よりよいリーダーとなるために必要なこと(6)~やる気や根性ではなく「行動」をみる~

突然ですが、あなたは後輩を育てるのは得意でしょうか?
上手に後輩のやる気を引き出し、また後輩が自分自身で考え自発的に動けるように意欲を持たせたり、自信をつけたりするサポートは得意でしょうか?

『よりよいリーダーとなるために必要なこと』と題してお届けしている本シリーズは、前回までは「経営学の父」と呼ばれ、著書『マネジメント』で有名なドラッカーの教えから、”リーダーシップ”について5回に渡り考察してきました。

そこではリーダーとして心構えであったり、概念であったり、大切な要素であったり、というような、素質や姿勢に焦点をあてておりましたが、今回からは”実践編”と言いますか、実際に「育てる現場」で起こる問題に対しての対処法として『育てる技術を磨く』ということを軸にお届けしていきたいと思います。

●出来る人=出来るリーダーではない

トップアスリートやメダリストが必ずしも有能なコーチになれる訳ではないように、
最高峰の学歴を持つ人が必ずしもよい家庭教師になれるとは限らないように、
「仕事のできる人=有能なリーダー」とは限りません。

しかしこと仕事に関しては、その職場で優れた業績をあげた人が、その組織のリーダーに抜擢されることが多いようです。
例えば営業や販売であれば、売上の上位者がチームのリーダーになったりその店舗やエリアのマネージャーになったり、事務等のデスクワークであれば作業が正確であったり早い人が新人指導を任されたり。

しかし、「自分の仕事をこなすスキル」と「人を育てるスキル」は全く別物です。
店舗のトップ販売員が店長になった途端に力が発揮できずに、自分の売上が減るばかりか、店舗としても売上が伸び悩むというのは、よくある話です。

それはただ1点、【教え方を知らない】ということにつきます。

それもそのはず、私達は普段「教える技術」を学ぶ機会が圧倒的に少ないのです。
特に、自分やり方を持っていて、なんなくそれをこなせてしまう人や、もともと理解力が高かったり、その仕事への適正が高い人は「どうして他の人がそこで躓くのか?」を理解することが難しいようです。

営業先で断られても「今回のこのプランが断られただけ」と前向きに捉え、次回また同じ相手にアプローチ出来る人には、もしかしたら営業先で断られただけで萎縮してしまうタイプの人が理解できないかもしれませんし、
仕事のタスクに関して、自分で優先順位を付けれる人は、1度にいくつかの仕事を指示しただけで混乱してしまう人に何が起きているのか?が分からないかもしれません。
また自分から「知ろう学ぼう」と意欲をもって業務に関する知識を増やしてきた人は、マニュアル通りにしか動けない人や「言われたことしかやらない」という人がやる気のないようにしか見えないかもしれません。

特に日本は「察する」という文化がありますから、「0から100まで言わなくても、理解しようと努めることが大切」「仕事は手取り足取りではなく、先輩の背中をみて、盗んで覚えるもの」というような風潮が残っています。
ある意味、職人的というか、修行的という感じですね。
またまったく逆に、「0から100まで」懇切丁寧に書かれたマニュアルがあり、それを「自身で読み解くこと」が求められます。
この2つは言い換えれば「分からないことは自分で調べる」「やる気があれば何でもできる」という暗黙のルールがなのかもしれません。
だからこそ多くの指導する側はこう思っているのです。

「分からなかったら、相手から聞いてくるだろう」

と。

しかし多くの場合、仕事をなかなか覚えなかったり、同じミスやトラブルが絶えないと「育たない部下」のレッテルを貼られてしまう側からすれば、「そもそも自分が何が分からないのか分からない」という状態に陥っていますので、その本人から先輩や上司であるリーダーに聞くことすらできないのです。

こうして育てる側と育ててもらう側がどんどんすれ違っていき、育てる側は「どうして自分はこんなにも部下に恵まれないんだろう。。。」と思い、
育ててもらう側は「あの上司は何も教えてくれない」と腹を立てたり、「やってもやってもダメだしばかりされる」と自信を失い、より主体性をもって仕事に取り組むことからは遠ざかってしまうのです。
(そうして急に辞めてしまったり、言われたことしかできない部下が出来上がります)

●やる気や根性ではなく「行動」をみる

私達は望んだ結果が出ない時に何が悪かったのか?と自身の行動や考え方を振り返ることがあります。
それはビジネスでも同じで、目標の数値だったり、生産性や仕事の質に関して成果が上がらないと「何が足りなかったのか?」「どこに問題点があったのか?」を振り返りますね。
しかし、最終的に何故か「もっと意欲があれば出来るはず!」「もっと頑張らなくてはダメだ!」「もっと情熱を持て!」とやる気や根性論からゲキが飛んだり、誰が悪かったと誰かが責任を負わされたりしてしまうことが多いようです。

しかし、「結果」は「1つ1つの”行動”の積み重ね」でしかありません。

陸上の短距離選手が気合を入れて走りこみをすればタイムが上がるわけでも、フィギュアスケーターがやる気があればジャンプが飛べるわけでもないでしょう。
そこでは足の踏み込みや手の振りや筋肉の使い方など、細かなフォームの修正や、それを実現できる体づくりなど、1つ1つの「行動」の積み重ねによって生み出されるものです。

それはビジネスの世界も同じで、チームとしての成果(望んだ結果)は、その組織のメンバー1人1人の【行動の集積】でしかありません。

思ったような結果が得られない場合には、その結果に至るまでの「行動」が”成果に繋がりやすい行動ではない”というだけなのです。

もし部下が間違った行動をしているのであれば、それを「より良い結果につながるように修正する」だけでいいですし、そもそも成果につながる行動をとっていないのであれば、その「成果につながる行動を具体的に教え、実践できるようにする」だけでいいのです。

そのために必要なのが『行動をみる』ということ。

・その人がその行動をとっているのはなぜか?
(これは成果を上げている人の「行動」も、成果がでない人の「行動」も両方に必要です)

・成果につながる行動をさせるにはどうすればいいか?

この2点についての視点を持ち、相手を理解していくことが、成果を出せる人材を育てることにつながります。

悪いのは部下でもなく、リーダーでもなく、【ただ行動が望ましくないだけ】。
人ではなく、その人がとっている「行動」にフォーカスしてみてくださいね。

では、次回に続きます。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。