お互いを尊重できないパートナーシップからの抜け道

「私がこの現実を作り出している」と主体的に考える姿勢はとても大事な視点です

既発の記事『パートナーとうまくコミュニケーションをとって、二人のやり方を作るには?』について、登山をしている方からご相談をいただきました。自分は危険だと思っているのに、そうは思っていないパートナー。彼の判断に合わせた結果、過去には危険な目に遭ったこともあるそうです。どうしたらいいのでしょうか?

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◎リクエストを頂きました◎
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2017年10月16日付配信『パートナーとうまくコミュニケーションをとって、二人のやり方を作るには?』を読み、質問があります。
私は本格的な登山をします。パートナーの男性は、危険認知力が低く、途中をショートカットし、いきなり高度なルートへ出かけようします。周囲の大ベテランたちが「まだ無理だ」と言っても、です。
私は彼を尊重していますが、彼に合わせると私の命まで危険になります。
これまでの経験則では、「危険だ」と指摘すると、男性側は怒り、パートナー解消になります。
でも、指摘せずに同意し、一緒に山に行って双方死ぬ目に合うのは嫌です。
実際、私が「これは危ないのでは?」と思ったケースで、凍傷になったことがありました。
男性の方が体力面で自信があるため、「俺の方が優れている」と思い、判断力が低く、周囲の言うことを聞かない、ということが多いように感じます。
こういう場合、お互いの尊重のためには、別れるしかないのでしょうか?
(一部、編集させていただいております)
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リクエストありがとうございます。
今回、担当させていただく安田未稀です。どうぞ、よろしくお願いします。

※ご質問をいただいた元記事はこちらです。
パートナーとうまくコミュニケーションをとって、二人のやり方を作るには?

まず、ご相談いただいた「パートナー」は、プライベートでも登山でもパートナー、と仮定させていただきます。
なお、登山という特別な状況下における高度な判断や意思決定のプロセスについては、専門家に委ねるとして、違う観点でご相談を採り上げさせていただきたいと思います。

ご相談者(文面から女性と仮定します)の方は、「私は彼を尊重しています」とのこと。
ですが、「彼は危険認知力が低く、彼の判断に合わせると命が危険」だから、従うのは嫌。
実際、過去には、危険だと思っていたのに、相手の判断に合わせたら、凍傷になったとのことですね。

これは、心理的に見ると、本当は尊重も信頼もできない相手の判断に、命がけで合わせてしまった、と言えないでしょうか?(注:危険時の判断基準について是非を論じるものではなく、あくまで心理的な観点からの例えです)

相手の判断力が上がる等変わってくれればいいのですが、それでは相手任せになってしまいます。ですので、まず「自分を主体にして考えること」が大事なポイントになります。
「アカウンタビリティ」と言いますが、「私がこの現実を作り出している」と主体的に考える姿勢で、
カウンセリングではとても大事な視点です。

なぜ自分の命を危険にさらすようなタイプの男性に合わせてしまうのか?
なぜこのようなタイプの男性とパートナーシップを組むのか?
を考えてみるということです。

今回は登山という特殊な事例ですが、もう少し一般的なケースでも同様に考えてみることができます。例えば、浮気、借金、暴力など問題行動のある男性ばかりと付き合ってしまう、というケースがあります。確かにそのような行動を起こす側に、取り組むべき大きなテーマがあります。
ですが、パートナーである自分も含めてこの現実を作り出し、なぜよしとしているのか?を考えたときに、次のような思いが隠れている場合があります。

(例)
・自分は相手の犠牲になってもいい、何をされてもいいような存在だ、
・相手に合わせることで、私自身の存在意義を感じられる
・相手から嫌われたくない・見捨てられたくない

元記事にある、「本当に互いを尊重しあえるパートナーシップ」というのは、本来、いずれか、あるいは両方を危険にさらしたり、辛い体験を強いる関係性ではないと思います。

現実的な対策として、物理的な距離をとる、別れる、相手にNOを伝えて従わない、という選択があり、ただちにそれをすべきケースもあります。しかし、自分がこのタイプの相手をよしとしてしまっている根本的な原因に手を打たなければ、また同じようなタイプを選ぶ可能性があります。
ご自身にフォーカスして、取り組んでいかれることをおすすめします。

(完)

この記事を書いたカウンセラー