夫婦における怒りの心理学(1)~怒りは相手ではなく自分への攻撃であることを知る~

例えば、浮気した夫が許せなくて、夫の顔を見るたびに怒ってしまう。
頭では怒って当然!と思いながらも、心の中は、本当は怒りたくないのに怒ってしまうことに悩んでいたりします。

実は、怒っているのは夫ではなく、自分。自分を責めていることが苦しいのです。
どうして自分を責めてしまうのでしょう。そこには二つの思いが隠れています。

一つ目は、夫のことをいつまでも怒っている自分が許せない。
二つ目は、夫が浮気をしたのは自分のせいだと自分を責めている。

こうした自分の本当の怒りに気がつくことで、この怒りを手放していくことができます。

夫婦問題のご相談で、よく伺うのは「怒りの感情」についてです。

夫が、妻が許せない!というご相談をとても多く伺います。
そんな時の心理は、相手を怒っているというより、怒りが収まらないのをどうしたらいいかわからないという悩み。

つまり、本当は怒りたくないのです。にもかかわらず、怒りが止まらない。それを止めたいというのが本当の気持ち。
こうした時に効果的なのが、以下の二つの視点です。

ひとつが「怒りは自己攻撃」
もう一つは「本当に怒っているのは別のこと」

こうした視点から自分の中にある怒りを整理していくと、怒りに隠された本当の気持ちに気づくことができ、それだけでも怒りは収まっていきますし、怒りに対する具体的な対策がとりやすくなります。

そして、怒りをきっかけに、夫婦や恋人関係を改善していく機会が生まれることも、たくさんあります。
今回の心理学講座では、怒りについて、こんな視点で解説をしていきます。

例えば、こんなご相談。
* * * * *
夫の浮気が発覚。
問い詰めると、夫は平謝り。
もう二度としないと言い、どうやら本当に浮気相手とは別れたようだ。
しかし、怒りが収まらない。
毎晩、夫が会社から帰宅するたびに、罵倒してしまう。
そんな毎日に疲れてしまった。
どうしたらいいの?
* * * * *

夫が悪いのは当たり前。
だから、怒っても当然。
にもかかわらず、それが苦しい。

こうした時の心理は、夫に対しての怒りはもちろんあるのですが、その多くは「自己攻撃」であることが多いのです。

つまり、本当に怒っている相手は、夫ではなく、自分なんですね。

自分に怒っているのです。
自分を責めて、自己攻撃して、そのことが一番の苦しみなんですね。

どうして自分を責めてしまうのでしょう。
そこには二つの思いが隠れています。

一つ目は、夫のことをいつまでも怒っている自分が許せない。
二つ目は、夫が浮気をしたのは自分のせいだと自分を責めている。

繰り返しになりますが、浮気をした夫が悪いことは間違いのない事実。
にもかかわらず、その思いの下には、私のせいで夫は浮気をしたのではないか、という思いが隠れています。

例えば、こんな思い。
・最近、夫に冷たくしていた私
・子どもにばかり意識を向けていた私
・過去の出来事を振り返っての後悔

あの時の私の態度が悪かったのではないか。
様々な思いが自分を責めます。

こうした罪悪感が自己攻撃の元になっているのですが、それを感じるのが苦しすぎて、感じつづけたら心が持ちません。

だから、怒りでフタをして、この罪悪感や、自己攻撃の苦しみを感じないようにしていきます。その怒りのフタというのが、夫への怒り。

ところが、これは無意識でやっていることなので、表面的には夫に怒っていることしか自覚できません。
すると、夫への怒りを鎮めようと努力しても、うまくいきません。

なぜなら、本当に怒っているのは夫ではなく、自分なのですから。

誰かに怒りを感じる時。
・怒りは、その誰かではなく、自分に怒っている「自己攻撃」
・本当に怒っているのは別のこと

この2つの視点を持って整理してみることが役に立つ場合があるのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。