『ファンタジー』の心理

空想を手放すと満たされた関係が手に入る

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

私たちは子供のときに、さびしい思いをしたり、満たされないものがあると空想をします。そして、空想をすることで今自分にないものを埋め合わせようとするのです。

私たちは、頭の中では現実と空想を区別しているつもりですが、心の中には現実と空想の区別はなくどちらも同じように作用しているのです。

あなたにパートナーがいなくてさびしいときには、そのさびしさを埋め合わせるように、パートナーができたらあんなこともしたい、こんなこともしたいといろいろ空想するというのはよくあることだと思うのですが、それはあなた一人の世界の物語なのです。

空想の世界では、「私のパートナーはきっとこんな人に違いない」と理想を思い描きます。すごく頼れて、やさしいことを言ってくれて・・・とあなたに欠けているもののすべてを満たしてくれるパートナーを空想してしまいます。

そして、実際に出会いがあったとき、特に恋愛の初期段階では、目の前にいる人がどういう人なのかということを吟味するよりも、「きっと私の理想の人に違いない」とあなたの理想をパートナーにあてはめてしまうのです。

あなたの理想とパートナーの間には、当然ギャップがありますから、その差の分だけ「なんでこうじゃないのよ!」とケンカになってしまうことも多いのです。

特に中学生や高校生の恋愛では、みんなが恋愛や対人関係に十分慣れていないので、自分の理想どおりでないパートナーについつい苛立ってしまい、ギャップをどうやって埋めようか?ということを考えることがなかなか難しいのです。

それよりも、自分の思い通りにいかないことや自分の理想どおりでない現実に直面してしまうとそこで関係が終わってしまうということがとてもよくあるのです。

中学や高校など、恋愛に慣れていないころの自分の別れ方を思い出してみてください。

「なぜ、あんなことぐらいで大ゲンカになっちゃったんだろう?」とか「なぜあんな些細なことが許せなかったのだろう?」ということが多くないでしょうか?

ファンタジーやあなたの空想力は悪いことではないのですが、あまりにもそれにこだわりすぎてしまうと、パートナーをどう理解してあげよう?と考えたり、パートナーと自分の違いを楽しもうとなるのではなく、パートナーがあなたの想像と違うことに傷ついてしまい、恋愛が独りよがりのような状態になってしまうのです。

また、人によってはあまりにもこういうがっかりする経験が多すぎたために、ネガティブなファンタジーを持っている人もとても多いのです。

「どうせ男なんて」とか「恋愛が楽しいのは初めのうちだけ・・・」というのも、あなたがファンタジーを持って大きく傷ついたことがあることを表しています。

これまで期待してがっかりしてきたので、今は傷つかないようにするために、何の期待も持たないようにしているのです。

自立タイプの人には、こういう考え方を持っている人が多いのですが、それも大昔にファンタジーのパターンを抜け出せなかったことからできたひとつの形なのです。

とても長い間パートナーを持てなかったり、パートナーがいないことに何の問題も感じないというタイプの人は、自分が持っている理想のパートナーというファンタジーが、現実のパートナーシップを持つことで壊れてしまうことを怖れているということがとても多いのです。

あなたのファンタジーの中に登場してくるパートナーは、あなたを傷つけたり、がっかりさせたりすることはありません。

心の奥底でいつもあなたをなぐさめ、あなたを癒してくれる・・・ファンタジーのパートナーは、とてもあなたの役に立ってきたのです。

そのため、実際にパートナーをつくろうとするときに、一からコミュニケーションをしてあなたのことを知ってもらったり、パートナーのことを知ろうとする努力が面倒くさく感じてしまうのです。

あなたはあなたのファンタジーのパートナーにさびしさを満たしてもらっています。

例えそれが空想だとしても、心の中では現実と同じ効果があるため、ファンタジーのパートナーがあなたを満足させていると、実際にはパートナーがいなくても、あまり飢餓感を感じずにすむのです。

違う角度から見ていくと、ファンタジーが強いタイプの人は、現実に自分がパートナーを持てるとは信頼していない人が多いようです。

わかりやすいように説明をしましょう。

あなたがハワイのパンフレットを見ながらハワイのことを空想していると思ってください。あなたの空想上のハワイは、完璧な楽園で人々はみな笑いあっていて、すべての人がやさしく微笑んで、とてもすばらしい国だとします。

そして、その強い思いを持ったままハワイに行ったと思ってください。当然ながら、しかめっ面をしている人も歩いていきますし、ワイキキビーチではケンカをしているカップルもいるかもしれません。ホテルのフロントマンが無愛想だったりするかもしれません。

そうするとあなたはものすごくハワイに失望してしまわないでしょうか?もちろん現実のハワイにはすばらしいところがとてもたくさんあるはずなのですが、それを味わおうとするよりも、あなたの「空想どおりでなかった」ということばかりがあなたの心を支配してしまい、「がっかりしてしまったわ」と感じてしまうかもしれません。

大都会のゴミゴミとした生活とハワイを比べてみれば、ハワイがどれだけすばらしいのかは一目瞭然なのですが。あなたの空想した完璧なハワイと現実のハワイを比べることによって手に入るものは、失望だけだったりするのです。

「こうあるべきである」という空想は、あなたのパートナーシップを持つことを妨げる影響力を持っているのです。

しかし、空想を手放していけば、本当に満たされた関係を手に入れることができます。

孤独感や失望感を埋め合わせようとする願望から生まれてくるファンタジーは愛をも遠ざけてしまうのです。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

平 準司

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。