理想の自分と今の自分~完璧主義が作るルール~

そもそも理想の自分を作ってしまう理由はなんでしょうか?その一つは「完璧主義」が作るもので、「こうしなければ認められない」とか「こうするのが当たり前」という思考が自分にダメ出しをします。

しかし、思考がどれだけ言っても、心がNGであれば、現実は動かないもの。それくらい心のパワーは大きいんです。だから、ただ心の状態を受け入れ、許し、認めてあげる方がずっと早く物事は進むのです。

そもそも理想の自分を作ってしまう背景には何があるのでしょうか?

そういう自分でなければ愛されない、認められない、という怖れに基づくことがまずは考えられます。(完璧主義)

「ちゃんとしてないと嫌われる、捨てられる、愛されない。だから、しっかりしなければ・・・」と「ちゃんとした自分」という理想の自分を作り上げるんですね。
これは思春期くらいから生まれてくる感覚で、人に対する依存心がベースにあります。
もちろん、これは誰にでもある感情ですよね。

私たちは「愛されたい」と思うし、「認められる」「必要とされる」ということは生きていく上での糧ですからあって当然です。
しかし、これが強くなってしまうと悪循環になって、どんどん自分を責めますし、私は不十分だ、という「思い込み」が出来てしまいます。

常に理想の自分が横にいて自分にダメ出ししてくるような感じですね。

これってよくあること、と思うかもしれませんが、自己攻撃って免疫を下げるようで病気にもなりやすいんです。
だから、自分を許す、認める、ということは意外かもしれませんが、あなたの体のためにも大切なことなんです。

さて、こうした完璧主義が心を支配していくと、心とのつながりが切れ、思考的に偏ることが増えていきます。情報やルールがたくさんある現代社会では多いですよね。

「こうすべき、ああすべき」というルールがたくさんあるようで、そうすると、意識を外に向けすぎてしまい、自分の心とのつながりが切れてしまいます。

そうすると、心は「疲れたー、休もうよ」と言ってるのに、意識(頭、思考)がそれを無視して「まだまだ頑張る」と動いてしまうんです。

前回ご紹介した事例の方も皆さんそうですが、分かりやすいのは失恋したDさんですね。
(再掲)「彼と別れてもう3か月経つんです。年も年ですし、早く次の恋に向かわなきゃいけないのに、引きずってしまって。頑張ってコンパにも行ったりするんですが、気に入ってもらっても、彼と比較してしまってどうしても心が動かないんです。」

心はまだ彼のことを好きでいて、忘れられないと訴えています。
でも、思考は「年齢」や「3か月」という条件から「さっさと次に行くべき」という結論を出しています。
心と思考が思い切り分離してしまっているんです。でも、心の方がはるかにパワフルなので、状況は思い通りにいきません。それでまた自己嫌悪してしまう、という悪循環にはまります。

カウンセリングでは心の声に従いましょう、ということを伝えます。
焦りも含めて、今、心が感じていることを素直に受け入れましょう、と。

こういうときって、思考に意識が集中していますから、地に足のつかない、ふわふわした状態になっていると思います。
そうするととても不安や恐れが強くなり、焦りの気持ちが出てくるようになります。そのため、眠れなくなったり、他のことが手につかなくなりやすくなるんですね。

だから、意識をスーッと下に降ろしてあげることが大切で、そのために深呼吸は効果的です。
たくさん息を吐くことに集中すると、たくさん吸えるようになります。焦りが強いときは特に吐く方に意識を向けるといいと思います。

その上で、その自分の心の状態をただ受け入れていきましょう。

思考はNGと言っていても、あなたの心が彼をまだ手放せないのであれば、それだけの理由や目的がある、ということです。

例えば、あなたの思考が言っていること、Dの例では「次の恋に向かわなきゃいけない」という言葉をひっくり返して自分に言ってみます。
「まだ、次の恋には向かわなくていいよ」って。
そうすると、心がすーっと楽になったりします。そこで「そんなんじゃダメじゃないの!」と思わないでくださいね。

すーっと楽になった、ということは、心はその声を聞いて欲しいってことです。だから、葛藤が出てくるかもしれませんが、その声に素直に従いましょう。
その方が結果的に早く進むんですね。

さて、次回は理想の自分を作ってしまうポジティブな理由について紹介しましょう。

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