とても客観的な自分

相談者名
とても客観的で冷静なもう一人の自分にコントロールされているような気がします。
会社ではクリエイティブな仕事をしていますが、社長や上司に褒められても「そこまでじゃない」と思ったり、自分が手掛けたものが評価されても「そんなにすごい物ではない」と冷静な自分がいます。自分ではもっといいものを作らなければ!という思いが強いです。冷静な自分が“自信がないけど・・・”と出したものが褒められるので、いつもなんだか素直に喜べません。

またそのもう一人の自分は、自分について「バカみたい、くだらない」と思っています。幽体離脱した人が上から見下ろしているみたいに、自分がいるその場の様子が想像できて、それを客観的に見て「バカみたい(だからやりたくない)」と思うようです。なので、みんながはしゃぐような飲み会とか記念日のイベント事は、その場にいる自分がバカみたいに感じるので参加しないことが多いです。参加してもどこか冷めているというか。結婚していますが、セックスする自分もバカみたいに見えてしまい、ようやく年に何回か・・。これも上から見下ろしているみたいにその場の様子がみえていて、ただの苦痛です。

大騒ぎしてみたい!なんて思いはないのですが、客観的で冷静な自分からの監視を逃れたいです。

カウンセラー
大谷常緑
Yさんこんにちは。
初めまして。ご相談を担当させて頂く大谷です。
よろしくお願いします。

Yさんの中には、2人の人間が存在しています。
1人はYさんが”客観的な自分”と呼ばれている冷静な私です。
こちらは、”大人””親””社会”といったシンボルで表されるもので、Yさんが辛い
目に遭わないようにしようとYさんを守っています。
もう1人は、客観的な自分により強く抑圧されていて身動きができないでいるY
さんの本質的な部分です。こちらは”子供””自由””遊び”といったシンボルで表さ
れるもので、Yさんが楽しむことや人生を豊かに過ごしたいと思っている部分で
す。
Yさん自身は、抑圧が強すぎて後者の存在を十分に感じてはおられないようなの
ですが、今、こちらの方が「もう限界だよ~。耐えられないよ~」と騒ぎ始めて
いるようです。

Yさんは、子供のシンボルで表される部分を出すと自分が傷つくといつの間にか
(おそらくは子供の頃)思われたようで、そのための客観的な自分をご自身で作
り出されたのだと思います。
Yさんは完璧主義をお持ちなのですが、完璧主義は”不十分な私”を打ち消そうと
して取る行動です。この子供の部分をYさんが怖れておられ、これを強く否定す
る、すなわち本来の自分を否定しておられるのです。そして、Yさんの完璧主義
は、あらゆる面で”人間”自体を見下し、あわよくば神様のような存在になりたい
というところまでエスカレートしているように思います。

これは、例えば本当は車が好きなのだけれども交通事故があるから車を運転しな
いといった状況で、Yさんが本来持つべき人生を楽しむといった目的を犠牲にし
て、ちょっとでも傷つかないようにを優先されている事にほかなりません。
これでは、永久に監獄にいれられた囚人のように、生きる甲斐もなく、殺伐とし
た人生になってしまいますね。

先ずは、このような背景をご理解頂いた上で、この呪縛からご自身を解放する方
法をお伝えします。
先ず、1番大切なことは、「自分は変わるぞ」と決意することです。それを選択
する事です。”客観的な私”は、Yさんが変わられると自分自身が消えて無くなっ
てしまうので、大いに抵抗します。「そんなことやっても無駄」とか「傷つくよ」
とか「今まで頑張ってきたのは何のため?」などと様々な心の声を発して、Yさ
んを思いとどめようとします。時には、人からそのような事を話されてそれに反
応させようとしたります。でも、これに耳を貸さないでください。「私は変わる
ぞ」という決意はそのためのものです。
次に、いくつかの具体的方法をお伝えします。
1.客観的な自分との話し合いをしてみる
客観的な自分にコントロールされる自分を望んでいない自分(子供のシンボルの
自分)と、客観的な自分で声に出して話し合いをしてみます。例えば
(子)「私はあなたのコントロールから逃れたいと思っている。
どうしてあなたは私をそんなにコントロールするの?」
(客)「だってそうしないと、あなたが傷つくから」
(子)「傷つくって、どうして傷つくの?」
といった感じです。話を詰めていくと自分が本当にどうしたいかとか、”客観的
な自分”の自己矛盾がでてきたりします。
そして、うまくいけば腑に落ちる感じで”客観的な自分”の力が減少していきます。

2.自分のいいところを見る癖をつける
Yさんは、自分のできていない部分ばかりを見て、正当な自己評価をされていま
せん。
自分を正当に評価する事により、自己否定が改善されていきます。
その方法ですが、1日を通して自分が行ったことで褒めるネタを見つけてくださ
い。
こんな些細なことでいいのかと思われる事で結構です。
例えば、「ずっと手が付けられていなかった○○に手を付けた」というような事
柄で結構です。Yさんは完璧主義をお持ちですからハードルが高くなる事が予想
されますので、「こんな事でいいの?」という内容で結構です。
そしてそれを、毎日の終わりに声に出して自分を褒めてください。
例えば、「ずっと手が付けられていなかった○○に手を付けた。私って偉いね!」
といった感じです。
これを毎日続けていただくと、自己価値が上昇し、正当な評価ができるようにな
っていきます。

3.”客観的な自分”を選択しない
日常生活の中で、”客観的な自分”が現れて何か指示をし始めたときに、片方の肩
に”客観的な自分”を、もう片方の肩に”自由”のシンボル(例えば、天使とか、子
供の頃の自分など)を乗せるイメージを作ります。
そして、”客観的な自分”を手で払いのけながら、
「私は”客観的な私は要りません。私は”自由”を選択します」
と宣言してください。

以上、いくつか方法をお伝えしましたが、
これ以外にも様々な方法があります。
お一人で進まれるよりもカウンセラーとお話になって、一緒に進まれる方が状況
に即したアドバイスができるかと思います。

回答がお役に立てれば幸甚です。
ありがとうございました。

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。