育ての心理学~叱る育て方と褒める育て方~

叱って育る、褒めて育てる、2つのの育て方の、長所と短所をご紹介します。

仕事や、子育て、パートナーを育てるのに役立ててみてください。

上司や、先輩といった、リーダシップの立場になると、
部下や、後輩などを、育てるというお仕事がでてくると思います。

それは、上司や、先輩といった立場的なものから、
“育てる”ということをする場合もあると思いますし、
部下や、後輩のことを思っての、親心的なことから、“育てる”ということを
する場合もあると思います。

どちらにしても、人を育てるということは、大変な労力がいることだと思いま
す。ご苦労様です。

上司や、先輩といった立場だけでなく、子供をお持ちの親御さんも、
子供を“育てる”というお仕事をお持ちになりますね。
すごくエネルギーを使うことだと思います。ご苦労様です。

リーダシップの立場もしくは、親の立場になると、
“育てる”という作業がでてくるわけですから、
一生のうちに誰かを育てるプロセスを経験する方は、多いと思います。

今日は、育てるということをテーマに心理学講座を行いたいと思います。

人を育てる立場になると、“叱って育てる”“褒めて育てる”という言葉を
聞くことがあると思います。
今回は、この2つの育て方を心理的な見方で、見ていきたいと思います。

●叱って育てる

叱って育てるやり方は、心理的にみると、恐れという感情を使った育て方とい
う見方ができます。

私たちは、怒られることは嫌ですので、怒られない為にきっちりしようとします。

きっちりすることの動機が、怒られることの恐れだったりすると、恐れが動機
で行動を正そうとすることになります。

恐れが動機で、行動を正そうとした場合、行動に緊張感が伴いますので、
瞬発力があるんですね。

しかし、緊張状態は、そう長く続かないので、逆に持久力が続かないのです。

例えば、大事な書類に不備があり、社長から「明日までに、この書類をしあげ
なげれば君はクビだ!」と言われれば、クビがかかっていますから、徹夜をし
てでも仕上げようと思いますよね。

想像してみてもらいたいんですが、その時の緊張感、集中力、瞬発力って凄い
と思いません?
そして、なんとか書類を仕上げることができたとします。ホッとできますよね。

でも、ホッとしてしまうと、あの時の緊張感、集中力、瞬発力って、どっかに
吹っ飛んでいく気がしませんか?
そうなんです、瞬発力はあるんですが、持久力は続かないんです。

まるで、恐い先生に睨まれてる時は、怒られないように、まじめに勉強するん
ですが、先生がいない、自習の時は、その開放感から、隣の友達とお喋りをして、
自習どころでは、無くなってしまう感じのように、緊張感は解きはなたれてし
まうのです。

叱って育る方やり方は、言った事の効果に関して、即効性がありますが、
持続効果が望みにくくなるのが特徴です。

●褒めて育てる

褒めて育てるやり方は、恐れを使うのではなく、その人の価値を見つけてあげ
る育て方です。

価値を見つけてもらえる、認められる、期待されることで、認めてくれる喜び
で頑張る力がわいたり、期待に答えようと頑張ったりします。

こちらのやり方は、恐れを使っていないので、お尻に火がつくことはなく、
瞬発力はありません。

瞬発力がありませんので、すぐに行動を正そうという行為に移りにくいという
ことは、ありますが、その代わり、こんどは持久力があります。

緊張状態というものが、付きまとわないので、瞬発力がなく、
ゆっくりとした成長の仕方ですが、恐れに追いかけられて、なにかをしようと
するのではなく、誰かに教えてもらったことや(教育)、自らの経験を通して、
学び、そして、それをすることを選択して成長していくので、持続力(継続力)
がああります。

その為、一度行動を正そうとしたら、その行動は継続していくことが多いです。

先ほどの例えを使うと、書類の不備があった時に、社長に
「今回は種類のミスがあったけど、頑張り屋の君のことだから、このような
ミスは無くしていけると信じてるよ。頑張ってくれたまえ」
と言われたとします。

そうすると、叱られた時のような、緊張感、集中力、瞬発力は、無いかもしれ
ませんが、期待に答えようと、その人なりのペースで頑張ると思いませんか?

恐れから追われていることはないので、社長の期待に答えようと自らが選択し
た時、その頑張る力は継続しやすくなります。

●ピグマリオン効果●

アメリカの心理学者ローゼンタールらがある実験をしました。

まず、小学生に普通の知能テストをさせ、その結果を担任の教師に、これから
学力が伸びる可能性のある子の名前を教えました。
しかし、そこで教えられた数人の生徒は知能テストの成績に関係なく、ランダム
に選ばれた子でした。1年ほどした後で、再び知能テストをしたところ、
名前をあげられた子は、そうでない子に比べて成績が上がっていました。

このように、期待することによって、相手もその期待にこたえるようになる、
という現象をピグマリオン効果とよんでいます。
このような効果が起こる理由として、ローゼンタールは、人は常に相手の期待
に対し最も敏感に反応するから、と説明しています。

この実験は後に、その実験内容に不備があるという指摘がなされたため、
この実験結果をそのまま信じることはできませんが・・・と一般的に言われて
います。

しかし、皆さんの経験上、人は期待されると、その期待に答えようとする感覚
は、なんとなくお分かりになると思います。

人は、認められる、褒められる、期待される、と嬉しくなりますね。
逆に、否定される、怒られる、期待されない、というのは嫌気がさします。
これだけを見ても、モチベーションの出方の違いはなんとなくわかると思いま
す。

(心理学入門講座様 文献参照)

●相手の成長を信頼する●

怒らず、褒めるやり方は、瞬発力がないので、育てる側としては効果がでるま
で、本当に子供や、部下や、後輩が、成長するか心配になりやすいと思います。
結果が見えてこないので、不安という漠然とした恐れがでてきやすくなります。

その不安から、相手が成長することが信じられず、
ついつい、瞬発力がある、恐れを使ったやり方を選んじゃうこともあると思い
ます。こちらのほうが、結果をコントロールしやすい感じがするからなんです
ね。

相手が成長するのを待つことは、忍耐がいりますね。

その忍耐を持つには、相手への信頼がいります。
相手を信頼するというのは、勇気がいることだと思います。

褒めて、育てる場合は、相手がその期待に答えてくれる人かどうかの、
問題ばかりでなく、育てる側が相手を信頼する勇気を持つということも
大切になってくると思います。

そうでないと、褒めて育てるというやり方を使う場合は、
信頼ができないと、相手を待つことが難しくなってきますからね。
褒めて育てる場合は、相手の成長を信頼してみることに、チャレンジしてみて
くださいね。

ちなみに、僕は褒められて、育つタイプです。
僕の奥さん並びに関係者さん達、そこんとこ、よろしくです。(^^)(笑)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。