対等な関係性

こんにちは 平です。

失恋をしたときなどはだれもがダメージを受けるものですが、そのときの痛手がとりわけ大きくなりやすいのは、「依存の立場」で恋愛している人といえそうです。

「依存の立場」とは、「愛してもらう側の立場」といってもよいでしょうか。いわば、「自分は弱く、だめなので、愛してもらわねばならない」と考えている人のことです。

したがって、こう考えている人が愛してもらえなかったとしたら、究極的には「生きていけない」ということになります。

また、こうした人たちは、「自分は、人を愛してあげられるほどたくさんの愛をもっていない。だから、たえず愛を補給してもらわねばならない」と考えています。

そのため、日ごろから「パートナーをどう愛してあげようか」ということよりも、「パートナーに愛してもらうには、どうしたらいいか」という考え方をしがちです。

そのため、それを言い換えると、パートナーを愛する目的は、「自分が愛してもらうため」ということにもなりがちです。

すると、パートナーの愛が足りないとか、自分が欲するような愛し方をしてもらえなかったと思ったときに、「こんなに愛してあげたにもかかわらず、まったく愛してもらえないじゃないか!」などとカンシャクを起こしてしまうことになります。

だれかを愛するとき、いつも見返りを求めてしまうのですね。その見返りがないと、傷ついてしまうのです。

私の師匠の著作に、『傷つくならば、それは「愛」ではない』という本がありますが、それはつまり、そういうことなのです。

男女関係にはそれなりのプロセスがあります。出会っていきなり失恋ということはふつうはなくて、それに至るまでの間に、パートナーからあなたへ、なんらかのメッセージが発せられるものです。

「いまのうちに変わってほしい」、「その態度を続けると、きっとだめになりますよ」というようなメッセージです。これを見落としたり、対応を先延ばしにしたりしていると、それだけ傷は深まります。

パートナーはあなたになんとか変わってもらいたいとメッセージを送っているのですが、あなたは「私は悪くない」、もしくは「私には変わるような力はない。昔からこうだったの」と思っています。

結果的に、それは変化を拒んでいるということになり、あなたが拒めば拒むほど、相手はあなたにウンザリしていきます。

しかし、ここでも、彼がウンザリしている理由は「私にあるのではなく、彼の愛が弱まったからだ」と考えてしまう人は、どんどんガンコになり、彼が求めている状況を彼に与えてあげることができません。

当然、このカップルには、彼のほうから別れを告げるという結果が待っていることでしょう。ところが、ガンコになっているあなたは、「なんで別れなきゃいけないのよ?!」と、その状況まで受け入れられなくなっています。

彼の中では、あなたが「自分のことを理解してくれていない」という確信がいっそう強まり、ますますあなたと別れたくなるわけです。

「依存の立場」の人の恋愛は、このようなパターンでうまくいかなくなることが多く、そして、このパターンは繰り返されます。

恋愛において依存的だと、「こんな私でも、すべてを受け入れ、愛してくれる人はいないのか?」と思うわけですが、求めるものはまるで親子関係のような関係ですから、なかなか長続きはしません。

パートナーシップのあるべき姿について“イコール・パートナー”という言葉があるのですが、二人の間にはやはり対等さがないと、うまくいかないようですね。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。