私の中の男と女~男性性と女性性~

あなたの心の中にも男性と女性の部分がある、と聞いたら信じられますか?心理学独特の見方をご紹介します。

“投影”と並んで独特な心理学的な考え方・見方の一つに“男性性と女性性”というものがあります。
これは男でも女でも、心の中に男と女の部分を持つという意味で、パートナーシップ始め、対人関係に意外な影響を及ぼしている要素と見ることができるものです。

ちょっと皆さんの周りを見渡して見てください。
女性なんだけどとても活発で男性的な人が目に留まるかもしれません。
その彼女は“他の女性よりも男性性が強い”なんて表現します。
同じように男性でも、女性らしい感性や柔らかさを持ってるとしたら、“女性性が強い男性”なんて言います。

要は心の状態やバランスを示すものなのですが、これが恋愛やビジネス、親子関係など、人と関わる場面で問題を作りだしたり、逆に解決していくヒントになることが多いんです。

男性性の持つ要素といえば、一般的に“男らしい”と形容される部分で、例えば、力強さ、責任感、理論的思考、たくましさ、(男性的な)包容力、優しさ、与えること、忍耐強さ、リーダーシップなどが挙げられるでしょう。
一方、女性性の持つ要素といえば、柔らかさ、慈愛、(女性的な)優しさ、包容力、受容、感情、美しさなどが挙げられるでしょう。
特に明確な区別があるわけではありませんから、「男らしさ」「女らしさ」の側面として捉えていただいても差し支えはないかな、と思います。

どちらも男性、女性問わずに心の中にあるものなのですが、成長していくプロセスや人との関わり、環境の中で成長させていくもので、人それぞれですし、それが個性となっていたりもします。

例えば、ずっと体育会系のクラブで活動していると、男性的な要素がとても強調されるようになります。そうするとたくましさや力強さは十分発達するのですが、その一方で、情緒的な成長は遅れてしまうこともあります。

そんな男性が女性と付き合ったらどうでしょう?
彼にとっては、人との付き合い=男同士の付き合いしか知らないために、どう彼女とコミュニケーションを取っていいのかが分からなくなります。
男性同士のコミュニケーションといえば、情報交換や“熱い”夢の話や下ネタなど知識や夢に関するものが多いんですね。

女性からすれば「男らしくて素敵なんだけど、何を考えてるのか分からないし、私の気持ちも全然汲み取ってくれない」と思ってしまうわけです。

彼からすれば、“気持ち”といえば、戦うために必要な気合いや粘り強さのことを指しますから、人の繊細な心の動きに関しては「視野の外」になってしまうんです。

そうするとお互いは一生懸命相手を愛そうとするんだけど、どうもすれ違いが生じてしまう結果となり、やがては「私達、うまく行かないね」とハートブレイクを迎えてしまうことも多いようです。

その逆に女性ばかりの家族で、かつ、女子高-女子大などと進学してくると、自分の周りには女性ばかりという環境になって、自然と女性性がすくすくと育つことが多くなります。

そうすると男性と付き合ったときに、まるで“宇宙人”と付き合うような感覚になるんですね。
「この人は人間?なんだか獣みたいで汚らわしいわ」なんて感じてしまうかもしれません。
また、そんな女性が会社などの男性社会に入っていくと、疎外感を強く感じてしまい、問題(悩み)になってしまうわけです。

また、女性性の強い男性が女性と付き合うと、感性やスキンシップなどの面ではお互いに満足感を得られます。
「私達って価値観が似てるよね(ハートマーク)」という会話が頻繁に交わされたりもします。
そうすると女性からすると案外「この人が理想の人なんだわ」と思うんですが、例えば、いざ決断のときが来たときに、妙に頼りなさを感じてしまったり、仕事や将来への不安を感じてしまう、という問題が生まれることもあります。また、案外マザコンだったりして、結婚前から嫁姑問題に悩む日々が出てくることだってあるかもしれません。

それから、男性性の強い女性と男性がお付き合いしたら、普段はまるで「男同士の付き合い」となり、「おぉ、酒でも飲みに行こうや」というノリになって楽しい反面、お互いの主張がぶつかり合い、どっちが主導権を握るかの骨肉の争いが展開されたりもします。

パートナーシップでは少なからず問題が生まれてくるものですが、それを“男性性と女性性の違いが影響している”と見ていくのも一つの見方です。

パートナーシップでバランスを取る心理

僕達の心は成長とともに先ほどの体育会系の男性のように心のバランスが偏って行きます。
それを補完するために相手を求めるの働きが僕達の心にはあるようです。
例えば、とても男らしい男性は、より女らしい女性を求めたりしますし、中性的な女性は同じく中性的な男性に惹かれたりします。
すべてのケースでこの事象が起こるわけではありませんから、自分とパートナーとの関係での一つの見方としてみてください。

また、この成長度合いによって選ぶ相手も変わってきます。
男性性の発達している女性は、同年代の男性には子どもっぽさを感じてしまい、大人の男性を欲するようになりますし、逆に女性性があまり発展していない男性は、同世代の女性には対等に話をする自信が無くて子どもっぽい女性を求めるようにもなっていきます。
同様に、男性性が極端に発展している超自立的な男性には、男性性が発展していない女性がセットで付いてくるようになります。そうすると彼女としては、強い依存心が出てきて共依存的な関係を作り出すこともあります。

それから男性性・女性性は常に状況によって変化しつづけていきます。
付き合い始めてから仕事などを通して彼が男性性を強めて行くと、それに呼応するように彼女の女性性が育つようになります。

ところがパートナーシップの問題が生じるポイントの一つのがこの「変化」の時点。
例えば、女性が男性性を強めて行くと、男性側は女性性が伸びるように心理的なバランスを取り始めます。
そのプロセスに素直に乗って行ける場合は問題ないのですが、ここで感情が抵抗すると相手を拒絶したり、攻撃するようになります。
この感情の抵抗は、変化することの恐れから生まれるもので、この抵抗が激しくなるとマンネリや別離へと行きついてしまうようにもなるわけです。

あるケースを紹介しましょう。
「妻が自立して自分で商売を始めようとした頃から夫婦ケンカが多くなり、妻の新しい仕事に対してあれこれと文句をつけるようになったんです。それで、やがては妻に対して不満ばかりが溜まるようになり、別の女性を求めるようになってしまった」というご主人からのご相談がありました。

ご主人からみれば、奥さんの男性性が自分の影響を受けて成長したのに、ご主人自身が自分の女性性を伸ばすことに抵抗してしまったことが一つの要因と考えられました。
その理由は様々なものがあって、男としてのプライドだったり、嫉妬や惨めさなどの感情を感じたくないことだったり、色々あったんですね。
でも、結果的にその対抗によって夫婦間のバランスが崩れてしまい、男性としてのご主人は、その補完作用として他の女性を求めるようになってしまったようです。
実際ご主人はとても女性らしい、ちょっと弱いところのある方と浮世を流していらっしゃいました。

だから、このご主人にとっては女性性の成長を受け入れることが大切で、その方向でのセラピーを提案しました。最初はとても抵抗があったのですが、やがては奥さんとの関係をより深い目で見られるようになり、今では奥さんの仕事のサポートもされているようです。

注:この事例ではお客様が“ご主人”だったためにこのような分析&セラピーを行いました。お客様が“奥様”の場合はまた違った対応になります。僕は「パートナーシップの問題は一方のみに責任があるわけではなく、お互いにその責任がある」という見方をします。

パートナーシップは自己成長のステージ

従って、パートナーシップは僕達の心を成長させる最高のステージとみることができます。
パートナーと向き合い、コミュニケーションしていくことで、男性も女性もその男性性と女性性を成長させていくことができるからです。
そして、お互いが足りないところを補い合うこともでき、また、成長するたびに大人の心へと変わって行きますから、お互いをより尊重することもできるようになるんですね。
その結果、いわゆる「二個一(二人で一人)」の関係、お互いがかけがえのない存在に成長させることが出来るようになっていきます。

男性性と女性性の伸ばし方

パートナーシップに向き合っていくのが一番の方法なのですが、「彼氏がいないアタシはどうしたらいいの?」という疑問も出ますね。
色々な方法がありますので、ご紹介しましょう。

・異性の友人を作る/話す
“友人”というのがポイントで、安全な距離感で話が出来るので、異性の考え方や見方なども一緒に学べます。
こうした直接的な関わりがやっぱり一番かもしれません。

僕も無料の電話カウンセリングなどで、異性のカウンセラーをご紹介することがあるのですが、この男性性と女性性を意識していることが多いですね。

・小説やエッセイを楽しむ
女性作家の小説は女心を、男性作家の小説は男心を描き出しています(一般的に)。
ですから、色々な小説を色々と楽しむことで成長させてあげることができます。
特に男性作家でもハードボイルド系は男性心理や男性性の成長に役立ちますし、女性作家の恋愛小説などは女性心理の理解に役立つと思います。

僕は女心を理解したい目的で、一時期色々な女性作家の小説を読み漁りました。
最初は退屈で眠ってしまうことが多かったのですが、徐々に慣れ親しんで、今ではどちらかというと女性作家の小説の方を好んで読んでいるかもしれません。

・映画を楽しむ
映画にも男性が主人公のもの、女性が主人公のものがありますが、一番いいのは「お勧め映画集」を友人の協力を得て作ってみることです。
男性の友人が感動するのは、やっぱり男性性の強い映画で、女性の友人が「好き」というのは、女性性に訴えかける映画が多いですから。

・絵画を楽しむ
感性に訴える、という点で女性性を成長させてくれます。
美術館に行くと、年を経て女性性を自然と育てた男性は年配の方か彼女に付き合っている男性が目に付きますね。

・スポーツを観る、楽しむ
女性でもスポーツを楽しんでいらっしゃる方は多いですが、特に男性性を成長させるには格闘技やラグビー、アメフトなどの激しい競技がお勧めです。
観るだけでもその情熱を受けることができますが、女性はなかなか抵抗があるじゃないかと思います。

一般的な趣味に意味付けしたようなものですが、それは僕達の日常には心を成長させるきっかけがたくさんあるってことかもしれません。
この成長させようって“意識付け”が大切ですね。

でも、何よりも大切なのは「楽しむ」こと。
無理やりやっても成長できませんから、慣れるまでのしんどさは別にして、できるだけ「楽しもう」という意識で頑張ってください。

パートナーシップで成長させる方法

パートナーシップでいざ向き合うといっても、なかなかきっかけが無い、という方のためにいくつかの方法をご紹介します。

・セックス
セックスは男性性・女性性をバランスよく成長させるためには一番お勧めな方法かもしれません。
意識的に自分を解放できるようなセックスをすることで、心を成長させていくことができます。
また、いつもと立場や順番を入れ替えてのセックスもお勧めです。
例えば、いつもリードするのが彼の役目だったとしたら、逆に自分がリードしてあげるのもいいでしょう。
セックスを通じてチャレンジすることは、恥ずかしさを乗り越えて色っぽさや大人の雰囲気をかもし出すのにとても良い方法です。
(それが即ち男性性、女性性をバランス良く伸ばすことを意味します。)

・座る位置を変える
例えば、いつも奥さんが座っている席にご主人が、ご主人の席に奥さんが座って話をしたり、食事をしたりします。
これはお互いの立場を理解するエクササイズにもなりますね。

・反対の役を演じる
この応用編としては、位置だけでなく、立場も変えて話をしてみるのもいいでしょう。
ご主人には奥様の役を、奥様はご主人の役をしてもらいます。
セラピーなどでも時々用いる方法ですが、色んな気付きが得られます。
ただし、「そんなこと俺は言わへんわ!」というケンカに発展することもありますので、始める前にお互いにきちんと約束を交わしておいたり、15分や30分程度で十分ですから、時間を区切ることもとても大切なことだと思います。

終わりに

男性性と女性性というのは、ほんと考え方の一つに過ぎないのですが、問題を乗り越える際には重要な要素であることがとても多いんです。
例えば、前回の僕の講座でお話した依存的な恋愛を乗り越える場合には、男性性の要素にあるリーダーシップや決断力がどうしても必要になってくるシーンもありますし、逆に自立的な方にとっては女性性の受け入れる要素が問題をクリアにしてくれるケースがたくさんあります。

もし、あなたが現在、もしくは将来、何らかの壁にぶつかったとき、自分の心の中のバランスを眺めて見られると良いでしょう。
そこから、あなたが今学ぶことが見つかるかもしれません。

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