一緒に生きていくことの壁

相談者名
なな
いつも読ませて頂き、参考にさせて頂いています。
ありがとうございます。
今お付き合いして7ヶ月ほどの彼がいます。
自分で起業し社長業をこなす超自立型だと思います。
(私も実は同じようなものかも)問題は「結婚」を考えたときに上手くやっていく自信が私に全くなくなってしまったことです。
彼は引っ張るタイプで、女性も仕事をする人が良いといいながら、「奥様」に完全サポートを頼みたいというのが理想なのです。
私は以前よりそんな型にはまるのを絶対にいやだと思ってきました(笑)。
反対に私の理想は、仕事も出来るけど「家庭」も大切に、サポートしあってくれる人です。
二人とも理想が高いのです。
喧嘩が多く何度か距離を置いていますが、ひとつ確かなことは、お互いがお互いを好きであることです。
それは疑っていません。
私にとっても彼は「理想」ですし、彼もよく私を「理想」だと言ってくれます。
最近よく彼からも結婚の話が出ます。
昔は彼の仕事のことでよく喧嘩したような気がしますが、最近は料理のことで喧嘩になる気がします。
もっと努力するべきだ、反対に自分がしている時は皿を出したり気をつかうのが当然だ・・(していないわけではないです!)みたいなワンマンぶりを発揮します・そんなときとてもつらいです。
最近私が料理などしないほうがいいのではと、彼に任せると「気を遣わないこと」に怒り出します。
私は家事もやりますが、それが一番得意なことではありません。
私は実は怖いのです。
なにが怖いかというと、自分を変えることなのかも知れません。
また一生懸命やって受け入れてもらえなかったときなのかも知れません。
それに一方的に彼からぶつけられると私も言いたくなります。
この間、意外に私にも譲れない「理想」があって(育児など手伝ってくれる)我慢していただけなのかも知れない・・とふと思いました。
家庭には彼はあまり入ってくれないだろうなと感じます。
仕事も大変です。
そう思うと寂しいです。
だけど自分の思いを押し付けてそれに私を合わせようとする彼に息がつまります。
そんな態度に反発してしまいますし、私は仕事も家庭もほしいのですが一緒にいて幸せになれるのだろうか。
お互い理想を求める人を間違っているのではと思います。
ただ・・・なんとか乗り越えられないだろうかとも。
壁が乗り越えられない感じです。。
アドヴァイスをください。
カウンセラー
大谷常緑
ななさん、初めまして。
ご相談を担当させていただく大谷です。
よろしくお願いします。

ご相談を拝見して、ななさんの複雑な思い、気持ちがとてもよく伝わってきまし
た。
彼のことが好きだけど、彼と結婚すると自分のやり方や自由が無くなるのではな
いか、こんな自分は彼に本当に受け容れられるのかという不安、彼の考え方やや
り方に対する不満など、ななさんの頭の中で、期待と不安が混沌とした状態にな
っているのですね。

さて、このななさんの辛い状況を作り出しているものは、ななさんの彼に対する
執着です。
執着とは、何か(この場合彼ですが)にしがみつき、握って離さない心の状態の
事を言います。

ちょっと想像してみてください。
ななさんの周りにはいつも沢山の男性がいて、みんな、ななさんに恋心を抱いて
いるとします。そして、その中には、ななさんも「いいかなぁ」と思う男性が沢
山いたとします。
ななさんは、誰を選んでも構わない状況だったとします。
このような周囲の状態で、ななさんは今の彼を選ぶかどうか、深刻に悩むでしょ
うか?
もちろん、彼を選ぶかもしれません。
でも、少なくとも彼にしがみつきながら深刻に悩むという状態ではなく、もっと
大所高所から冷静に考えて決断できるのではないかと思います。

執着は「これしかない」と思うことで自分の選択の自由を奪い、苦しい状況に追
い込むのです。

では、なぜ、ななさんは彼に執着をしているのでしょうか?
一つは、彼と既に7ヶ月間おつきあいされてきたつながりからくる気持ちもある
でしょう。
しかし、それより強く働いている気持ちは、「こんなに好きな人とはもう出会わ
ない」「彼のように私を好きだと言ってくれる人は現れない」という気持ちでは
ないでしょうか?
でも、それは真実ではありません。
何故ならば、彼と出逢ったということ自体が、そういう事があると証明している
からです。
私達は、人を好きになり、パートナーシップを築いていく過程で、真実のパート
ナーは世界中にこの人しかいない、というように捉えがちになります。しかし、
真実のパートナーは世界中にたくさんいて、そのうちの何人かとは必ず出逢うの
です。

さて、ではどうしてななさんは、「こんなに好きな人とはもう出会わない」「彼
のように私を好きだと言ってくれる人は現れない」と思うのでしょうか?
そう思う気持ちの下に隠れているのは、ななさんの何らかの自己嫌悪です。
ななさんの心の中には、「私が気に入って、私を好きになってくれるような人は
いないような(問題がある)自分」という自己嫌悪が潜んでいるのです。
それは、ななさんの顕在意識(頭で考えて分かる意識)の中にあるかもしれませ
んし潜在意識(頭で考えても今はわからない、無意識の領域の一つ)の中にある
かも知れません。
しかし、この自己嫌悪も真実ではありません。
なぜならば、彼がななさんの事を「理想」と言ってくれている事が何よりの証明
になるのではないでしょうか?
自己嫌悪は、長年の感覚ですからすぐに無くなるものではありませんが、「自己
嫌悪を手放す」と決意してそのプロセスを進めていくと、徐々にですが癒されて
いきます。
そうすると、彼への執着がだんだん薄れてきて、彼との関係を冷静な視点から見
ることができるようになります。
私は本当に彼と一緒にやっていきたいのだろうか?
私は彼とは相性があっているのだろうか?
ななさんが望んでいることや、彼の性格やを勘案して、もう一度彼を選択し直す
のか、或いはそれ以外の選択をするのかを考えてみてください。
なお、自己嫌悪を手放す方法、自己価値を認める(受け取る)方法は、このHP
にも沢山の記事がありますので、それをご覧頂き、エクササイズなどを通して自
己嫌悪の手放しにチャレンジされてみてはいかが可と思います(例えば、「すぐ
に役立つ心理学講座」の”Lecture.234 自信をつける為に自分の価値を見つけよ
う~自信は人生のすてきなツール~”)

もう一つのアドバイスは、彼とよく話し合ってみることです。
ななさんが感じている、束縛される怖れや自由を失う怖れについて、正直な気持
ちを彼に伝えてみて、彼がどのように考えているのか、ななさんの事にどれぐら
い理解を示してくれるのかを確認してみることです。
ななさんの心の中で脹らんでいる怖れは、ななさんが描いている怖れであり、必
ずしもその通りになるとは限りません。

確かに、育った環境も違えば、経験してきた事柄も違い、考え方ややり方も当然
違うのですから、どんなカップルでも二人の個性と個性がぶつかりあうものです。
しかし、このギャップを埋めるのは、愛をベースにしたお互いの思い遣りに他な
らないと私は思います。
多くの誤解が解けることを願っています。

回答がお役に立てれば幸甚です。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。