管理者の部下とのコミュニケーションの第一歩は反応すること

管理者になると、部下から何らかの提案を受けることがあります。
仕事の業務改善など仕事の進め方、ビジネスの情勢分析、問題点や課題など様々なものがあります。
管理者の大きな仕事は業務を円滑に進めることですから、これらの提案に耳を傾けることも大きな仕事の一つです。
ところが、少しばかり勘違いしている人もいて、管理者は指示をする立場であり部下はその指示に従うべきと考えている人がいます。
このような管理者の元では、仕事がうまく進まなくなることも多いものです。

提案する側からの視点では、仕事をうまく進めるためによかれと思って提案しています。
管理者側の視点では様々な捉え方がありますが、「貴重な意見」と捉えて真摯に検討する人もいれば、「決まったやり方(私のやり方)に口出ししてうるさい人」と反発する人もいますね。
あるいは提案を受けたもののどう対応すればいいかわからなくてフリーズしてしまう人もいるかもしれません。

「貴重な意見」として捉える人は、その提案者の意図が仕事を上手く進めるためになされていることを理解しているので、提案を受けた際にも提案者にきちんと反応することができているケースがほとんどです。
しかし、「うるさい人」と反発する人は、その提案者の意図がどうであれ最初から聞く耳を持たないわけですから、提案を無視したり、生返事で聞き流したりして提案者への反応をしないケースが多く見受けられます。
また、どう対処していいかわからなくてフリーズする人も、反応の仕方が決められなくて結果的に提案を無視する形になってしまうケースがよく見受けられます。

管理者が提案者に対して反応をしっかり行わないと、提案者側は「仕事や事情がわかっていない」「私嫌われているのだろうか」などの気持ちが湧き上がってきます。
そして「二度と提案してやるものか」とか「そこまでの義務は私にはない」というような管理者や組織に対するネガティブな感情が湧かあがってきます。

その結果、以降提案が行われなくなったりします。
そして管理者の仕事が円滑に回らなくなることも出てくることになります。

管理者は、例え提案が有意なものでないと判断されるにしても、またどう扱っていいかわからないにしても、提案者が提案した気持ちを理解し、そのことにお礼を述べ、先ずは提案を受け止めることが必要だと思います。
管理者の部下とのコミュニケーションの第一歩は反応することなのです。
それが管理者としての大きな仕事の一つであり、業務を円滑に遂行することに繋がっていきます。

ところで、部下からの提案に対し「うるさい人」と反発する人は一体どんな心理的課題を抱えているのでしょうか?
このタイプの人の多くは上下関係で物事を見ているので「権威との葛藤」があり、その中でも「権威と迎合するパターン」になります。
ルールなど予め誰かが決めて決まっていることや、自分の上司に対して何か意見を述べるということを控える傾向にあります。
その分、部下からの提案は、自分がやらないことをやっているので管理者である自分のやり方に文句を付けられているように感じるのですね。
「権威との葛藤」にはこのパターン以外にも逆に権威に反発するタイプもあるのですが、「権威と迎合するパターン」の人は業務の改革や改善など現状を変化させていくことがうまくできないケースが多くなります。
この点を改善するには、管理者の目的を明確に意識する必要があり、それに沿って自分自身を見る」ことを止め「業務を見る」「相手を見る」ようにすることが必要かと思います。

一方、部下からの提案に対して「フリーズ」してしまう人は、何か行動を起こすことによる「怖れ」を抱いています。
その「怖れ」は人により様々なのですが、フリーズしてしまう事で何かメリットを得ているわけですから、フリーズを解いてしまうと自分がどんな行動を起こし、どのような感情が生まれ、どのような結果になると考えているのか、を見詰められるといいのではないかと思います。
そうすると、何を「怖れている」のか、それは仕事上だけではなく人生や生活全般においてですが、それが見えてくると思います。
その「怖れ」を乗り越えるためには、少しずつで結構ですので、フリーズを解き、少しずつ体験してみることです。
「怖れ」は行動を起こさない時が大きいものです。
行動を起こしてしまうと「怖れ」は小さくなっていきます。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。