6月の梅ジャムづくり~やりたいことを楽しむ

わが家では、梅雨のころになると梅仕事をしています。
5kgの梅を買ってきて梅酒や梅シロップを仕込むのが毎年の楽しみ。
ただ1つ悩ましいことがあって、エキスを出し切った前年の梅も、おなじ量だけ取り出すことになります。
大量の出涸らし梅をどうしたものか……でも取っておくと冷蔵庫の広大な部分が占められてしまうので、もったいないんだけど結局いつも捨てていました。

でもある年ふと思い立って、その梅でジャムをつくってみたんです。
そうしたら料理人の友だちからも「すばらしい!」とほめられるほどおいしいジャムができてしまいました。
どうせ捨てる梅でつくったジャムがこんなにおいしいなんて!
うれしいな~ラッキーだな~ってすごく楽しい気分になれたんですね。

そして翌年の6月。
また梅仕事の季節がやってきました。

私はその年もまた梅ジャムをつくろう~って思っていたんです。
でも、梅ジャムのことを考えるとなんだかモヤモヤとイヤな気分になっている自分に気が付きました。
どうしてかな? と自分の気持ちを観察してみると、どうも「失敗できない」っていう気持ちがあるようなんです。
たかが梅ジャムなんですよ。
冷静に考えると「失敗」とかないですよね。
それなのに、「去年の水準から後退することがあってはならない」というこの重圧!!

去年の私は、失うものが何もない状態でトライして、結果としておいしい梅ジャムを手に入れるという体験をしました。
「やってみたら意外とカンタン~」
「こんなふうにジャムになるんだーおもしろいな」
「あ、めちゃくちゃおいしい!」
っていう感じで、つくる過程そのものが楽しかったんです。

ところがその年の私には、前年の成功という「過去の栄光」が重くのしかかり、
「去年ほどうまくいかなかったらどうしよう」
という不安が一番の関心事になってしまっていたようなのです。

* * *

「義務と役割」という言葉があります。
「こうしなければならない」とか「ああするべきではない」という義務感。
またたとえば1人の女性であっても、「母」「妻」「女」「会社員」など、人は色々な役割をもって生きていますね。

大人として社会人として、義務や役割を担うことはある程度は必要なことだと思います。
ただ楽しいこと・好きなことに対しても、「やりたい」がいつのまにか「やらなきゃ」になって、必要以上に「こうしなければ」と思いつめてしまうと、その考えで自分を縛りつけて身動きがとれなくなってしまうことがあります。

私の梅ジャム問題でいうと、はじめは楽しかったものが、「失敗するわけにはいかない」というプレッシャーできゅう屈になってしまった(=梅ジャムづくりがなんだかイヤ)という状態ですね。

「こうしなければならない」という気持ちの根っこには、「ありのままの自分ではダメ」という思いが隠れていたりします。
「もっとがんばらないと、まわりから認めてもらえない」という怖れが行動のモチベーションになっているので、どれだけうまくいっても「できて当たり前」で、喜びは感じられません。
さらに、やればやるほど「できて当たり前」のハードルが上がっていきます。
人は喜びを感じられると「またやりたい!」「またがんばろう」と思えるものですが、そのご褒美なしでがんばり続けたら……
それは、ガソリン補給なしで走る車みたいなもの。
そのうち燃え尽きてしまいますよね。

* * *

こんなとき、義務と役割から抜け出していくにはどうしたらいいのでしょうか?

まず大切なことは、「自分のしんどい気持ちに気づく」ということです。
最初はやりたくて始めたこと、楽しかったこと、誰かに喜んでほしくてやっていたこと。
それがいつのまにか義務感の方が大きくなっていたり、ぜんぜん楽しめなくなってしまったとしたら、そんな自分のモヤモヤを見つけてあげられるといいですね。

そして次に「楽しもう」と思ってみること。
はじめは梅ジャムづくりの過程そのものが楽しかったのに、まるで仕事のように「結果」を求めていくようになると、「前回の水準をこえなければ」という義務感で心がペチャンコになってしまうんです。
その仕事感をなるべく手放して、もう一度「のびのび楽しんでみよう」「どうやったら楽しいかな?」って意識してみましょう。

そのときに、誰かに話してみることも「やらなきゃ」と硬くなった心をゆるめる助けになります。
「私って、好きなことがいつのまにか義務とか役割になっちゃうんだよね」って信頼できる人に分かち合ってみると、相手は「私もだよ~」って共感してくれるかもしれないし、「そうなんだね」って、ただ受けとめてくれるかもしれません。

そんなわけで、私は梅ジャム問題を夫に打ち明けてみました。
夫は「えっ、梅ジャムでしょ? なんでそんなに重たく考えてるの!?」と大笑いしていました。
まあ、そういう反応になりますよね(笑)
私だって「梅ジャムごときにこの重圧……」って、われながら思いますよ。

自分が感じていることを人に話すのって、ちょっと恥ずかしいんです。
だって自分はめちゃくちゃ真剣に悩んでるのに、「そんなことで?」って言われたらシャクじゃないですか。
でも、その恥ずかしさを越えて打ち明けてみると、自分でも笑えるようになるから不思議です。

夫が私の悩みを面白がってくれたおかげで、私も「そっか、そんなに真剣に悩まなくてもいいのか~」って重たい荷物をおろせた気がします。
「じゃ、やっぱり梅ジャムつくろうかな!」と気が変わった私は、モヤモヤなしで梅ジャムをつくることができました。
そして、つくったジャムを友だちのホームパーティーに持っていきました。
「すごくおいしいよ~」と喜んでくれる友人たち。
そんなに喜んでもらえたならつくってよかったなって、私も嬉しくなりました。

今年もまた、楽しんで梅ジャムをつくろうと思います!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

にしだ しお

職場の人間関係をきっかけにうつ病になった経験を持つ。夫婦関係を見つめ直し心身ともに回復してきたことから「彼との距離が遠い」「人に頼れない」など恋愛・人間関係のご相談を得意とする。なんでも話せる安心感と、深い共感力に定評がある。クライアントの魅力や才能を引き出すことを大切にしている。