産後・育児中、夫や子どもにイライラする心理~家族への愛情の証であることを知る~

産後・育児中に夫や子どもにイライラしてしまう。

こうした悩みを抱える女性は本当に多いです。一見、身近な相手への怒りに感じますが、実際の心理は罪悪感・無価値感からくる「自己攻撃」。

その元になっているのは「母親失格」という思いです。良妻賢母の価値観や自分の母親をモデルにしてしまうために「やれて当然」と思い、自分の母や周囲の目や周りの母親と比較して、できない自分を責めてしまいます。

しかしながら、育児は本当に大変なもの。
どれだけ自分ががんばっているかを認めてあげることが大切なポイントです。

そして、夫や子どもに理解や助けを求めることができるようになると、とても楽になれます。あなたは自分に厳しすぎるのです。

このイライラは実は「夫や子どもに対する愛情が大きい」から起こることを知ってください。愛情が大きいからこそ自分を責めてしまうのです。

◎リクエストを頂きました◎
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心理学の観点から、産後(育児中)のイライラに対する対処法について教えて下さい。
子供や主人に対して毎日の様にイライラし、子供にはあたってしまったり、主人には文句を言ったり、溜め息を分かるようについたりしてしまいます。

ダメだと分かってますし、もっと2人に優しくしてあげなきゃいけないのに、優しくしてあげられないし、相手に対する思いやりも忘れてしまってるような気がします。
イライラしている自分にもイライラしたり、自己嫌悪したりしてしまいます(<_>)
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産後、育児中にイライラして、夫や子どもにあたってしまう。
こうした時期は、本当に辛いものです。

このイライラがなぜ辛いか。
その心理は、一言で言えば無価値感・罪悪感からくる「自己攻撃」です。

ご主人やお子さんに腹が立っているのではありません。
自分を責めて、自分に怒っているのですね。

責めている理由は「妻・母親失格」という思い。

自分は、妻として母として何もできていない。ダメな妻、母親でごめんね、と自分を責めているので、とても苦しいのです。

なぜ、家族の顔を見るとイライラするのかといえば、ご主人やお子さんの顔を見ると、無意識に自分が妻であり、母であることを連想します。
すると、オートマチックに「ダメな妻、ダメな母親」という無価値感と罪悪感を感じて、それを感じるのが苦しいのです。

家族の顔が「自分を責めている目」のように感じてしまうため、イライラしてしまうのです。
すると、ご相談者が書いてくださっているように、こんな風にイライラする自分に自己嫌悪してしまうことになります。

「夫や子どもに腹が立っているわけではない」ことに、気づいているからこそ、こう思うのですね。
この「妻、母親失格」という気持ちはどこからやってくるのでしょう。

それは「育児・家事は妻として母として、やれて当たり前」という心理。
日本の女性は、大きさは個人差はあれど「良妻賢母」の価値感に縛られています。
男女平等の世の中と言えば聞こえはいいですが、まだまだ、社会的にも文化的にもこの価値観はとても強い。

それに女性自身が縛られています。

モデルになるのは、自分の母親です。
世代的にも、自分の母親は家族のために犠牲し、我慢し、育児・家事をやってきた女性が多い。

すると、自分の母親のようにやれるのが当然という心理を無意識に持つようになり、同じようにできないと「母親失格」と自分を責めてしまうのです。

また、子育てに関する自分の母親のアドバイスがストレスになることもあります。

助言に救われることも、もちろんありますが、「もっとこうしたほうがいい」などの言葉が「自分はできてない」と責められている気持ちになることもあります。

では、こうしたイライラについて、どう対処したらいいのでしょうか。

まずは、上記の「自分がイライラしている理由」について知っておくことが大切です。
イライラした時や、自己嫌悪に陥った時には、これを思い出すだけで、少し楽になれます。

相手を責めているのではなく、「愛情の大きさ」ゆえに自分を責めてしまっているのだと思ってください。

また、育児中の女性というのは、本当に本当に「精神的にも体力的にも余裕がない」ことを思い出すこと。
「やれて当たり前」という意識が強いと、自分がどれだけ大変な状態なのかに気づくことができません。

それどころか、「まだ私は努力が足らない」「こんなことぐらいで根を上げる私がおかしい」とさえ、思ってしまいます。
そのため、「私だけができてない」つまり「他の女性はできている」と感じてしまうのです。

しかし、そうではありません。全ての育児中の女性が、同じ悩みを抱えているのです。

仕事と違って、育児は24時間365日体制で、終わりがありません。
ましてや、第一子であれば、初めての子育ててわからないことだらけ、そのストレスは巨大なものになります。

また、大切な命を育てていかなければならないという思いは、強いプレッシャーにもなります。
第二子、第三子であれば、上の子を育てながらの育児になり、これまた本当に大変です。

いかに自分が大変な中、がんばっているかを知ること。
また、自分だけでなく、育児中の女性は、同じように感じていること。
それを思い出してください。

最後に、夫と子どもとコミュニケーションを取ること。

夫というのは、なぜ妻がイライラしているのか、その理由がわかりません。
夫は、妻の育児が大変であるとわかっているつもりでも、本当の大変さは理解できていないことが多い。

私自身、育児の時期は、妻(カウンセラー池尾千里)のことを理解しようとしながらも、その大変さをわかってあげられなかったことがたくさんありました。

妻は「こんなに大変なのだから、きっとわかってくれるだろう」と思いますが、夫は意外なほどわかっていない。男性は具体的に思いを伝えないと理解できない傾向があるのです。
夫も何かしてあげたいと思っています。けれど、どうしてあげたらいいかわからないのです。

逆に伝えてもらえたら、夫も楽になれるし、手伝いようがあります。

また、思いを伝えることで、夫も子どもも「自分に怒っているのではないんだ」と知ることができ、楽になれますし、理解と協力をしやすくなります。

「こんなにイライラするのは、あなたに腹を立てているのではなく、私に余裕がないからなの。ごめんね。」
「手伝って欲しいけど、何を頼んでいいかわからないの」
こうした時のコミュニケーションは難しい。

でも、今あなたが感じている何かを伝えること、イライラは自分に怒っていることなど、可能なところから伝えていってみてください。

「イライラは、家族への愛情の証」であることを忘れないでください。
あなたは愛の大きな女性なのです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

池尾 昌紀

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。