なぜか張り合ってしまう心理〜自立の恋には競争がつきもの〜

競争の根っこにあるのは、女性の不十分感と男性のアイデンティティ喪失の恐れ

大切なパートナーなのに、つい張り合ってしまう。自立した者同士の恋愛は、お互いのやり方がぶつかりあう競争がつきものです。でも本当に競争しているのは相手ではなく、自分に対する不十分感や、アイデンティティ喪失の恐れなのです。勝ち負けをつけるのではなく、2人で一緒に幸せになる扉をあける方法をレクチャーします。

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こんにちは。
今日の心理学講座はカウンセリングサービス『高見綾』が担当します。

 

◆パートナーは大切な人だけど競争相手という矛盾

社会人になり自立して生きるようになると、みんなそれぞれが自分のやり方や考え方を持つようになります。そういう人同士がお付き合いを始めるとどうなるでしょうか。最初はラブラブであっても、少し時間が経ち落ち着いてくる頃には、お互いの高いプライドが邪魔して、ぶつかりあうようになっていきます。

例えば、同棲していた彼氏が仕事で営業成績が優秀だと表彰されたとします。彼は彼女に誇らしそうに語り、彼女も「え〜、すごいね」と答えます。それは本心だったけれど、彼女は悔しいような何ともいえない気持ちになっていました。

そこでつい「まぁ確かにすごいけどさ、でも、それって支店の中だけの話でしょ?」「仕事できるのはいいんだけどさ、家のこともやってほしいんだよね」と彼女は憎まれ口をたたいてしまったのです。

当然彼としてはおもしろくないわけですが、実は彼女は今、長く勤めていた会社をやめて、新しい仕事を探している最中だったのです。彼女なりに頑張っていたけれど、転職活動がうまくいかず、結果が出ないことが悔しくて、つい張り合ってしまったのでした。

こんなふうに、つい競争してしまったり、私だってすごいのにと暗に言いたくなったりしたことはありませんか? パートナーは本来、愛する人です。お互いがお互いの味方になって応援し合えればいいのですが、自立のステージの恋愛では、なぜか競争相手になってしまう矛盾を抱えます。

 

◆男性・女性それぞれの競争心理

競争心が芽生えると、お互いに張り合ったり、足を引っ張ったりしてしまうので、会話していても楽しくはないですよね。

女性はもともと、体のつくりからして男性にあるものがないので、不足感や無価値感を抱きやすいとされています。女性特有の毎月のバイオリズムもありますし、男性並みにバリバリ働くのはなかなか大変です。「女って損だな」と感じている人もいると思います。

自分は「足りない」からそれを補うために頑張らなくちゃ、だから「男には負けたくない」と思うようになります。じつは、女性の競争心の根っこにあるのは、自分自身に対する不十分感なのです。

一方で男性はというと、体のつくりは女性にないものを持っているので、「ある」のだから「仕事など、何かを成し遂げられない自分には価値がない」という発想に陥りやすくなります。

大好きな女性に対して何かをしてあげられる自分であることに価値を見出す傾向があるので、それができないとなると、ものすごく辛いのです。だからこそ、自分は役に立っていることや、仕事で成果を出していることをアピールします。男性の競争心の根っこにあるのは、アイデンティティを喪失する恐れなのです。

女性の不十分感と、男性のアイデンティティ喪失の恐れ。競争していたのはお互いではなく、それぞれ自分自身と戦っていた、と言えるのかもしれません。

 

◆お互いを許し合い、受け入れ合うことで次のステージが見えてくる

たとえ競争して勝ったとしても、相手は負けるので、悔しさや屈辱感を味わいます。一方で勝った側も一瞬だけ気分はよくなりますが、次に負けるかもしれない不安と隣り合わせです。競争をしている間は、どっちが勝っても負けても、2人の幸せからは遠ざかってしまいます。

そこで、競争を手放していくことができると、2人で一緒に幸せになるというステージに進んでいくことになります。そもそも男女は役割が違いますし、違うことが魅力でもあります。

苦手なことは、素直に負けを認めて、得意な方の人に助けてもらえばいいのです。また勝っていることは、素直に勝ちを認めて、手伝ってあげたりすることで、分かち合えばいいですよね。

女性は、男性が与えようとしてくれるものを、自分の痛みにハマらずに素直に受け取ることで道が開けます。男性は、たとえ上手に与えることができないときがあっても、その自分の高い意欲を認めてあげて、罪悪感を手放していくことがポイントになります。

お互いに、自分でできることはやるけど、できないことは助けてもらう、相手を頼る、お願いする、ということを意識していくと、次の扉が開いていきます。

(完)

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