プライドの心理学(1) ~「強がり」が意味するもの~

「強がり~ネガティブ・プライド~」がもたらすもの

一般的にプライドとは「誇り」という意味ですが、「強がり」という意味で用いられることもがありますね。今回は私達の毎日の中で問題を作りやすい「強がり」という意味でのプライド~ネガティブ・プライド~についてお話します。

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さて、今回からの心理学講座4回シリーズのテーマは「プライドの心理学」。

しばしば私達の日常で登場する「強がり」が作る問題と生きづらさについて解説していきます。

○2つのプライド~誇りと強がり~

プライドという言葉、訳しますと「誇り」となりますね。

「社員としてプライドを持って業務に取り組んでください。」
「長い間、なにより家族を大切にしてきたことが、私のプライドになっています。」
「地域に貢献し続けてきたというプライドがあります。」

このプライドは、まさに「誇り」という意味です。

この場合のプライドは、自分自身の意思、そして経験や実績からくる「自信」であり、実際に自分自身が行動してきたことに対して感じるもので、とても大切なものです。

一方、プライドという言葉はこのようにも使われます。

「私、プライドが高いのでしょうか。どうしても『辛い』『寂しい』とは口にしたくないんです。」
「あのときプライドが邪魔して、彼に素直に好きと言えなかったんです。」
「妻のことは大切に思っているんです。でも素直な気持ちを伝えるなんて男としてのプライドが許さない。」

このプライドは、「強がり」という意味になります。

この場合のプライドは、実際に行動していないことに対して使われることが多いですね。

そういう意味では「できないことをできます」「好きなものを嫌いだ」とウソをつくときにも、強がりという意味でのプライドが存在していることが多いものでしょう。

このような「強がり」という意味で用いられるプライドこそ「ネガティブ・プライド」と呼ぶことがあります。

 

○ネガティブ・プライドとは心の「防波堤」のようなもの

さて、この「ネガティブ・プライド」は、これは自分自身が何かしら心情的にこだわってしまうものがあり、素直な気持ちのままに行動できないときに登場するものです。

それはまるで、心の痛みから自分を守る「防波堤」と表現されるものです。

多くの人が、ミスや挫折、失恋など辛い経験をすれば、「もう二度とあんな思いはしたくない」と思いやすいものですね。

そのような経験で感じ、抱えた感情が、自分自身の内面に「痛み」として、癒やされることなく存在していると、もう二度度痛みを感じないようにと、自分自身の心を守るために「ネガティヴ・プライド」が必要になるのです。

それはまるで城郭を守るために張り巡らされた柵・壁のようなものとも例えることができるでしょう。

強固で、高く、幅も広い、どこから攻められても対応できるような壮大な柵・壁。

この中にいれば安全だと感じるのです。

外からの刺激を感じることもなく、自分の心を開く必要もない。もう二度と過去と同じような気持ちや痛みを感じたくないから必要としたものですから。

よって、このネガティヴプライドは、自分の中に一度築き上げられると、なかなか手放せないものになるわけですね。

手放せばまた、自分を感情的なリスクに晒すことになり、嫌な思いをする可能性が生まれ、さらに不安になるからです。

 

○ネガティヴ・プライドが強まると行動が制限される

一度築き上げられたネガティヴ・プライドは自分を辛い感情や痛みを感じないようにするためのもの。

ですから、このプライドが登場すると、どうしても自分自身が感情的にリスクを取ることを避けるようになり、その結果、行動が制限されていきます。

先に書いた事例

「私、プライドが高いのでしょうか。どうしても『辛い』『寂しい』とは口にしたくないんです。」

でならば

大切な彼に自分の本当の気持ちを言えば、強がったり、嘘をついたり、彼を責めるようなことを伝え、二人の関係を壊さずに済んだのかもしれません。

彼を困らせ、彼が私に拒絶されたと感じさせることもなかったのかもしれませんね。

しかし、辛い・寂しいとはどうしても言いたくない、それだけは嫌だと強がってしまったのなら、そこにある心情は理解できるとしても、実際に彼との関係をより良いものにする「行動」ができない状態になるわけです。

先に「強がり」とは、実際に行動していないことに対して使われると書きましたが、まさにそうですよね。

これは、自らより良い関係になる行動を制限している状態です。

だからこそ、ネガティブ・プライドが強まると、自分自身が辛いですし、苦しくなります。

そして意図せず、大切な人、仕事などを傷つけてしまったり、相手に自分を誤解させることにも繋がります。

また、本当に願っていることが自らの心の影響で実現できない状態になってしまうわけですから、いつしか夢や希望、幸せも、自ら諦めなければいけないと感じてしまうこともあるものです。

できればこのネガティヴ・プライドを手放し、実際に自分の思いを表現し、行動していきたいものですよね。

>>>『プライドの心理学(2) ~悪い態度とその意味~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。