気付くと、表情が柔らぎつつ、イキイキとしてきます。
そして、パートナーへの愛をぼんやりと(ほわーっと)、でも、しっかりと意識することができます。

「今のこの気持ち、この愛を覚えておいてくださいね。きっとお家に帰ってご主人の顔を見たら、またムカッと来て、辛くなって、嫌味の一つや二つは言ってしまうかもしれません。だって彼は何も変わってないですからね。でも、それでいいんですよ。ただ、ちゃんと自分の中にはご主人への愛があるってことを知っておいてくれたら、いつでも、そこに戻ることができるようになります。忘れたらまたいらしてくださいね。あるいは『カウンセリングに行こうかな』と思うだけで取り戻せるかもしれませんけど。」

実際は、愛に気付くようなカウンセリングを終えた後は、すぐにムカッとすることはないようです。
むしろ、「何だか主人に優しくできました」とか「妻に『ありがとう』って自然と言えました」とか「穏やかな気持ちで過ごせています」とか「少し大丈夫って安心感が芽生えました」と言う状態になるようです。

「そしてね、できれば、今日、ご主人に、今感じた気持ちをそのまま素直に伝えてみませんか。今おっしゃっていただいた『色々あったけど、結局は、あなたのことを愛してるみたい』って言葉をそのまま届けてみませんか?今のそれは真実の言葉だし、本音ですから」

どんなに揉めている最中であっても、愛と繋がり、愛から芽生えた真実の言葉をそのまま伝えることができれば、不穏な空気を突き抜けて相手のハートにすーっと愛を届けることができるのです。

「本当は、あなたのことを愛してるの」

「俺は、お前のことを愛してる」

愛と繋がった、その真実の声を伝えることが究極のコミュニケーションだと思うのです。
格好を付けるのでもなく、恥ずかしがるでもなく、怖がるでもなく素直に、自然にその言葉を伝えるのはものすごく難しいです。
でも、愛と繋がっているその瞬間だけはきっと可能になるのです。

パートナーシップ・コミュニケーションの究極は、あなたの中にある愛と繋がり、その言葉を伝えることです。
それはあなたの人生に大きな安心感とワクワク感と高揚感を届けてくれるチャレンジになるのです。

最後に、普段の生活でできる愛のコミュニケーションをいくつかご紹介します。

・愛を伝える
・感謝を伝える
・価値、長所を伝える
・笑顔で話しかける
・ハグをする
・キスをする
・セックスをする
・手を繋ぐ
・腕を組む
・同じペースで歩く
・目をじっと見つめる
・肩や背中に触れる

このうち一つを1日1回続けてみてはいかがでしょうか?
いきいきと愛を感じられる毎日がきっと生まれてきます。

(完)

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